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●刑事コロンボ「逆転の構図」

cover ※商品は刑事コロンボ完全版 Vol.13&14 セットです。
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
【収録内容】
● 「権力の墓穴」
● 「自縛の紐」
● 「逆転の構図」
● 「祝砲の挽歌」
画像をクリックすると、amazon.co.jpでDVDを購入する事が出来ます。

【シリーズ中1、2を争う出来の快作】

スーパーチャンネル(現:スーパードラマTV)で随時放映中の刑事コロンボシリーズを毎週楽しみに見ています。
初めて二本で放映されたのはNHKで、土曜の夜7時半からの放送だったと思います。この枠は海外テレビ番組を良く放送していて、コロンボ以外では「警部マクロード」も大好きでした。
刑事コロンボの面白さは、改めて言うまでもありませんが、今回は、中でも私の大好きな作品「逆転の構図」に話を絞ってみましょう。

この作品の犯人役は、喜劇俳優のディック・ヴァン・ダイク。
メリーポピンズやチキチキバンバン等に出演していますが、有名なのはテレビ・シリーズ「Dr.マーク・スローン」でしょうか。日本では馴染みがありませんが、「ディック・ヴァン・ダイク・ショー」という喜劇番組を長年やっていた役者さんです。

生意気な妻を殺すために、雑誌の切り抜きを使って脅迫状を作り、妻を捕縛して写真に取り、誘拐と見せかけて身代金の要求を出し、妻はそのまま殺してしまいます。そして、刑務所から出所したばかりの男を犯人に仕立て、この男も殺してしまいます。自らの仕事である写真をトリックに使うというシチュエーションなのですが、妻を撮影した証拠写真の「構図が悪い」ので1枚目を没にし、2枚目を撮ってしまうところに、コロンボが彼を犯人と推理する隙を与えてしまいます。

写真の中には時計が写しこまれており、それの指し示す時間がアリバイ作りのトリックとなるわけですが、「逆転の構図」というタイトルで分かるとおり、コロンボはこの写真をわざと裏焼きし、奥さんが殺された時間が違うと犯人を追い込みます。しかし、写真が裏焼きされていることなど、犯人には承知の上でした。その上にコロンボが仕掛けたトリックは、、、

意表を突くラストシーンは見てのお楽しみとしておきますが、コロンボの作品の中には、このような囮捜査とも言えるやりかたで犯人を追い詰めるパターンが良く見られます。
日本だったら(ひょっとしたらアメリカでも)、このようなトリックを使って犯人を陥れても、裁判では負けるかもしれませんね。まあ、そのあたりはテレビ番組ということで大目にみたいと思います。

一方、生真面目で理詰めな証拠固めが多いのも、この番組の特徴です。
犯人が、出所した男に罪をなすりつけようとして、あらかじめ用意した「脅迫状に使った切り抜かれた雑誌」をモーテルに隠しておきますが、「雑誌」と「のり」と「はさみ」は発見されたのに、「大量に出るべき切りくず」が発見されなかったことから、このモーテルで脅迫状を作ったのではないと結論付けるくだりなどは、地味ながら丁寧に脚本が練られている証拠と言えるでしょう。

このエピソードの中で、私が一番好きなのは救済食堂のシーンです。
事件を目撃した酔っ払いの浮浪者から証言を得るために、コロンボ自ら救済食堂へ聞き込みに行くのですが、普段でもあまり身綺麗とは言えないのに、泊り込みのせいで髪はぼさぼさ、髭も剃っておらず、その上いつものよれよれのレインコートというスタイルでは、まるで浮浪者と同じ。案の定、シスターから浮浪者と間違えられます。
「刑事です」と身分を明かしても、「まあ、素晴らしい変装ですね!」と驚かれてしまう始末。その時のコロンボの苦笑いが見ものです。
このエピソードはコロンボシリーズの中でも出色の出来でした。

刑事コロンボの面白さは、主演のピーターフォークの名演技と、それに絡む犯人役の著名な役者の演技に尽きるわけですが、それ以上に練られた緻密なストーリーの面白さが、この番組を名作に仕立てていると言えるでしょう。
この番組に触発されて、日本でも「古畑任三郎シリーズ」という番組が作られています。
古畑シリーズとコロンボシリーズを見比べてみるのも面白いかもしれません。