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●2006年11月21日 エリック・クラプトン 日本武道館

三年ぶりに来日した、2006年のエリック・クラプトン・ジャパンツアーを見に行ってきました。
これは、自分自身の備忘録を兼ねたインプレッションです。

開演まで
2003年以来、3年ぶりとなるコンサート。
今回は、今までとバンドの構成を大きく変えてきている。
特徴的なのは2人のサポートギタリストを加えたことで、一人はサウスポーのドイル・ブラムホールll、もう一人はスライドギターのデレク・トラックスという人。
彼等のギターワークも楽しみの一つである。

ステージには相変わらず立ち位置にカーペットが敷いてある。
その他、背景のステージセットが何やら豪華に盛り付けられていた。これは演奏しだしてから分かるのであるが、イルミネーションライトになっていて、演奏に合わせて様々な模様を投影していた。見た目には前回よりも派手になった印象がある。

客層は、相変わらずオヤジが多かった。
今回は1階席だったのだが、私の列は女房以外、全員でかい人ばかりだったので、かなり窮屈だった。
武道館だから仕方ないけれど、居心地の悪さでは近隣の会場の中でも最低である。
やはり専用に作られたコンサートホールのほうが、色々と改修も加えられていて良いと思ってしまう。
入場前にパンフレットを買った。1冊3千円である。
今回は全て日本語版に翻訳されていたのだが、何とヨーロッパ公演バージョンとアメリカ公演バージョンの2種類の表紙がある。
私はコレクターではないので(え?)、アメリカ版のみを購入した。
いつものパンフレット同様、内容に乏しく、これで3千円は高い。
ちなみに公演後の販売ではアメリカ版のみ売り切れだったらしい。先に買っておいて正解。

トイレに行ってから着席。館内は、ほぼ満員状態。
そういえば、入口のダフ屋のおっさん達も、「券余ってたら買うよ」の声のほうが多かった。
「これから始まります」のアナウンスの後、開始まで10分くらい掛かってしまった。
平日だったので、仕事帰りに来るとしても19時開始だとぎりぎりになってしまう人が多いのであろう。
テープのBGMが止むたびに虚しい歓声と拍手が鳴るのだが、それも3回くらいになるとトーンダウン。
ところが突然場内が暗くなって、いよいよコンサートの開始である。

  1. Tell The Truth わらわらとメンバーが登場する中、ギターを弾きながら御大登場。 この登場の仕方は、バタやんみたいな演歌歌手のノリで思わず苦笑してしまう。 抱えるのはビンテージの黒のストラト。前回では使わなかった定番ギターである。 いきなり始まったのは、全然知らない曲で、新曲かと思ったらなんとデレク&ザ・ドミノスの曲だった。およそ30年ぶりくらいに聴いたことになる。覚えてないよーって感じ。 まずはお披露目的に1曲。メインのギターはデレク・トラックスが弾いているようであった。この人は上手い。

  2. Five Long Years
    間を開けずに2曲目。またもや渋い選曲。これも、サビの部分までは新曲じゃないかと思ってしまった。アレンジのせいだったのだが、今回は多くの曲が大幅にアレンジを変えてきていて、それが逆に楽しめた。
    この曲だったか、次の曲だったか失念してしまったのだが、ティム・カーモンのキーボードソロはギター風の音作りで、ちょっと面白かった。
    ギタリスト3人も揃えてるのにアンタもギター風のアレンジかい!って感じ。悪くは無かったのだが。
    1曲目は抑え気味だったクラプトンのソロも爆発。
    ドラムのスティーヴ・ジョーダンがエンディングでスティックを飛ばしちゃったのはアクシデントだったのかな?

  3. Got to Get Better in a Little While
    なんと3曲目もデレク&ザ・ドミノスのライブ盤の曲から。地味すぎる。
    正直言ってこの曲も家に帰ってから調べないと分からなかった。
    途中、ウィルのベースソロが入る。動いてるウィル・ウィークスをまさかクラプトンのコンサートで見るとはねえ、感無量。
    で、圧巻はやはりデレクのスライド。まるでデュアン・オールマンを見ているみたいだ!(デュアン見たことないけど)
    外見は金髪長髪で、何だか弟のグレッグが兄のデュアンばりにスライドギターを弾いているみたいに見えてしまい、思わずうるうる来てしまった。
    一方のドイルのソロはいまひとつ。音が割れていたのと、妙にトリッキーなアドリブなので、下手なんだか上手いんだかちょっと良く分からなかった。ブルースハープの演奏もイマイチに聞こえてしまう。

