• 怪傑透明ウルトラエースとは?

    5円引き怪獣カードとは全然関係ないのであるが、70年代初頭、玩具メーカーのマルサンから、ウルトラ怪獣シリーズというオリジナル怪獣ソフビが40種類近くも発売されていた。
    デザイン的にはパチモン臭いのであるが、あくまでもオリジナル怪獣である。
    その中に、正義のヒーローとして、ウルトラサターンと、怪傑透明ウルトラエースという2種類の正義の味方のソフビがあった。

    ←これが、その「怪傑透明ウルトラエース」である。
    子供心にも、お世辞にもカッコよいとは言えない。
    その説明書きを見てみよう。

    『ドイツの偉大なる科学者アインべック博士が実験中のアルファー液を誤って体中にあびてウルトラエースに変身。地球を攻撃してくる怪獣と戦い地球防衛軍を助ける。
    マントを広げマッハ3のスピードで飛び廻る。
    そして体を休めるときとか身の危険を感じたときは、マントを頭からかぶって透明になってしまう。』

    なんじゃこりゃ?
    一応人間なんだね。しかもドイツ人と来たもんだ。
    身の危険を感じたら透明になっちゃうんですか?地球を守ってるんじゃねぇのかてめえ!
    おかしすぎます。いい味出しすぎです。好きだなあ、こういう変なヒーロー。

    5頭身の体に、全く筋肉のかけらも付いてなさそうなダルダルのボディ。
    ピンクの体の真中に輝く○Aのマーク。
    顔はウルトラマン系だけれども、果てしなくダサい。
    しかも黒いマントなんぞを羽織っているんだもんねぇ。

    こんなの、誰が買ったんだろうね?
    多分あれですよ。孫かなんかにせがまれたオジイチャン、オバーチャンがクリスマスプレゼントとか誕生日プレゼントかなんかでソフビを買いにおもちゃ屋へ行ったとしよう。
    何を買ったらいいか分からないオジーチャン。色々見ていたら七色仮面とか月光仮面あたりのイメージのあるヒーローのソフビが目に付いちゃった。
    オジーチャンにとって、ヒーローってのはやっぱりマント羽織ってるんだよな。
    「うん、これじゃ、これじゃ。」とかいって、綺麗にラッピングして貰って買って帰る。
    で、孫にプレゼントするんだけどさ、ラッピングを開けたとたんに「ウルトラマンぢゃない〜!」とか言って孫が泣き出しちゃうのね。
    そういう悲喜劇のようなものが目の当たりによみがえってしまうんだよなあ。
    本当に売れたんだろうか??私、現役時代にも見た記憶無いッスよ。
    よくこんなもん復刻出来たよな。

    このウルトラエース、実は本家円谷プロが「帰ってきたウルトラマン」の後番組として「ウルトラA(エース)」という番組を作ろうとしたのであるが、名前が同じであるため、うちが先じゃい!!変更しろ!!と、マルサンに文句を付けられ、仕方なく「ウルトラマンエース」に改名したという、嘘のような本当の逸話が残っている。
    確かにマルサンの方が先なんだろうけど、ウルトラ××ってのは円谷の専売特許のような気もするのだが。

    ウルトラエースがウルトラマンエースになってしまったおかげで、現在、よく解ってないトーシロが「ウルトラセブン」のことを「ウルトラマンセブン」とかいう間違いを起こす元凶にもなってしまっているのだ。
    ウルトラマンエースがウルトラエースになっていれば、以降のウルトラシリーズは「ウルトラタロウ」「ウルトラレオ」「ウルトラティガ」なんていう名前になっていたかもしれない。
    そういう意味では、特撮業界にひとつの大きな事件をもたらした重要人物とも言えるのだな、この怪傑透明ウルトラエースは!

    実はこのウルトラエース、90年代初頭、中京テレビの深夜番組「セーラーファイト!」(名前からして、かなりいかがわしい番組であることは想像に難くない。)という番組に実写で登場していたらしい。何を考えてるんだか。

    余談はさておき、こういうダサダサ系のパチモンに目が無い私は、当然のように復刻版ウルトラエースを購入し、コレクションのひとつに加えていた。
    立体物収集を辞めた時点で、ソフビについては、そのほとんどを処分してしまったのだが、このマルサンオリジナルシリーズの怪獣たちだけはどうしても処分する気になれなかった。
    そんなわけで、今回、この「5円引きカード紹介」コーナーのガイド役として、パチモンじゃないんだけど、限りなくパチモン臭い怪傑透明ウルトラエース君にご出馬頂いた、という次第である。

    パチ怪獣の正義の味方には、この他「へんしんライダー」と「ファイト仮面」なる怪しげなヒーローも存在する。
    彼らについても、そのうち詳しくご紹介する機会があるだろう。


APR.1.2003
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