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●パワー・イン・ザ・ダークネス / トム・ロビンソン・バンド

Power in the Darkness / Tom Robinson Band




  1. Up Against The Wall
  2. Grey Cortina
  3. Too Good To Be True
  4. Ain't Gonna Take It
  5. Long Hot Summer
  6. Winter Of '79
  7. Man You Never Saw
  8. Better Decide Which Side You're On
  9. You Gotta Survive
  10. Power In The Darkness
  11. Don't Take No For An Answer
  12. Martin
  13. Glad To Be Gay
  14. Right On Sister
  15. 2-4-6-8 Motorway
  16. I Shall Be Released
  17. I'm Alright Jack
  18. Waiting For My Man (Live At London Lyceum 1977)
  19. Power In The Darkness (2004 remix)


    • Tom Robinson / bass,vocal
    • Danny Kustow / guitar
    • Mark Ambler / organ,piano
    • 'Dolphin' Taylor / drums,vocal
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良質なポップナンバーの集大成

Tom Robinson Bandはパンク・ムーヴメントまっただ中の英国に登場し、そのメッセージ色の高い歌詞と、Tom Robinsonが自らゲイであることをカミングアウトしていた事などから、パンクバンドのカテゴリの中に入れられていた。
だが、このバンドはパンクなどという狭い枠の中で語れるようなバンドではない。非常に良質なロックンロールを演奏するバンドであり、内外でかなり過小評価されているような気がする。
このアルバムは彼らのデビューアルバムであるにも関わらず、非常に密度の濃い内容になっており、まるでベストアルバムであるかのようなクオリティの高さを維持している。

さて、しばらく絶版で入手困難状態であったこのアルバムが2004年に再発になったときは非常に嬉しかった。
しかも8曲ものボーナストラック付きである。
特に2-4-6-8 MoterWayのシングル盤B面に収められていたI Shall Be Released(原曲はBob Dylan)が入っていたのには大感激であった。
これでCCCDで無ければ最高なのであるが。
オリジナルはUp Against The WallからPower In The Darknessまでの全10曲で、初回盤には特典としてボーナスEPが付いた2枚組のアルバムとして発売された。
著名な2-4-6-8 Motorwayはシングルのみのリリースであったが、後年発売されたCDではアルバム1曲目としてクレジットされていた。
今回のCDでは、"Rising Free"と称された4曲組EP(初回盤のボーナスEPと同じ内容だったかどうかは失念)とシングル盤のみの2-4-6-8 MotorwayのAB面、2枚目のシングルUp Against The WallのB面に収録されたI'm All Right Jackを含み、さらにリミックスを含む2曲のトラックが追加されたゴージャスな内容となっている。

  1. Up Against The Wall

    2枚目のシングルとしてアルバムからカットされたナンバー。邦題は「凶暴のロンドンタウン」、あまりにも酷い邦題である。
    Look out listen can you hear it,panic in the Country Hallというサビの部分が無茶苦茶カッコイいい。
    ギターソロの出来も良いが、シングルカットはこの曲じゃなくても良かったのになあ、という気もする。

  2. Grey Cortina

    ホンキートンクなピアノで始まる明るい曲。
    Grey Cortinaとは、フォード・コルチナという車のこと。
    見た目は普通の乗用車なのだが、ロータスのツインカムエンジンを載せた強力なスポーツカーであった。1960年代のヨーロッパ選手権を席巻した車でもある。
    歌詞の内容はたわいも無く、グレイのコルチナが欲しいなあっていう願望の曲。変に肩肘張っておらず、そういう意味でも凄く好きだ。

  3. Too Good To Be True

    ミディアムテンポのナンバー。大胆にオルガンをフューチャーしており、なかなか大人っぽいイメージに仕上がっている。
    ギターソロも味があって好き。少しヘタウマなのが何とも言えない。そこがこのバンドの魅力でもあるんだけど。

  4. Ain't Gonna Take It

    アルバムの中では一番パンクっぽいナンバーである。が、それだけに印象は逆に薄い。

  5. Long Hot Summer

    このイントロのキーボードにノックアウトされた。
    さらに途中に入るコーラスがちょっと憂いを帯びていて痺れてしまった。
    後半の疾走するギターと、それに絡むキーボードも素晴らしい。このようにカッコイイ曲はなかなか作れるものではない。
    こっちをシングルカットすれば良かったのに。
    ちなみに雀坊堂は、この曲と次のThe Winter of '79をカバーして大学の学園祭でやった事があるのだが、地味すぎてウケは今ひとつであった。無念。

  6. Winter Of '79

    簡単なコード進行で、誰でも思いつくフレーズをかっこよく纏めるのは難しい。
    この曲のイントロも、シンプルなコード進行の中にギターソロが絡んで物凄くカッコいいイントロに仕上がっている。

  7. Man You Never Saw

    一転してハイテンポなナンバー。
    パンク色の強い曲はメッセージ性も高いようである。
    邦題は「権力の罠」。丁度この時代、刑事コロンボに同じ邦題のストーリーがあって、それを思い浮かべてしまった。
    コロンボの上司が犯人になってしまうという、なかなか話題性のある話であった。
    曲はサスティンの効いたギターのサウンドが心地良い。

  8. Better Decide Which Side You're On

    ズンチャ、ズンチャという音頭みたいなリズムの曲。
    日本人には「もみ手で拍手」みたいなイメージに聴こえてしまって今ひとつなんだけれど、こういうリズムって外人にはどう聴こえるのかな?