  4. Old Love
    名曲です。アレンジが今までとはちょっと違う。
    3曲続けて飛ばしてきたので、ちょっと一休みという感じ。
    バックコーラスの女性2人が加わっているので、音に厚みが出ているのが非常に良かった。
    で、このバックのコーラス隊なのだが、2人しか居ないのに素晴らしい厚みのある声。
    さすが黒人は違うなあ。日本人2人じゃ、とてもこんなコーラスにはならない。

  5. Motherless Children
    これも懐かしい曲である。20年ぶりとか30年ぶりに聴いたという感じ。
    今回は客層が前回以上にオヤジしていたんだけれども、果たしてどれくらいの人たちが、これらの古い曲をシッカリと確認できていただろうか。
    ギターは3人ともボトルネックでスライド奏法。エリックに一日の長があるかと思いきや、やはり目立つのはデレクの音。本当にこの人の演奏を聴けただけで、今日は上出来のコンサートであった。
    5曲目を終わって、ふとアリーナ席を見ると、左側がほぼ全員立ち上がり状態なのに対して、真中と右側は着席。拍手も少ない。
    左手にギタリストが固まっており、エリックも左向きに演奏しがちなので止むを得ないだろうか。
    我々は1F南東だったのだが、確かにエリックの手さばきは見えにくかった。
    反面、デレクのフィンガープレイがバッチリ堪能できたので、これはまあ、これで良い。

  6. Driftin'
    椅子が出てきて暗転。エリックがアコギを抱えて一人で登場。
    本当に一人でブルースを爪弾いている時のエリックは楽しそうである。
    しかし、何故か観客は引き気味。アンプラグドも知らないような世代なのか?
    平日だったので仕事疲れで拍手すら出来なかったのか??

  7. Key to The Highway
    これまたデレク&ザ・ドミノスから。聴いているうちに思い出してくる。
    どうやら、デレクが参加していることから、スライドを堪能できる曲を中心にピックアップしているらしい。
    実は、デレク・トラックスは、オールマン・ブラザースのブッチ・トラックスの甥っ子で、しかもデレクという名前は、デレク&ザ・ドミノスから取ったというんだから、まさにスライドギターの申し子と言うべきか。
    いやはや、ビックリである。

  8. Outside Woman Blues
    お次はクリームの曲。オールドファンにはたまらないだろうなあ。
    ドラムのスティーヴ・ジョーダンの仕事がなかなか良い。私の位置からはエリックの真後ろになってしまったので、単に盛り上げ役で出てきただけなのかと思ってしまったが、ドラムの音が控えめながら的確に聴こえてくる。
    彼とウィルのリズム隊は、目立たないながらも完璧な演奏であった。
    テンポの速い曲でのパワフルなドラミングから、抑えての演奏まで、何でもござれという感じで実に頼もしかった。
    スティーブ・ガットも良いけど、後半疲れちゃうからねえ。

  9. Nobody Knows You When You're Down and Out
    アンプラグドでの演奏が光る佳曲。ギターリフやアレンジを相当変えてきているが、この曲もとても好きな曲なので嬉しかった。
    だんだん最近の(と言っても90年代初頭だが)の曲を演奏するようになる。
    それでも全然アリーナは盛り上がっていなかった。ここまでブルージーだと、最近ファンになった人には厳しいかもしれない。

  10. Running on Faith
    これもアンプラグドでの演奏が良かった曲。わたし的には大満足な選曲であったが、アコースティック曲が5曲も続くと少しダレるだろうか。女房と行った杉山清貴のアコースティックライブも中盤から地獄だったしねえ(一緒にするな)。
    ソロは、誰がどの曲のときにどんなソロ弾いてたかがごっちゃになってしまっている。
    「どーも」「Thank you!」の声も、3曲に一回くらいの割合。
    元々喋るタイプの人ではないのだが、どこまで機嫌が良いのか悪いのか、ちょっと判別できない感じであった。

  11. After Midnight
    スタンドセットに戻る。
    イントロでおおっという声が。この曲で「おおっ」と言えるのはやっぱり昔からのファンという事だろう。
    いつもは、事前に何枚かのアルバムを聴いておくのだが、今回は最近のベストアルバムと、From the Cradle しか聴いていなかった。
    いやはやなんとも大失敗である。
    せめて大阪のセットリストくらい見ておけば良かったなあ!
    これから見に行かれる人で、最近ファンになった人は、是非、Layla and the Assorted Love Songsを聴いておくことをお勧めする。
    「いとしのレイラ」のオリジナルが入っているので、買っておいても損はないアルバムだ。
    それはさておき、ドイルのレスポールの音がちょっと耳障り。下手な人だとは思わないんだが、デレクの隣だとかなり損した感じ。まあ、それは止むを得ないか。

