筆者の購入したDVDや本、鑑賞した映画、テレビ番組、コンサート等のインプレッションを書いています。
Top > 音楽 > プログレ

●夢魔 / アトール

  1. 悪魔払いのフォトグラファー
  2. カゾットNo.1
  3. 恍惚の盗人
  4. 組曲「夢魔」
    • 思考時間
    • 夢魔
    • 狂った操り人形
    • プラスチックの墓碑
  5. カゾットNO.1(ライブ)・・・輸入版CDのみのボーナス

  • Andre Balzer / Vocal,Percussion
  • Jean-Luc Thillot / Bass,Vocal
  • Michel Taillet / Vocal,Percussion,Clavinet
  • Alain Gozzo / Drums
  • Richard Aubert / Violin
  • Christian Beya / Guitar
画像をクリックすると、amazon.co.jpで輸入版CDを購入する事が出来ますが、現在在庫切れのようです。

イエスを超えた??

私のロック人生に大きな影響を与え、かつ、コレクター的な性格を助長した要因に、80年代初頭キングレコードが玉石混交で発売した「ユーロピアン・ロック・コレクション」シリーズというのがありました。
そのパート2で、「イエスを超えた」という帯の惹句も仰々しく鳴り物入りで発売されたのが、この「夢魔」というアルバムでした。

このキングレコードの「ユーロ・ロックシリーズ」には非常に問題があって、確かに名盤も多かったのですが、駄作もそれに輪を掛けて発売されていました。
どのアルバムを見ても「たかみひろし」とかいう人物の「全部買え!」と煽るだけの詰まらんライナーノーツしかなかったりして、何度となく騙されたものです。
かの「たかみ」氏のライナーによれば「フランスのイエス」という触れ込みでしたけれども、内容は全くイエスではありません。どちらかといえばギターやヴァイオリンはキング・クリムゾンの影響が強いように思います。
クラビネットのリリカルなサウンドが叙情的なイメージを強く表しているので、クリムゾンのような重厚さを感じませんが、ヴァイオリンのリフなどはまさにDavid Crossが演奏しているかのような錯覚さえ覚えます。

ヴァイオリンのRichard AubertとギターのChristian Beyaは、このアルバムから参加していますが、この2人の参加によって、本作品が傑作になったのは疑う余地がありません。Richard Aubertは本作品のみの参加で、残念ながら以後のアルバムには参加していません。
ギターとヴァイオリンだけでなく、フランス語のヴォーカルがまた良いのですね。
フランスというと、フレンチ・ポップスに代表されるようなおしゃれなサウンドを連想し勝ちですが、このアトールの「夢魔」は骨太なプログレッシブ・ロックの結晶と言えると思います。
非常に洗練されたプログレというイメージではありますが、決してイエス的ではないし、無理やり言うなら各大御所の良いとこ取りをしたような感じのイメージです。
ドラムは明らかにBill Bruffordに影響を受けていることが分かりますし、フロイドっぽい感じの曲やジェネシスを連想させるようなキーボードのフレーズが入っていたりして、それだと何だか散漫なイメージに聴こえますが、全体を通して「アトール」という一本の線が入っているのが、さすがフランスのトップバンドというイメージです。
見た目的にもヴォーカルのAndre Balzerはなかなかカッコイイですし、ギターの
Christian Beya
は美少年系で、女子だけでなく「その気」のある人たちにもモテそうな感じです。

最近購入した輸入版CDにはボーナストラックとして「カゾットNO.1」のライブが入っています。音質は大した事は無いんですが、演奏は結構凄いです。特にヴァイオリンのパートがサックスになっているんですが、その為延々と続くジャズ的なインプロヴィゼーションがクリムゾンのMel Collinsあたりを連想させる演奏(もっともCollinsに比べたら全然下手ですが)になっていて、やはりアトールのベースはイエスではなくてクリムゾンだよな、という思いを強くしたのでした。

しかし、このアルバムを持ってして、ユーロロックは凄い!!などと勘違いしてしまうと痛い目に遭います。
確かにこのアルバムの完成度は高く、アトールの中でも最高傑作と言わしめるだけでなく、70年代ユーロロックの最高峰の1枚と言っても過言ではないでしょう。
現に、ユーロコレクションシリーズの中では一番売れたようですし。
しかし、このアトール「夢魔」に騙され、2匹目の泥鰌は居ないものかと、湯水のように無駄金を払って、愚にもつかない駄作のLPを毎回何枚も買わされてしまう破目に陥ってしまうのでした。