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●アースバウンド / キング・クリムゾン

  1. 21世紀のスキッツォイドマン
  2. ペオリア
  3. 船乗りの話
  4. アースバウンド
  5. グルーン


  • Robert Fripp / Guitar
  • Mel Collins / Alto,Tenor,Baritone Saxes,Mellotron
  • Boz / Bass,Vocal
  • Ian Wallace / Drums

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Mel Collins Blues Band

1972年に発表されたKing Crimzon初のライヴ・アルバムです。
1972年2月11日~3月10日のアメリカでのコンサートの模様が収録されているのですが、音質が悪いという事でアメリカ盤は発売にならず、そのため版権をアメリカから取得していた日本でも発売にならなかったアルバムでした。
そんなわけでこのアルバムは「幻の名盤」と呼ばれ、輸入レコード店などで、結構な値段で販売されていたように思います。
かくいう私も渋谷のディスクユニオンまでわざわざ買いに行った記憶があります。

で、、、そこまでして買う価値のあるアルバムかというと、、、
ファン以外は買わない方がマシでしょうなあ。
というか、ファンは買っちゃいけないアルバムかもしれません。

悲劇は2曲目のイントロから始まります。
ペオリアという空気清浄機のような名前のこの曲のイントロを聴いただけで脱力したあなたは正当派プログレファンと言えましょう。
おおっ、何だか心地よい音だなあと思った人は普通の人かもしれません。

そうです、この2曲目と4曲目は単なるブルースなのです。
いったい、King Crimzonのどこを、どう弄くったらこんなヘタレな曲が出来上がるというのでしょうか!
当然のようにRobert Fripp先生の参加していない(ように聴こえる)この曲は、単なるフリーのインプロヴィゼーションに過ぎません。
いや、それでも良いのですよ。この曲を演奏しているのが、「Mel Collins Blues Band」ならば!
それほどMel Collinsのサックスはイカしてます。しかし、King Crimzonにあっては4ビートのイカしたブルースなど必要ありません。

まともな曲は「21世紀のスキッツォイドマン(以下21スキゾ)」1曲だけ。
あとはフェイドイン、フェイドアウトにインプロヴィゼーション(というかジャムセッションみたいなもんですね)ばかりで、曲の印象が希薄です。
演奏が終わって「ワォ!」と吼えるのはBozか。
こいつらみんなKing Crimzonじゃない。こんなのがKing Crimzonであっていいはずがない。

「アイランド」があんなに良いアルバムだったのに、何でライブはこんなにヘタレなんじゃ?
金返せよ。何が幻の名盤だよ。確かに音質は悪くて聴けたもんじゃないよ。でも、演奏が良ければ音質なんぞ刺身のツマ程度のもので良いじゃんか。(そうでもないか)
このアルバムがアメリカで発売されなかったのは、音質のせいじゃなくて、内容のせいなんじゃないのかなあ?

と、いうのが20年前に大枚はたいてレコードを買った時の印象でした。
ところが90年代になって、金の亡者と化したRobert Frippが過去ブートレッグで発売されていたレア音源をオフィシャルCD化し、DGMコレクターズボックスVOL.1(以下DGM1と略)として発売されるようになって状況は一変します。
その理由については、いつ書くか分かりませんが、DGM1のレビューに譲る事にしましょう。

さて、話をアルバムに戻しましょう。
1曲目の「21スキゾ」は、音質さえ良ければベストテイクと言えるかもしれません。
GilesBrufordの「お祭りテンテケ太鼓」ではなく、Ian Wallaceのハードロック的な「ドッスンバッタンドラム」が非常に良く合っています。
Wallaceのドラムセットはダブル・バスドラで、かなりインパクトのある、良く言えばLed ZeppelinJohn Bonham系の音(誉めすぎ)で、こういうドラムサウンドが「21スキゾ」に似合うというのはかなり新鮮な驚きがありました。
FrippCollinsのアドリブの応酬も、他期の演奏と比べるとかなり長く、鬼気迫る演奏です。
DGM1版の演奏は別テイクなので、これと聞き比べてみるとこちらの演奏の方が格段に上であることが分かります。
惜しむらくは音質ですが、返ってこの様な音質の方が凄みを出しているという点でメリットがあると言えないこともないでしょう。

2曲目はとにかく間抜けな音に呆れて下さい。

3曲目の「船乗りの話」はアイランド版とは中間部のギターソロのアレンジが全く異なります。意識的に「Robert Frippらしい」ロングトーンのギターソロになっていますが、これが良い感じ。
後半のWallaceのドラムソロが始まったあたりでフェードアウトしますが、これは正解でしょう。だって下手なんだもん。(DGM1にノーカット版が収録されています)


4曲目も間抜けです。こちらにはRobert Frippのギターが被ってきますが、他の3人と全く合ってません。
ヘタレなブルースを演奏する馬鹿どもを蹴散らすようにノイジーなギターを被せるFripp尊師の大活躍!てな聴き方をするのであれば、Robert Frippマニアにとっては充分に堪能できる小品と言えないこともないでしょうが、わたし的には不愉快極まりないですね。

5曲目のグルーンはシングル盤「CatHood」のB面の曲です。
原曲は、「Young Person's Guide to KingCrimson」または「紅伝説」というベスト盤CDでのみ聴けますが、いずれも現在では廃盤になっているようです。※再発売された「ポセイドンのめざめ」に収録されました。
原曲もイマイチですが、この演奏はイマニ、イマサンといった感じ。
ドラムソロの途中からVCO3シンセサイザーをかまして、金属的な音に変えているのですが、単なるノイズにしか聴こえません。オルタネィティヴ・サウンドを聴いているようで非常に不愉快です。