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●スタートレック・ネメシス

cover パラマウント ホーム エンタテインメント
監督:スチュワート・ベアード
出演:パトリック・スチュワート、ブレント・スパイナー他

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【評価の分かれるTNG”最終作”】

スタートレックファン、特にネクストジェネレーション(以下TNGと略す)のファンのかたで、未見の場合はこれ以降の内容をご覧頂かないほうが良いかと思います。

さて、TNGの映画版最終話と言われた本作は、今までの映画版とはかなり異なった作りになっている。
前作叛乱が、非常に地味な内容だっただけに、本作はかなりエンターテイメント性を意識しているのではなかろうか。
のっけからライカー副長とディアナの結婚式という衝撃のエピソードで始まるし、敵役はピカード艦長のクローン人間である。
TNGというシリーズは、スタートレック全シリーズの中でも一番家族的なつながりが深いという印象を持つシリーズである。
もちろん、DS9やボイジャーも家族的な雰囲気は持っているし、特にDS9では本当の家族が多数登場するのであるが、やはり全体を通してみると、TNGが一番「エンタープライズ一家」というイメージが強いように思う。
その、エンプラ一家の別れを描くのが本作である。

冒頭での、ライカーとディアナの結婚も、そのひとつであろう。
結婚した夫婦は家を出て行くことになる。そこには当然、別れというものがある。
しかし、これは嬉しい別れだ。
ライカーとの恋の鞘当てに負けたウォーフにとっては辛いものになるが、そこは特に強調されていない。

ストーリーとは直接関係ないが、毎回恒例となりつつある、他シリーズのレギュラーのチョイ役出演もファンとしては楽しみな要素のひとつ。
本作ではボイジャーのジェーンウェイ艦長が「提督」役で登場している。
それ以外には、あまりTVシリーズを意識せずに作られているので、初めての人でも結構楽しめる作品に仕上がっている。

さて、もう一つの別れはクライマックスで訪れる。
TNGの象徴ともいうべき、データの死である。
艦長と、クルーを救うため、データは単身敵地へ乗り込み、艦長を救出して敵戦艦とともに自爆するのだ。
人間になりたかったアンドロイドが、自己犠牲の精神という最も人間的行為を行なうことで、人間以上の精神を持つ。
TNGのメインテーマの一つであった、「データの人間化」という課題を、悲劇的な結末ではありながら見事にクリアして話が終わるのだ。従って、本作をもって、TNGシリーズは完結と言えるのであろう。
このラストシーンは衝撃的である。
が、理由は解らないでもない。

人間ではないアンドロイドのデータ役を演じているのは人間(ブレント・スパイナー)である。
初放映から15年、スパイナー氏もかなり年を取ってしまった。
本来なら老化しないはずのアンドロイドが老化してしまっては、お話が成り立たない。
だから、TNGシリーズを継続するならば、いずれデータは何らかの形で消えるか、配役の変更が必要になってしまうのである。
今回の脚本づくりには、そのスパイナー氏が加わっているということで、彼自身、自分の演ずる限界を感じての措置であったようにも思われる。

しかしながら、物語はデータの死で暗く終わるのではない。
データと全く同型のアンドロイドで、データのプロトタイプと思われるB4(Beforeの意味)というアンドロイドを発見するのだ。
そして、そのアンドロイドB4に、何やら「含み」を持たせた上で、話は終わることになる。

この終わり方は非常にイヤらしい。
次を作ろうと思えば作れるのだな。「データの復活」みたいな形で。
それを物語っているのがストーリーの中核となる、ピカードと、ピカードのクローンとの対峙である。
全く同じ遺伝子を持つ人間は同じものなのか?という問いかけだ。
映画の中では、知識と経験が、人間に個性を与えていくと訴えかけている。
だから、ピカードのクローンはピカードではない。
だが、アンドロイドはどうなのだろう。プロトタイプとはいえ、B4にデータの知識・記憶を全部埋め込めば、それはデータになるのではないだろうか。
そんな「含み」を持たせて、この物語は終わる。

出来ればこのまま終わって欲しいという気持ちもあるが、データ復活の物語も見てみたい。
それをやっちゃあ、まるで「「スタートレック3・Mr.スポックを探せ ※注」のリメイクみたいになってしまうが、まあ、それでも見たいものは見たいのだ。
観客なんてのは身勝手なものである。

さて、これでTNGシリーズは一応完結するわけだが、内容的には「ファーストコンタクト」が一番面白いと思う。

興味のあるかたは、是非「ファーストコンタクト」からご覧頂くことをお勧めしたい。
(もちろん、TVシリーズを最初から見るに越したことはないのだが)

注:スタートレックオリジナルシリーズの映画版第3作。前作で死亡したスポックが、実は生きていたというストーリー。どうしてSFってこうも簡単に配役を復活させちゃうのかな?