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●アイランド / キング・クリムゾン

  1. フォーメンテラ・レディ
  2. 船乗りの話
  3. レターズ
  4. レディ・オブ・ザ・ロード
  5. プレリュード:かもめの歌
  6. アイランド


  • Robert Fripp / Guitar,mellotron,Peter's Pedal Harmonium,Sundry Implements
  • Mel Collins / Flute,Bass flute,Saxes,Vocals
  • Boz / Bass,Vocal,Choreography
  • Ian Wallace / Drums,Purcassions,Volals
  • Peter Sinfield / Words,Sounds,Visions

  • Keith Tippett / Piano
  • Paulina Lucas / Soprano
  • Robin Miller / Oboe
  • Mark Charig / Cornet
  • Harry Miller / String Bass

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Sinfield's Crimsonの集大成

初期King Crimzonの最大の失策はIan McDonaldを早々に失ったという事に尽きるように思います。
「太陽と戦慄」以前のKing Crimzonは、メロトロンを多用したリリカルなサウンドが売りのひとつであったわけですが、その基本路線を組み立てたのはMcDonald&Sinfieldのコンビであって、決してRobert Frippではありませんでした。
従って「クリムゾンキングの宮殿」以降の「ポセイドンのめざめ」「リザード」では、Ian McDonaldの穴を埋めようと苦心しているFrippSinfieldコンビの苦悩が強く感じられます。

三作目の「リザード」に続いて、このアルバムでも意識的にアコースティックな音を多用しているように感じられますが、1st King Crimzonの象徴でもあったメロトロンの使用頻度を下げる事で、過去のイメージを払拭し、新たな方向性を見出そうとしていたのかもしれません。
美意識の塊とも言えるアイランドのサウンドは、まさにPeter Sinfieldの世界を表現していたと言えるのではないでしょうか。

しかし、その新しい方向性として、よりアコースティックな方向へ向かい、自らの美意識を強化していこうと画策したPeter Sinfieldと、ギターを前面に押し出したヘヴィーなサウンドとインプロヴィゼーション主体のサウンドを突き詰めることで改革しようとしたRobert Frippの間で、意見衝突があったであろうことは想像に難くありません。
結果的に、Peter SinfieldKing Crimzonを離れ、Robert Frippは全メンバーを解雇し、ヘヴィーなギターサウンドを中心とする新たなバンドを再構築していく事になります。

さて、このアルバムでは、ヴォーカルとベース担当のBoz、ドラムスにIan Wallaceが新しいメンバーとして加わります。
Bozの加入には紆余曲折があったようで、当初ヴォーカリストとして加入したBozでしたが、ベースのRick Kempが早々に脱退してしまったため、急遽Bozを猛特訓してベーシストにしたという事です。
なるほど、そう言われてみると確かにベースは弱い感じがします。
WallaceKeith Emarsonの肝煎りで参加したのですが、はっきり言って前任のAndy McCullochの方が上手いです。

さて、1曲目の「フォーマンテラ・レディ」ですが、初期King Crimzonの中でも好きな曲のひとつです。Bozの「かよわい」感じの声がまた良い。

2曲目の「船乗りの話」は、このアルバムの中で唯一、Robert Frippの自己主張が感じられる曲です。イントロのロングトーン・ギターだけで、Fripp-Crimzonの世界にぐいぐいと引きずり込んで行きます。
歌詞が無い分、Fripp先生の思いのままという感じでしょうか?
アルバムの統一感を出すために意識的に抑えた演奏をしているようにも思えます。それは、ライブでのこの曲のパワフルなアレンジと聴き比べてみると、よく分かると思います。

3曲目の「レターズ」は不思議な曲。
原型はGGFの頃から演奏されていたそうですが、そのあたりの事は良く分かりません。
Bozささやくようなヴォーカルで終わりますが、4曲目との切れ目が無いので同じ曲だと思って聴いてしまいました。

4曲目の「レディ・オブ・ザ・ロード」はKing Crimzonの中でも異色中の異色作でしょう。
下卑た内容で、Peter Sinfieldの詩にしては、嫌に俗っぽい感じです。
しかし、このレヴェルの低い内容の歌をレヴェルの低い歌い方でBozが歌うと実に良く似合います。アルバムの中では目立ちませんが、ライブでの演奏の歌い方は酷いもんです。

5曲目「前奏曲:かもめの歌」は、2曲目の「船乗りの話」と対をなすインストゥルメンタルナンバーです。
いきなりの管弦楽重奏曲で、もろにクラシックなサウンドですが、バックのヴァイオリンのリフをベースで弾き、オーボエの主旋律をFripp先生のギターで弾くと、この曲はそのまんま「船乗りの話」になってしまいます。
「かもめ」と「船乗り」という対比からも、この曲がペアになっている事は想像に難くありません。

プログレファンからは「何でクリムゾンがクラシックをやるんだ?」と、評判の悪い曲になっているようですが、よく聴いてみると、この曲に隠されている真実が見えてきます。
CDをお持ちの方は、是非「船乗りの話」と聴き比べてみて下さい。

6曲目「アイランド」は非常に美しい楽曲です。
が、何故か私の中では印象が薄いです。どういう事ですかね?

しかし、これらの音がライブになるとどーして「アースバウンド」の音になっちゃうんだろうなあ?やっぱり、「アイランド」は「Peter Sinfield's Crimzon」だったのに違いありません。

6曲目が終わってからボーっとしていると、突然ストリングスのチューニングの音が聞こえて来ます。「前奏曲:かもめの歌」の演奏直前のチューニング音だそうですが、最後の最後で何でこんなの入れたんかいな?
以前、CD化された際にはカットされていましたが、紙ジャケの30周年記念盤でめでたく復活しています。