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●猿の惑星 ― Planet Of The Apes

cover 20世紀FOXホームエンターティメントジャパン

2001年20世紀FOX作品
監督:TIM BURTON
主演:MARK WALBURG・TIM ROSS

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【B級SFカテゴリなんかに入れたら怒られるかなあ???】

70年代SF映画の金字塔「猿の惑星」のリメイク。
リメイクといっても、「猿の惑星」というシチュエーションが同じなだけであって、内容については、ほぼ新作と言っていいでしょう。
「リメイクに良いものなし」というのは私の持論ですが、残念ながら鬼才ティム・バートンをしても、そのジンクスを破る事は出来なかったようです。
前作と同じなのは、「パツキンのボインちゃんが出演してる」という個人的超重要事項を除けば、「タイムスリップで未来の地球へ行ってしまうが、そこは猿が人間を征服する惑星であった。」という基本プロットのみです。
猿に支配されている人間たちは、そこそこの知能を持っているし、何と言っても喋れるんですから前作とは大違いですね。
リメイクではなく、リ・イマジネーションだと言ったそうですが、そのあたりの気合いが入りすぎて多少空回りしたかなあ、という感じがしないでもありません。
これがですよ、リドリー・スコットとか、ジェームズ・キャメロンあたりが作ったんなら噴飯物ですが、ティム・バートンだから許せるという部分もあるかもしれません。


・・・と、ここまではそこいらに転がっている映画レビューのページと同じような感想になってしまいました。
それじゃあ面白くも何とも無いので、敢えてこの映画の魅力を引き出してみることにしましょう。

この映画の最大のポイントはラストシーンにあります。
もちろん、前作が映画史上に残る衝撃的ラストシーンだったわけですから、それを超えられないまでも、充分に衝撃的な結末を用意する必要があったわけです。
逆に考えると、この結末を導き出すために、主人公レオ(マーク・ウォルバーグ)が何となく詰まらない人間に見えたり、妙にあっさりしていたりして、さほど魅力的な人物に描かれていないという事が、確信犯的になされていたのではないでしょうか?

猿たちの性格描写が不十分なのも、ラストを導き出すための巧妙な引っ掛けであると言い切ってしまっては誉めすぎでしょうか。
でも、プロットに懲り過ぎて人物描写が希薄になってしまったような感じを受けるのは確かです。
前作(ついつい前作と比較してしまいますが)のコーネリアス&ジーラ夫妻のような魅力的な猿になっていないんだよなあ。
唯一、チンパンの親玉(ティム・ロス)の表情と豊かな個性が日光猿軍団と化してしまいそうな連中を引き締めています。
メイキングを見るとティム・ロスの顔が一番「猿化」しにくかったという事なんですが、そのティム・ロスが一番猿っぽかった気がします。


+++
大きな疑問として残っていることは、この猿の惑星が「地球ではない」という事です。
幾ら磁気嵐によるタイムスリップ?で、長い年月を経ていたとはいえ、「月が2個になってしまう」なんて事はありえません。
そう考えると、この惑星は未来(または過去)の地球ではない、と考えるのが妥当なのではないでしょうか。
しかし、そう考えると、「猿が英語を喋る」という矛盾が顕在化してきます。
ラストシーンの地球は本当に地球なのか?という事も疑問と思えば疑問に思えてきます。

ここまで考えてきて、ふと思いついた事があります。
実は、この映画は、そんな風に真面目に見る映画ではないのではないでしょうか?
何たってティム・バートンだもんな。
全体を通して「劇画調ギャグマンガ」を見ているような違和感があります。
最新のSFXを駆使しすぎたがゆえに、本来デフォルメして簡略化すべき絵を劇画調で詳細に書き込んで、背景には点描まで使ってしまった天才バカボンを見ているような気がします。実写版レレレのおじさんを見ているような気持ち悪さがあるんですね。
バットマンやマーズアタックにも、そういう気持ちの悪さという点で通じるものがあります。チープな予算でダサい着ぐるみを使って映画化すれば、ティム・バートンの毒が良く見える快作になっていたかもしれません。

実はそれこそ、ティム・バートンの狙いだったのではないかと思ったりしています。
一見本格的な劇画に見えて、実はとんでもないギャグマンガだったのではないでしょうか?

ハンバーガーもとい、バナナでも齧りながらボーっと見て、あちこちに散りばめられている小ギャグにケタケタと笑い、ラストでどっひゃーん、びっくりしたなあ、もう。って感じで気楽に見飛ばす映画で良いという事なのかもしれません。