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●フランケンシュタイン(1931)

cover ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

監督:ジェームズ・ホエール
出演:ボリス・カーロフ、コリン・クライブ他

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【モンスター映画のルーツ】

フランケンシュタインといえば誰もが連想する頭の平たい怪物は、全てこの映画のイメージから来ている。怪優ボリス・カーロフの代表作でもある。
実はフランケンシュタインという題材自体は、これが初の映画化というわけではない。
1910年に、わずか15分という上映時間の無声映画で、トーマス・エジソンが映画化したといわれているものが最初であるが、残念ながら未見である。(現存しているのだろうか?)

原作はメアリー・シェリーという女性の手によるもので、その原作のストーリーと本作品とは相当イメージが違っている。
原作に忠実に作ったものとしては、フランシス・フォード・コッポラがケネス・ブラナーとロバート・デ・ニーロを配役にした1994年版がある。興味のあるかたは、こちらもご覧頂くと良いだろう。

また、有名な話であるが、フランケンシュタインというのは怪物の名前ではなく、それを作った博士の名前であり、怪物自体に名前は付いていない。
だが、我々世代にとって、この怪物こそがフランケンシュタインであった。
この映画を初めて見たのは、小学生時代に、淀川長治の日曜洋画劇場で見たのだと思うが、死体を切りつなぎ、雷の力で生命を与えるという蘇生方法が、子供心に非常に説得力があり、またその実験室のメカニックなども不思議な感じで、怖さも忘れて見入ってしまったことを覚えている。
特にモンスターの造形は素晴らしく、とても今から80年以上も前に作られた作品とは思えない。
80年以上も前の映画が、特殊メイクを含め現代でも鑑賞に堪えるというのは驚嘆に値する事実だ。
私はこれ一作で、ユニバーサルのモンスター映画に入れ込むようになってしまった。
その後、ハマーホラーなども見るようになるのだが、フランケンシュタインを扱った作品の中では、未だに本作品を超えるものには出会っていない。

モンスター役のボリス・カーロフは全く売れない役者だったが、実は彼は代役である。
本来は、同年にユニバーサル映画が作成したゴシック・ホラーの第一弾「魔人ドラキュラ」で主演したベラ・ルゴシが演じる予定だったが、台詞が無く、また、特殊メイクで素顔が分からなくなるのを嫌って辞退したといわれている。
余談ではあるが、ベラ・ルゴシは第5作「フランケンシュタインと狼男」でモンスター役を演じている。これは、思った以上にカーロフのフランケンシュタインが当たったので、考えを改めたのだろうか。
さらに余談となるが、第4作では、のちに「狼男」で有名となるロン・チャニィ・ジュニアがモンスターを演じており、ボリス・カーロフ、ベラ・ルゴシ、ロン・チャニィ・ジュニアというユニバーサルモンスター三大俳優は、全てモンスター役を演じたのだった。
それだけ、「フランケンシュタイン」がユニバーサルの代表作となったという証しなのであろう。

世間の間では、「誤って狂人の脳を使ってしまったために殺人鬼と化すモンスター」という説明のしかたがなされている事があるが、これは違う。
確かに狂人の脳が使われてしまったのだが、彼は殺人鬼ではない。
殺すという概念が理解できないだけなのである。
非常に有名な川岸での少女とのシーンが、それを物語っている。
少女が花を摘んで川に投げ入れるのを真似していたモンスターは、花を投げ入れるのと同じように、少女を摘んで川に投げ入れただけなのだ。だが、少女は死んでしまう。それが理解出来ないだけなのである。
このときのモンスターの表情は、まるで子供のように無邪気に見える。
醜い外見と、つたない知性のために、モンスターは自分をうまく表現することが出来ず、怪物として葬られてしまうのである。

モンスターの特殊メイクはジャック・P・ピアースが担当。
灰色の肌と首の両側に突き刺さるボルト、厚い瞼に平な頭頂という「フランケンシュタインの怪物」のデザインは意匠登録され、従って以後ユニバーサル映画以外で作成されたモンスターは、このスタイルを流用することが出来なかった。
最も近いイメージのモンスターを再現したのは、日本映画の「フランケンシュタイン対地底怪獣」でのモンスターかもしれない。だが、この映画は怪獣映画であって、ゴシックホラーとは言いがたいものであった。

この映画は、モンスターの外見を除けば、怖い映画ではない。むしろ悲しい映画である。
少年時代見た私でも、この映画が単に怖いだけの映画ではない事が良く分かった。
それが、この映画を名作といわしめた理由のような気がする。

これ以後、ユニバーサルでは数々の続編を製作していくが、ユニバーサル映画以外でもホラーのみならずコメディ映画やパロディ映画などでもフランケンシュタインを製作するようになる。
日本でも東宝怪獣映画として「フランケンシュタイン対地底怪獣」「フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」が作られた。
ここでは、それらの数多くのフランケンシュタイン作品を出来るだけ取り上げて行きたいと考えている。

ところでこの作品は、製作後既に76年が経過し、米国の著作権法の保護期間(75年)を超過した関係か、非常に安価なDVDが市場に出回るようになった。例のミッキーマウス保護法で、米国の著作権保護期間は95年に延長されたと思ったのだが、これはまさにミッキーマウス保護だけの事だったのだろうか。