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●妖怪大戦争(2005)

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監督:三池崇史
出演:神木隆之介、近藤正臣、阿部サダヲ、高橋真唯、豊川悦司他

【難しい事は考えないほうがいい】

ヤクザ映画等で有名な三池崇史を監督に起用し、結構な有名人がチョイ役で出演するなど話題豊富な角川グループ60周年記念作品。

まあ、よく言えばエンターテイメントな映画である。
プロデュースは妖怪馬鹿の水木しげる、荒俣宏、京極夏彦、そして何故か宮部みゆきなんかも参加していて、そこそこ凄い内容になっているかと思いきや、実にシンプルで、子供向けに作られている。
母子家庭に育つ弱虫な少年が、いろいろあって世界を守る正義の味方になり、妖怪軍団と結束して帝都物語の魔人、加藤保憲と戦って勝っちゃう映画、と書いてしまえば実にミもフタもないのだが、事実そうであるから仕方が無い。
子供ではない私には、もうひとつ辛いストーリー展開であった。が、子供が見たら結構面白いんだろうな。それはそれで間違いじゃないと思う。

こういう映画をオトナが楽しむとするなら、ストーリーに関係ない細かいディテールの部分を良く見るべきだろう。
まず笑っちゃったのが、大天狗の棲むという山。なんだよこれ、デビルスタワーじゃん。デビルスタワーと言っても分からなければ、未知との遭遇に出てきた変な山といえば分かるだろうか。
そのデビルスタワーそっくりの奇怪な山が大天狗の山なのであった。これは狙ったんだろうねえ。

次々と出てくる妖怪たちの中に、結構な著名人が居る。
まずは猩猩。これがなんと近藤正臣だ。CMでタヌキ役をやった事があるので、被り物系は嫌いではなさそうだが、それにしても良く似合っている。

河童の川太郎には阿部サダヲ。素顔が殆ど分からない特殊メイクだったので、名前を聞いても顔が思い浮かばなかったのだが、2005年末の紅白歌合戦に出たグループ魂のボーカルの人といえば皆さんお分かりであろうか。
なかなかの名調子で、一番妖怪姿が似合っていた。

川姫には高橋真唯。この子はグラビアでしか知らないのだが、コスチュームが妙に色っぽくておじさん向き。
今年で22歳になるそうだが、18歳くらいかと思ってしまった。

油すましには竹中直人。特殊メイクしてないのに見事に油すましに見えてしまったのには大笑い。
本当にチョイ役で、笑わせる以外に存在価値なし。無駄に贅沢な使い方である。

ぬらりひょんは忌野清志郎。何だか知らないけどちょっとミスキャストだったな。何でこんな人使ったのか。
台詞も棒読みだったし、竹中直人のほうを妖怪の総大将にすべきではなかったか。(後述するが、旧作の大映版妖怪大戦争では油すましが妖怪軍団の総大将であった)

小豆洗いにはナイナイの岡村隆史。似合ってるっていうか、どう見ても電撃ネットワークの南部虎弾にしか見えない。小豆洗いの髪型が南部さんの髪型そのものだからなのだが、それならばいっそのこと南部さんにやらせても面白かったんじゃないかなあ?

チョイ役では、砂かけ婆に根岸季衣(ほとんど分からん)、雪女に吉井怜(中山エミリかと思った)、豆腐小僧に蛍原徹(そのまんま)、全然分かんなかったけど、大首は石橋蓮司が演じていた。
その他チョイ役では、荒俣宏、京極夏彦、水木しげるのお三方も出演している。

人間役では、佐野史郎、宮部みゆき、大沢在昌、130Rの板尾とホンコン、柄本明なんていう人達も出ている。
どこで出演しているかは見てのお楽しみ。(大沢在昌はちょっと分からないかも)

