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●Jewel Songs~Seiko Matsuda Tribute&Covers~ / オムニバス

  1. 秘密の花園 / YUKI
  2. 渚のバルコニー / Cocco
  3. あなたに逢いたくて ~Missing You~ / LISA
  4. 天使のウィンク / PUFFY
  5. 制服 / ガガガSP
  6. 抱いて… / マニ☆ラバ
  7. ボーイの季節 / 尾崎亜美
  8. SWEET MEMORIES / 小島麻由美
  9. 瑠璃色の地球 / 中森明菜
  10. 瞳はダイアモンド / Chara

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松田聖子は偉大なり。

昭和36年生まれの私にとって、松田聖子という人は他のアイドルとは一線を画した存在となっている。
同い年(同学年)のアイドルとして、同じ時代を生きてきたという意味で、彼女の存在はあまりにも大きい。
そんな彼女のヒット曲を、「いかにも」という面々が中心となってカバーしたトリビュートアルバムである。
実際に聴いてみると、多彩なアレンジが面白い曲と、オリジナルイメージを損ねてしまった残念なものに分かれてしまうが、これは好みの問題と言えるかもしれない。

しかしながら、聴いてみて改めて驚いてしまうのは、松田聖子という「アーティスト」の偉大さである。
彼女が大成した理由は色々あると思うが、私はやはり声質の良さが最大の要因ではないかと思うのだ。
同時期のアイドルである、河合奈保子や岩崎良美なんかも歌が上手かったと思うが、声の質が明らかに違う。
高音域では多少厳しい部分もあるが、全体的に危なげの無い声質は聴いていて安心できるし、また彼女の声を活かした楽曲が多々作られたという点でも、そのアドバンテージは大きいと言えるだろう。小田裕一郎、財津和夫、呉田軽穂(松任谷由実)、尾崎亜美ら、当時の実力派ミュージシャンの曲を貰えたというのも幸運であった。
しかも、当時のヒットメーカー筒美京平の曲を一曲も使わなかった事が、逆に松田聖子のシングル曲に箔を付けていったように思う。

で、その松田聖子のトリビュートである。かなり個性的なメンバーがカバーしており、それも楽しみなアルバムであった。
オムニバスは1曲ずつ解説を加えないと片手落ちだと思うので、全曲紹介していこう。

1曲目、YUKIの「秘密の花園」は、アレンジ過多だったかなあ。もう少しシンプルな音作りでYUKIの声を活かすような編曲でも良かったように思う。悪いアレンジではないが、凝りすぎだ。YUKIファンとしても、聖子ファンとしても物足りなさが残ったのが残念。

2曲目、Coccoの「渚のバルコニー」。声が松田聖子に結構似てる。似ているという事は、この手のアルバムの場合ハンディキャップにしかならない。
が、そのハンディに果敢に挑戦するかのような正統アレンジが逆に好印象であった。

3曲目、LISA「あなたに逢いたくて ~Missing You~ 」。結婚前聖子派としては、どうでもいい曲。だが、このLISAという人も上手いねえ。うまい人が正統アレンジで歌うとなかなか聴かせるのであるが、その分印象が薄くなってしまうのも事実。

4曲目、PUFFY「天使のウィンク」。アレンジ勝ち。まさかまさかの「THE WHO」ですか!
これは変化球ストライク。イントロからして「THE WHO」テイスト満点。中でもギターリフが「Summertime Blues」そのまんまなのはPUFFYならではのアレンジだが、この曲にこんなにマッチするとは不思議。
知ってる人だけニヤリとするのがPUFFYアレンジの持ち味だけれども、この手のアルバムの中には、こういう遊びが満載の曲がもっと沢山あってもいい。

5曲目、ガガガSP「制服」。ガガガSPって全然知らなかったが、いわゆる「青春パンク」なんだねえ。
カバーした「制服」は、曲を聴くまでどんな曲か失念していた。おそらく何かのB面だったと思うが、結構印象的なフレーズがあったりして好きな曲である。
これを青春パンクにしちゃうアレンジは中々面白い。意外と好き。

6曲目、マニ☆ラバ 「抱いて…」。マニ☆ラバっていうのも知らなかったので、ちょいと調べてみたら、青森県出身のロックバンドだそうな。
青森ロックといえば、わたし的には人間椅子で決まりなので、あまりにも明るすぎる演奏には、ちょっと違和感を感じてしまった。まあ、青森全てが短調ってワケでもないんだけど、要するに最近の子たちなんだよねえ。
曲も結婚後の曲だし、わたし的には捨て曲のイメージではあるのだが、真面目に歌っているのが好印象。この人たちのオリジナルもちょっと聴いてみたいなと思わせる音づくりであった。
しかし、それにしてもガガガSPといい、マニ☆ラバといい、聖子の現役時代(ここでいう現役ってのは聖子の結婚前って事ね)をリアルタイムで知らない人たちがこういうのを歌うっていうのはどういう感じなんだろう。
私にとっての美空ひばりとか江利チエミみたいな存在なんだろうなあ。(古くてすいません)

7曲目、尾崎亜美「ボーイの季節」。このアルバム唯一のオリジナルというか、作曲者自らが歌った出戻りカバー。
しかし、残念ながら尾崎亜美はとうの昔に旬を過ぎている。しかも曲が曲だけに、ミスマッチ感はぬぐえない。作者が自ら歌っているのにミスマッチだ。しかも直前まで若いミュージシャンの曲が続いただけに、余計に熟れすぎた印象が強くなってしまった。
こんなの入れるくらいならBonniePinkの「赤いスイートピー」を入れて欲しかった。

8曲目、小島麻由美「SWEET MEMORIES」。正直言って、この曲を聴くためだけに買ったのである。小島ファンとしては外せないカバーだ。
しかも小島節爆裂。小島麻由美の魅力は安定しない歌声にあり、ある意味松田聖子の対極とも言うべき歌手なのであるが、松田聖子の代表曲のひとつでもある「SWEET MEMORIES」を完全に小島麻由美の曲にしてしまう所がこの人の怖いところである。
またひとつ名曲が誕生した。これだけでも充分聴く価値あり!

9曲目、中森明菜「瑠璃色の地球」。一時は聖子とナンバーワン・アイドルの座を争った中森明菜。
その彼女が松田聖子の歌をカバーしている。しかも、結構お気に入りらしく、ステージなんかでも歌っているんだそうな。
明菜といえば低音のパンチが効くという、アイドルとしては珍しい声質の持ち主。だが、全盛期のパワフルな明菜の印象が強い私には、最近のげっそり痩せ細ってしまって、声が充分に出ない明菜はちょっと見たくない。

10曲目、Chara「瞳はダイアモンド」。凄い曲なのであるが、Charaが歌うとこうなるんだろうなあ、というのを予想通りに歌っているという点で、あまりサプライズはない。
Charaの凄さを今更語る必要は無いと思うが、敢えて言うなら「瞳はダイアモンド」という選曲はちょっと当たり前過ぎたか。
聴いたことが無くても、「♪ああ~泣きゃ~な~でめむぉりいい~」と書くだけでCharaの歌声が容易に想像できるではないか。
どうせなら「夏の扉」とかの方が面白かったのではないだろうか?
Charaが全然フレッシュじゃないけだるい歌声で「フレッシュ!フレッシュ!フレ~ッシュ!」と歌うのを聴きたいのは私だけではないはずだ。

全曲聴いてみて、「SWEET MEMORIES」、「瞳はダイアモンド」が群を抜いて良いのだが、意外にもガガガSPとマニ☆ラバが健闘しているという事も付け加えておこう。