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●北の国から87初恋

cover ポニーキャニオン 1987年製作:フジテレビ 主演:田中邦衛・吉岡秀隆・中嶋朋子・横山めぐみ他 画像をクリックすると、amazon.co.jpでDVDを購入する事が出来ます。

【純の初恋を中心に描くターニングポイント的作品】

北の国からのレビューを書くにあたって、どれから書こうか相当迷った。
やはり本編から行くべきだという思いもあるし、数々のエピソードに飾られたスペシャル版は、どれも捨てがたい魅力を持っている。
その中で、敢えて「87初恋」を最初のレビューに選んでみた。
それまでの「北の国から」は、強引な決め付けではあるが、五郎(田中邦衛)が主体で、純(吉岡秀隆)と蛍(中嶋朋子)は、メインを張るにはちょっと若すぎるきらいがあった。
しかし、この「87初恋」で、純は堂々の主役を張るところまで成長したのである。
以後、「89帰郷」では前半が蛍、後半が純の話になるなど、主役が五郎から純と蛍に移行していくことになる。

そんなエポックメイキング的な作品であり、シリーズ全体を通してターニングポイントとなるべき作品という意味あいも含めて、「87初恋」は重要なエピソードになっている。
そういう意味も含めて、北の国からシリーズの第1回目レビューとして、本作品を選んでみた。

ストーリーは、中学生になった純と偶然出会った少女れい(横山めぐみ)の甘く切ない初恋の物語が中心となっているが、厳しい北海道の気候、大自然と戦い敗れていく北の農民たちの苦悩などがその下地となっており、単なる甘い初恋の物語では終わらせない説得力を持っている。
純は、本当に情けなく頼りなく成長しており、これも配役の妙だとは思うが、いい味を出している。
この一連の作品の中では珍しく、尾崎豊の「I Love You」がテーマ曲として設定してあり、それがまた、この作品のために作られたのではないかと思えるほどマッチしている。うまい選曲である。

全編を通じて主役は純であり、今回は五郎も蛍も完全に脇役である。
純と五郎の関係は微妙だ。
父親を喜ばせようと思って風力発電にトライする純。
ところが五郎は少しも喜ばない。
喜ぶどころか、純が東京へ行くという事を隠していた事を叱り出してしまう。
純は自分は一生懸命やっているのに何で素直に喜んでくれないのか、どうして、そういう事にチャレンジしなくなってしまったのか。それをなじる。
力の衰えつつある父と、成長期を迎えた息子。
思春期時代の事など、とうに忘れてしまったが、このギクシャクした親子関係というのは今でも何となく理解できるから不思議だ。

そういう関係であるからこそ、旅立ちの「泥の一万円札」が何倍もの重さを持って我々に訴えかけてくるのだ。
いつも泣かされる「北の国から」なのであるが、この「泥の一万円札」のシーンはシリーズを通じて一番泣かされた。
参るよなあ、こういう話は。
言葉で語るよりも見て貰ったほうが良いので、このシーンについては詳しく述べない。強いて言うならば、運転手役の古尾谷雅人が押さえた演技ながら非常に上手くて、余計に涙を誘うのに一役買っているというくらいでろうか。

サイドストーリーとして、草太(岩城滉一)とつらら(松田美由紀)、雪子(竹下景子)との恋愛問題にも完全決着がつき、その代わりに新恋人としてアイコ(美保純)が登場したりと、純や蛍だけでなく周囲の環境も変わっていく。
だが、しかし、何と言っても、この作品の中核といえるのは大里れい役の横山めぐみに尽きる。
可愛いというか何というか、妖精的と言ったら言い過ぎかもしれないけれど、思春期の少女の微妙な美しさというものが良く出ている。
この時の横山めぐみを見るだけでも、このDVDを買う価値はあるというものだ。
余談ではあるが、あのれいちゃんが15年後に真珠婦人になってしまうとは、あの時誰が思ったであろうか!!
ちなみに、この時の横山めぐみの美しさは2年後の「89帰郷」では半分ほど失われてしまっている。
可愛いことは可愛いんだけど、ハイティーンになってしまった彼女からは、何かがひとつ欠けてしまったように思えてならない。まさに、ミドルティーンの女性だけが持つ魅力だったという事が言えるだろうか。
その、微妙な少女の美しさを、見事に表現し切っているカメラワークとか演出とかも、実に見事であると思ってしまうのであった。