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●アゲイン / 楳図かずお

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【楳図かずおの破天荒ギャグマンガのルーツ!】


楳図かずおのギャグマンガといえば、「まことちゃん」が有名ですが、この「アゲイン」こそ、まことちゃんのデビュー作品です。
ストーリーは、若返りの薬を間違って飲んでしまった老人が、高校生の体に戻って町じゅうを大暴れをするという他愛も無い学園コメディーものですが、とにかくそのギャグセンスが秀逸。
今から35年以上も前の作品ですから、多少の古さはあると言うものの、現在でも十分に笑えるギャグセンスは、さほど評価されているとは思えませんが、なかなかのものではないかと思います。
「まことちゃん」が、お下劣の究極に行ってしまい、必ずしも誰にでも薦められるマンガではなくなっていますが、「アゲイン」の方は、多少のお下劣さには目をつぶっても、多くの人に薦められるマンガのひとつだと思います。

特に導入部、まだ元太郎老人が若返りの薬を飲む前の、老人の悲哀について語る部分は非常にシリアスで、若返ってからのドタバタとは好対照になっており、それがまた笑いを盛り上げる要素にもなっています。
また、最後のエピソードで、若返りの薬が切れてしまい、残りを全部飲んでしまったら二度と作れないと分かっていながら、剣道の試合に出るために全部飲んでしまう主人公の姿は感動的ですらあります。

「アゲイン」がギャグマンガとして成功しているもうひとつの要因は、その絵にあるでしょう。怪奇マンガの楳図かずおの絵、そのものなのです(あたりまえだ)。
元太郎老人が若返った事に気づいた瞬間のコマ絵は、そのまま「おろち」や「イアラ」の驚愕のコマ絵に差し替えても違和感が無いくらい恐ろしい。
背景や他のキャラクターも丁寧に書き込まれており、当時の他のギャグマンガ家のデフォルメされた絵とは一線を画しています。

この中で、元太郎老人の孫である沢田まことの人気が高まり、ついには「まことちゃん」という独立したマンガになっていくわけですが、「まことちゃん」の方にも元太郎老人が登場します。
というか、家族構成は「アゲイン」も「まことちゃん」も全く同じ。サブキャラのピョン子ちゃんやモン太なども一緒です。
「まことちゃん」の方の元太郎老人は、普通のおじいちゃんキャラで、アゲインのアの字も感じさせないキャラクターになってしまっているのがちょっと残念です。

この作品のあと、楳図かずおは最高傑作と名高い「漂流教室」を執筆していくだけに、どのエピソードもキャラクターも芯が立っていて、楳図かずお絶頂期の一作として評価できる作品だと思います。
心して読むのじゃ!