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●エイリアン

cover ※商品はエイリアン・アルティメット・コレクションです。
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
【収録内容】
● 「エイリアン ディレクターズ・カット」 (2枚組)
● 「エイリアン2 完全版」 (2枚組)
● 「エイリアン3 完全版」 (2枚組)
● 「エイリアン4 完全版」 (2枚組)
●特典ディスク

画像をクリックすると、amazon.co.jpでDVDを購入する事が出来ます。

【麺類好きには耐えられない】

私が「エイリアン」という映画に対して語る批評は多分ちょっと厳しいと思う。
「エイリアン」は、紛れも無く名作だと思うが、2、3、4に対する批評はかなり厳しい。
それは、ホラー映画とは何か、という定義において言及される部分での考え方と言うことが出来る。

私にとって、ホラーとは感性に訴える部分での怖さをかもし出すものでなければならない。
見た目だけの怖さや、単に首が飛んだり血しぶきが飛び跳ねたりするような気持ちの悪さを助長するような映画をホラーとは認めたくない。
だから、スプラッター映画は嫌いで、むしろ昔のユニバーサルモンスター達、ヒッチコックのサイコやオーメンなんかが優秀なホラー映画ではないかと思っている。

さて、「エイリアン」をホラー映画と呼んで良いかどうかには異論もあるかと思うが、これは、わたし的には立派なホラー映画として位置付けられる。
徹頭徹尾、エイリアン本体の姿を隠しつづけ、最後にドバアーッと現れる恐怖の実体という作り方が秀逸なのだ。
実際にエイリアンの造形は見た目にも怖さを倍増するが、それが部分的にしか出てこないことで、余計に怖さ、気持ち悪さを増幅させる。

だから、「エイリアン2」以降、既にエイリアンの実体がバレている作品には、あまり関心が無い。
そこを、どう再料理するかという部分に関する取り組みがなされず、「今度は戦争だ!」として、第1作でのホラー要素を捨て、アクション映画にしてしまったのは、ジェームズ・キャメロン監督の才能と言えないことも無いが、ちょっと残念。
気分的には胸が悪くなる「エイリアン」より、見た後の爽快さが残る「エイリアン2」の方が快作と言えるのかもしれないが、映画的には全然別物だし、これを酷評するのは筋ではないかもしれない。
アマゾネスのような女兵士とかリプリーが物凄く強いマッチョ・ウーマンになってしまって、そういうのが嫌いな私は余計に「エイリアン2」はダメなのである。
一匹だと物凄く強いのに、大群になるととたんに弱くなってしまうのは、仮面ライダーの「イカデビルに連れられた怪人軍団」で、滝あたりに蹴り殺されてしまう使い古しの怪人を見ているようで、「お前ら前作ではピンで主役張ったんじゃないのかよ!」と毒づきたくなってしまう。
最後のオマケとばかりに、巨大ロボットを操縦してエイリアンと対決してしまうのも幻滅。
最後に意味も無く巨大ロボが出てくるのは日本の戦隊モノだけで十分。
これ、ジェームズ・キャメロンじゃなくてタランティーノに撮らせたら面白いんじゃないかな?

話を「エイリアン」に戻そう。
気持ちの悪さといえば、食事中に「エイリアンが孵って」しまうシーンは最低最悪で(ここで言う最低最悪は誉め言葉)、スパゲッティ好きの私には耐えられないシーンだ。よりによって食事中じゃなくても良いだろうに。
もし、これが「調理したスパゲッティの中にエイリアンが混じっていた」というような話だったら、どんなに素晴らしい映画でも大嫌いになってしまっただろう。麺類好きにはコダワリがあるのだ。
それと、妙に粘液質なエイリアンのヨダレとか、壊れちゃったビショップが垂れ流す白い液体とか、今までのSFものには無いくらい水っぽいのがまた、気持ち悪い。
エイリアンは、徹頭徹尾気持ちの悪い映画であり、それに怖さが加わったことが勝利の原因であるように思う。
それらを剥がして素のストーリーを見ると、実に平凡で新鮮味の無いストーリーだからだ。
脚本が悪いわけではなく、ありがちなSFドラマに異形のものを組み合わせただけで、これだけの話を作り上げることの出来たリドリー・スコットは、やはりただならぬ才能を持つ監督なのだと言えるだろう。

最後に、傑作と賞されることの多いエイリアンの造形だが、私はどうもこのスタイルには懐疑的である。
口の中からまた口が出てくるようなデザインは良いとは思うが、男根をイメージしたという頭部や、擬人的な外形がどうももうひとつぱっとしない。(「エイリアン」では全体像が良く掴めないから成功しているのだが)
もうちょっと擬人化を捨て、「虫」のようなデザインにしたほうが良かったと思う。
あるいは、いっそのこと、ダン・エイクロイドのコーンヘッズを劇画的に悪くしたみたいなスノッブな宇宙人の方が良かったかもしれないなどと思うのは、多分世界中で私だけなんだろうな。