妖怪に敵対する魔人加藤保憲を演じるのは豊川悦司。
加藤保憲といえば、帝都物語の嶋田久作のイメージがあまりにも強いが、それを打ち消す事なく見事に豊川流加藤保憲に仕上げたのは見事であった。
この人のおかげで、半分お笑い同然の映画が結構シリアスに締まったように思う。

帝都物語で思い出したが、2作目の帝都大戦で加藤保憲と対決する辰宮雪子を演じたのは南果歩であった。今回、彼女は主人公の母親役を演じており、このキャストは意図的なものであろう。

そして、加藤の手下として妖怪を捕まえる鳥刺し妖女・アギ役に栗山千明。
栗山千明といえば、キルビルVOL.1のゴーゴー夕張役が有名であるが、衣装と髪型が全然違うので別人かと思ってしまった。
この子もなかなかの名演技であったが、どう考えてもフランケンシュタインの花嫁だよなあ、この衣装と髪型。

主人公の稲尾タダシ役の神木隆之介も非常に上手かった。声が女の子っぽいので、最初は女の子が演じているのかと思ったくらいである。

そのタダシのじいちゃん役は菅原文太であった。特典ディスクの製作発表会の中で、「妖怪役を演じたかった。次回は是非目玉おやじをやらせて欲しい」と言ったのには大爆笑。
今でこそ、名優という雰囲気の文太さんだが、昔はトラック野郎一番星だったんだもんね。元々喜劇の素養もある面白い俳優なのだ。

妖怪雑誌の編集者役は宮迫博之が演じた。同時期に上映された「姑獲鳥の夏」の木場刑事役より見事にハマっていたし、のびのびと演じていたのが好印象であった。

あまり説明するような内容のない映画なので、実に困ってしまうのであるが、苦言を幾つか呈しておこう。
まずズッコケたのは出来の悪いCG。全編に渡ってCGだらけなのだが、一部のCGの出来は本当に悪かった。悪役の機械妖怪は全てCGで作られているのだけれど、これがどうにもいけない。
エキストラのダサいぬいぐるみの妖怪たちの方が余程実在感がある。
まあ、色々な意味で非常に金の掛かった映画だっただろうから、CGの精度まで上げられなかったのはやむを得ないか。
というよりも、妖怪のようなイメージ中心の産物をCGで仕上げるのは非常に難しいというべきかもしれない。普段妖怪なんかと縁のないCGライターに日本の伝統の妖怪をイメージしろと言っても無理な話なのかもしれない。

ストーリーの詰めの甘さも気になった。
人間に捨てられたモノの怨念を凝り固めて日本古来の妖怪と結合させ、「機怪」という新たな怪獣を作り出すのであるが、これが物質文化への警鐘になりきっていない。
そのあたりもうちょっと突き詰めたストーリーにした方が、それなりの教訓もあり面白かったのではなかろうか。

ラストの加藤を倒すシーンも弱い。偶然が幸いして勝っただけの話で、主人公の力でもなんでもないのは如何なものか。

ところで、この映画にはオリジナルがある。
妖怪が出てきて戦争をするという主題だけしか一致していないのだが、70年代初頭に大映で作られた「妖怪大戦争」がそれである。
本作と旧作を掛け値なしで比較してみたが、残念ながら旧作のほうが面白かった。
気負わず旧作をリメイクしたほうが良かったのではないだろうかなあ。

旧作の大映妖怪シリーズは3部作になっている。本作品も、ラストシーンがちょっと意味深であり、続編が作られちゃったりするのかもしれない。
詳しくは書かないが「帝都物語」や「羊たちの沈黙」のラストシーンみたいな感じがした。間違いなく狙ってるね、続編。

ともあれ、子供が見るなら全く問題ない。
オトナが見るなら、ストーリーなんか無視して、あまり深く考えずに楽しむほうが良いと思う映画である。

DVDには特典ディスクが付いている。
阿部サダヲの「妖怪の夏、川太郎の夏」はシュールだが今ひとつ笑えなかった。
キャストインタビューはかなり面白く、それだけでも見る価値があるかもしれない。

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 ありがとうございました。