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●モンスター・ムーヴィー /CAN

  1. Father cannot yell
  2. Mary,Mary so contrary
  3. Outside my door
  4. Yoo Doo Right


  • Holger Czukay / bass
  • Michael Karoli / guitar
  • Jaki Liebezeit / drums
  • Malcolm Mooney / vocals
  • Irmin Schmidt / keybords

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ジャーマンロックの雄。鮮烈のデビューアルバム

ジャーマン・プログレッシブ・ロックの代表格であるCANのデビューアルバムである。
1969年8月にリリースされたこのアルバムは、その時代背景を考えながら聴くと、改めてその凄さを再認識することができる。
Tangerine Dreamや、Kraftwerkなどのドイツの著名なプログレバンドはもちろん、King Crimzonすらレコードデビューしていない時代だ。

演奏は荒削りで、ドラムのJaki Liebezeit以外は、そんなに上手いという印象がない。そのJakiにしたところで、単調なハンマービートを延々と続けているのだから、よく聴かないとその上手さは分からないと思う。
ヴォーカルのMalcolm Mooneyが、これまたクソ下手なもんだから、先入観なしで聴いたらまず、ダサいバンドだと思ってしまうに違いない。

しかし、1969年という時代背景を考えたとき、このような音作りが出来たというのは実に先見的であったと言えるのではないだろうか。
CANのサウンドは、単調なドラムとベースの連続にサスティンの効いたギターが絡み、ヘタウマなボーカルが旋律を半ば無視して乗ってくるというものである。このような不協和音的なサウンドをロックで演奏してしまえた背景としては、彼らが元々は現代音楽やジャズをやっていたからだと言っていいだろう。
ある意味、現代音楽やジャズで食い詰めた連中が、ロックなら少しは金儲け出来るんじゃないかと考えてバンドを作ったようなもので、そのあたり、妙な胡散臭さに満ちている。が、その胡散臭さすらバンドの味にしてしまったのであるから、これが計算された結果なのだとしたら、この人たちはかなり頭も良いし、センスもあるのだと思ったりする。

私がCANの存在を知ったのは70年代後半になってからだが、当時発売されていたLPの帯だったか、雑誌の紹介記事だったか忘れたが、「日本人のボーカリストが居て、彼がレコーディング中に発狂して奇声を上げて逃走した。」という情報があり、何だか物凄く危ない音楽をやっているバンドという第一印象があった。
実際にアルバムを聴いてみて、その呪術的なドラムを中心としたサウンドに、非常に不気味な印象を持ってしまったのは事実である。
そんなイメージが強くて、ろくに聴いていなかったのだが、今回紙ジャケットCDの発売で初期のアルバムを購入してみて、改めてこのバンドの凄さを痛感している。

  1. Father cannot yell

    チープな電子音で始まる曲は、単調なドラムの上にルーズなベースの音が重なって、そこに歌とも独り言ともつかない声が重なってくる。
    CANはドラムとベースが音の核となって力強く主張している稀有なロックバンドであり、ギターやキーボードはある意味添え物でしかない。ボーカルに至っては雑音と言い切っても良いくらいだ。
    途中からスイングしきれず何とも中途半端に音程とタイミングを外しながら、それでいて圧倒的なグルーヴ感をかもし出すHolger Czukayのベースが素晴らしい。

  2. Mary,Mary so contrary

    一転してスローナンバー。イントロのイメージが何となく、King CrimzonCadence and Cascadeに似てると思う、などと書いたら顰蹙だろうか。
    Michael Karoliのむせび泣くギターが良い。

  3. Outside my door

    非常にポップなナンバーである。
    ドラムとベースの単純なフレーズの反復。その上に乗っかるチープなハモニカの音。そしてボーカル。
    ポップながら、CANであるべき音をしっかりと確立しているところが只者ではない感じを受ける曲だ。
    後半のギターソロも良い。

  4. Yoo Doo Right

    呪術的なドラムとボーカル。これこそがCAN節とも言えるサウンドである。
    序盤のギターの厚みのあるサウンドも、ある意味CANの代表的な音と言えるのだが、中盤からの圧倒的ドラミングの前に霞んでしまう。
    このドラムは凄い。
    ヘタレと貶し続けたMalcolm Mooneyのボーカルも、この曲に限っていえば、そのちょっと狂い気味の歌いっぷりが妙にマッチングしている。



1969年にしては妙に新しく見えるプルートゥみたいなロボットのジャケットはオリジナルではなく、独UA/リバティからリリースされた時にデザインされたもの。
これが全く音楽に合っていない。なんでこんなジャケットにしたのか。
オリジナルのジャケットデザインは、インナーの解説書の中に掲載されているが、こちらの方が怪しくて、実にCANらしいジャケットであった。