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●クリムゾン・キングの宮殿 / キング・クリムゾン

  1. 21世紀のスキッツォイド・マン(インクルーディング:ミラーズ)
  2. 風に語りて
  3. エピタフ(墓碑銘) (a)理由なき行進 (b)明日又明日
  4. ムーンチャイルド (a)ドリーム (b)幻想
  5. クリムゾン・キングの宮殿 (a)帰ってきた魔女 (b)あやつり人形の踊り


    • Robert Fripp / Guitar
    • Ian McDonald / Reeds, Woodwind, Vives, Keyboards, Mellotron, Vocals
    • Greg Lake / BassGuitar,LeadVocals
    • Michael Giles / Drums,Purcassions,Volals
    • Peter Sinfield / Words and illumination

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クリムゾンはロックの歴史を変えたのか?

The Beatlesの「アビーロード」をヒットチャートNO1の座から引き摺り下ろしたという事で有名な一枚。
あまりにも有名なので説明することも無いと思うが、既に35年以上も前の話である。
キング・クリムゾンはロックの世界に「プログレッシブ・ロック」という1ジャンルを確立したという意味でも重要なグループであったわけだが、逆に言えばキング・クリムゾンの存在がプログレッシブ・ロックに妙な枠をはめてしまったのではないかという気もする。

難解な歌詞に高度なテクニックを持つ演奏。変拍子とインプロビゼーション。ある意味で前衛的でありながら、逆に物凄く保守的なイメージを併せ持つ感じがしてしまうのは、King Crimzonを含む全ての「プログレバンド」が未だ「宮殿」を超えられていないのではないかと考えてしまうからである。

カメラの喩えになってしまって申し訳ないのだが、デビュー作で完成品を作ってしまったという意味において、この「宮殿」というアルバムはライカM3のような位置づけのアルバムなのであった。

1曲目の「21世紀のスキッツォイド・マン」は、このアルバムの代表曲であり、King Crimzonの代表曲のようにも語られているが、実はこのアルバムの中では非常に浮いている。
2曲目以降のメロトロンを多用した叙情的なサウンドとは対照的に、ヒステリックでヘビーなサウンドである。
実はこのアルバムの中で、Robert Frippが主導権を握っていたのはこの曲だけで、残りのナンバーは恐らくIan McDonaldが主導権を握っていたのではないかと思われる。
それくらい、1曲目と2曲目以降の曲のイメージは違う。
まさに異質なのである。
しかし、この曲が無ければKing CrimzonKing Crimzonたりえなかった。
その違和感が、アルバム全体を聴くと逆に妙な統一感をもたらしているようで、そこが不思議でもある。
ギターとサックスのバトルがフューチャーされているが、サポートするリズム隊の演奏も非常に良い。
特にMichael Gilesのドラムの正確なリズムさばきは驚嘆に値する。

なお、LPで発売されていた時代には「21世紀の精神異常者」という邦題であったが、例によって自主規制的な動きなのであろうが、最近発売されたCDでは全て「スキッツォイド・マン」という表記に改められている。

2曲目の「風に語りて」は、 Ian McDonaldの才能爆発といった感じの曲である。作曲にRobert Frippがクレジットされていない。
いきなりフルートの多重録音と綺麗なハーモニーで始まる曲は1曲目と比較するとあまりにも異質だ。
後半のソロパートでもIan McDonaldのフルートが軽やかに演奏され、Robert Frippのギターは僅かにハーモニクス奏法を奏でるだけで全く存在感が無い。

荘厳なティンパニの連打で始まる3曲目も、2曲目の流れを汲んで叙情的である。
クリムゾンの曲を評価するとき、この曲も1曲目と並んで非常に高く評価されることが多いが、まさに名曲と言えよう。
こうして改めて聴くと、Greg Lakeのボーカルは意外にもJohn Wettonの声質に良く似ているような気がする。

4曲目(レコードではB面1曲目)もなかなかに聴かせる曲である。
ここまで聴いてくると、本当に1曲目だけが異質なサウンドであることがお分かり頂けよう。
後半延々と続くインプロヴィゼーションは、演奏が今ひとつ。名盤ではあるが、これは蛇足であった。

5曲目も3曲目同様壮大なイメージの曲である。Ian McDonaldのフルートとGreg Lakeのボーカルをフューチャーし、メロトロンの壮大なサウンドに乗せて感動的なサウンドが展開していく。
後半はまさに、メロトロンのために作られたと言っても過言ではない程の重厚なサウンドとフレーズが繰り返し演奏されていく。

正直言って、アルバム1枚通して聴くと結構飽きてしまう。これは確かにロックの歴史に残る名盤ではあるが、35年経って耳が驕ってしまったせいであろうか、メロトロンのサウンドには食傷気味になってしまったからかも知れない。

余談ではあるが、初めてこのLPのジャケットをレコード屋で見た時、あまりのインパクトの強さにぶったまげたものである。
30センチLPの時代にはジャケットというのも結構重要な要素であったのだが、CD時代になって、ジャケットを軽んじる傾向が進み、今では音楽はダウンロードして聴く消耗品になってしまったのが非常に残念でならない。
「コレクション」としての音楽は、ジャケットデザインもまた、重要な要素なのである。