  9. You Gotta Survive

    これもイントロのギターがカッコイイんだよなあ。どうしてウケなかったんだろうなあ。ノリも悪くないし不思議。

  10. Power In The Darkness

    あまりにもメッセージ色の強い歌詞であるために、そのイメージが先行してしまっているが、この曲の構成は非常に凝っている。
    歌は殆どアジテーションなのであるが、微妙にバックのサウンドと絡みあいながらサビに入っていくところなど、とてもこれがデビューアルバムのバンドとは思えない構成力である。中盤のキーボードソロがとても良い。こんな風に弾けたら気分いいだろうなあ。

  11. Don't Take No For An Answer

    4曲要りEP、"Rising Free"より。ライブ演奏である。
    この曲も非常にカッコ良くキャッチーなナンバーである(同じ表現ばかりで申し訳ない)。
    サビのコーラスなんかも非常に良く決まっていて、シングルヒットしそうな曲なんだけどねえ。
    誤解を承知で言うなら、John Wetton率いるASIAあたりが演ったら無茶苦茶ヒットしたんじゃないかと思ったりする。
    こういう曲を埋もらせてはいかんなあ。

  12. Martin

    これもライブ演奏。
    キーボードの演奏をバックにコミカルに歌う。観客とのサビのやり取りが微笑ましい。

  13. Glad To Be Gay

    さらにライブ演奏より。
    このバンドは本当にイントロの作り方が上手い。曲はミディアムテンポのポップス調。曲だけ聴いていると、このバンドのどこがパンクなんだ?という感じがしてしまう。

  14. Right On Sister

    ライブより4曲目。
    一転してハイテンポなナンバー。
    ストレートなロックンロールである。繰り返されるサビの部分が覚えやすい。

  15. 2-4-6-8 Motorway

    ファーストシングル。この曲が一番有名だろうか。
    この曲は、国内販売されたEPを最初に買ったのであるが、これに付いていた歌詞は聞き取りのものであった。
    ところがこれがとんでもない間違いを犯していたのである。
    本当の歌詞のサビの部分は、
    "2-4-6-8 ain't never too late"
    となっているのであるが、これを、
    "2-4-6-8 motoway"
    と聴き間違えていたのである。確かにタイトルは2-4-6-8 Motorwayだし、そう聴こえない事もないけどさ。
    ちょっとお粗末だったなあ。おかげで、サビの部分を"2-4-6-8 Motorway"と覚えてしまい、なかなかそれが抜けなかったものだ。
    当時のEPをお持ちのかたは、正訳と見比べてみてはいかがだろう?

  16. I Shall Be Released

    Bob Dylanによる名曲である。数多くのバンドがコピーし、歌われてきたが、これほど似合っているバンドは無いのではないだろうか。
    アコースティックギターで始まるサウンドは音質も良く、Tom Robinson Bandの中では1、2を争う名演奏になっている。
    歌詞にはTom Robinsonによる若干の脚色が入っているようだ。

  17. I'm Alright Jack

    ハイテンポなナンバー。一歩間違うとハードコアパンクみたいになっちゃうけど、Tomの歌だとそうならないのが何とも面白い。

  18. Waiting For My Man (Live At London Lyceum 1977)

    原曲はLou Reed
    恐らくデビューまもない頃だと思われ、演奏は多少甘い感じがする。
    文字通りボーナストラックだな。

  19. Power In The Darkness (2004 remix)

    この手の再発企画アルバムにありがちなダンス・リミックス。原曲の良いところが見事にスポイルされてしまっている。こんなの要らない。

半分以上褒めてばかりで参考になったかどうか分からないのであるが、このような優秀なアルバムはもっともっと沢山の人に聴いて貰いたいものである。
Tom Robinson Bandは、こののちプロデューサーにTodd Rundgrenを迎え、TRB TWOというセカンドアルバムを作るが、出来はいまいちであった。セカンドアルバム作成中にメンバーが相次いで脱退したことも影響していると思われるが、このためバンドはあえなく解散した。
Tom Robinson自身は、その後も細々と音楽活動を継続しており、何回か来日も果たしている。

黒バックに突き上げる拳を描いたジャケットも有名で、当時は強いパンク性を感じたものだった。
このジャケットデザインなのだが、つい最近日本のHIGHWAY61なる貧相なバンドが物真似をして大顰蹙を買っている。
確信犯なのだろうが、それにしても真似るレベルが低すぎる。素人じゃないんだから。
HIGHWAY61は、あろう事か中島みゆきの「ファイト!」をパクって大問題になった詰まらないバンドである。
そういう猿真似バンドはオレンジレンジくらいにしといてくれ。