  12. Little Queen of Spades
    デレクのスライドソロが圧巻。クラプトンのソロが霞んじゃうほどの素晴らしい出来。
    最初のほうのソロではソロが終わったあとの観客の拍手はまばらだったが、この曲では大喝采。いやあ、凄い人が登場したものだ。今回のツアーの大きな収穫である。
    一方のドイルは相変わらず変なソロ。終わると必ずデレクに耳打ちするように話しかけているのだが、何か調子が悪かったのだろうか。
    これは推測なのだが、サウスポーなのに右利き用ギターの弦の張り方で演奏しているように見えた。(ギターの下側に低い弦が張ってある??)
    それなら妙にトリッキーな演奏になるのも納得のいくところなのだが。
    鳩胸&でっ尻にボサボサ頭なので、まるでボブ・バックランド(誰だよ)が演奏してるみたいに見えてしまった。
    しかし、皆ソロが長いので、後半ダレた印象があった。
    凄いメンバーを沢山揃えるのも考え物である。

  13. Before You Accuse Me
    私の好きな曲。前回もやってくれたが、今回もセットリストに入っていて大満足。
    アレンジを大幅に変えてきたのが面白い。今回は、定番といえる曲のアレンジが結構変わっていて楽しめた。

  14. Wonderful Tonight
    いよいよ最後も近いという感じで、これからの3曲は定番が続いていく。
    静かだったアリーナも漸く盛り上がってくる。
    だが、これだけブルース三昧だと定番が軽く聴こえちゃう。正直、ブルース三昧のままでも良かったような気がした。
    ドイルがBベンダー付きテレキャスでカントリー風味のペダルスチール奏法を見せていたのは面白かった。だが、やはり器用貧乏的なイメージがぬぐえない。ボーカルも取っていたりしたのだが、声質がエリックと似ていて、彼がボーカルを取っているのがちょっと分かりにくかったところもあった。本当に今回は損した役回りだった。

  15. Layla
    まあ、やらざるを得ないんだろうなあ。
    デレクは転調後のパートがちょっと浮いていたので、とても残念。肝心の美味しい所はエリックが弾いちゃうし(当たり前だが)。
    このパートでは、もう少し抑えて弾いたほうが良かったんじゃないだろうか。
    コーラスの姉ちゃんたちが凄い。エリックが歌わなくてもしっかりサポート。

  16. Cocaine
    で、お馴染みコカイン。
    ラストなので、そこそこ盛り上がる。だが、書く事なし!一体全体どういう事なのだ。
    出来が悪いわけじゃない。でも、印象が薄かった。
    やっぱり「ど・ブルース」には敵わないって事だろうか。私の感性が、そっち側に倒れてきた証拠なのかもしれない。

    --アンコール--

  17. Crossroads
    アンコールはクロスロード1曲。ギターリフにbadgeのサビが入ったりして、ちょっと面白かった。だが、これも妙に書くべき感想がない。
    いつの間にかアリーナは全て立っていた。レイラから立ってたのかな?
    アンコール1曲終了で席を立つ人多い。今回は全てアンコールは1曲のようなので、おそらくソレを知っていた人たちなんだと思う。事前情報収集は重要だな。
    それでも拍手をする観客が居たが、場内が明るくなってしまい「ああ~っ」という声が。

終わってみれば2時間ぶっ続けのブルース三昧の演奏であった。
「Change the world」も「Tears in heaven」も無いコンサート。だが、オールドファンにはそれが良かった。
新作から1曲も選曲が無かったというのも、エリックらしい。(直前の欧州コンサートでは演奏していたらしいが、徐々にカットされていったようである)
全体的に、ドミノス時代の曲が多かったのはデレクの参加が大きな要因であろう。
2003年の公演の感想では、延々とブルースをやられても困るなんて書いていたが、ブルース三昧というのも乙なものである。それもこれも、デレクという優秀なスライドギタリストを擁しての結果と言えるかもしれない。
ファン的には、もうちょっとエリックの演奏を聴きたかった気もするのだが、年齢などを考えると今回の公演をやるだけでも充分驚くべき体力と内容なのだ。
これだけ歌い、弾き続けられるエリックを見られるだけでも良しとしなければならないのかもしれない。