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●アルファ / ASIA

Alfa / Asia




  1. ドント・クライ / Don't Cry
  2. 偽りの微笑み / The Smile Has Left Your Eyes
  3. ネヴァー・イン・ア・ミリオン・イヤーズ / Never In A Million Years
  4. マイ・オウン・タイム / My Own Time
  5. ザ・ヒート・ゴーズ・オン / The Heat Goes On
  6. 悲しみの瞳 / Eye To Eye
  7. 時の旅人 / The Last To Know
  8. トゥルー・カラーズ / True Colors
  9. ミッドナイト・サン / Midnight Sun
  10. 永遠の輝き / Open Your Eyes


    • John Wetton / bass,vocal
    • Steve Howe / guitar
    • Geoffry Downes / keyboard
    • Carl Palmer / drums
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A1以外捨て曲、、、なんて書いたけど・・・。

そういうわけで、ASIA来日記念レビュー2枚目は2作目のアルファ。
ここまでがオリジナルメンバーによるアルバムとなっている。

第一作めで絶大な支持を受け調子に乗ったJohn Wettonは自らの歌を前面に押し出したポップバンドに変貌させる。ところがこれは大失敗。
John Wettonってそこそこ歌はうまいけど、とてもボーカルで一本立ち出来るほどの歌唱力はない。スーパーテクニックのバックミュージシャンに支えられて歌っているから聴けるのだ。
このアルバムでも得意げにバラードナンバーを数曲歌ったりしているが、声が平坦なのでどの曲も同じに聴こえてしまう。
よく、ASIAを同時期のJourneyなどと比較するレビューを見かけるが、Journeyには稀代の濃い系ボーカリストSteve Perryが居る。ASIAにスティーブばりのボーカルが無い以上、似たような音でバラードなんか歌っても遠く及ばないのであった。

Steve Howeの曲が全くなくなり、全作Wetton&Downesによる作品となるが、それが逆にアルバムとしての色を均一化させてしまい、各曲が目立たなくなってしまったようである。
案の定、プログレファンからの評価は低い。それは、殆んどが歌中心だからで、第一作で聴かれたSteve HoweのギターもGeoffry DownesのキーボードもCarl Palmerのドラムも全然目立っていないのだ。
それならJohn Wettonのソロアルバムでいいじゃんかよう、という気になってしまうのである。

さすがに大ヒットした1曲目「Don't Cry」はウチの女房でも知っているくらいのナンバーなので耳馴染みが良いのだが、それ以外は印象が被ってしまっていて個々の曲が目立って来ないのが残念。
曲自体は悪くない。シングルカットされた「偽りの微笑み」なんか、結構良い出来なのにも関わらず、アルバム全体を通して聴いてしまうと、「ドント・クライ」1曲だけが立っているイメージになってしまい、そこがこのアルバムの欠点のような気がする。

巷の評判では第一作よりもこちらを押す人も多いようであるが、私のようなプログレ&プリティッシュロック育ちのロックファンにウケる音づくりではない。メンバーが楽しみながら演奏していないという気がしてしまう。もうちょっと各パートのソロとか味付けにバラエティがあれば、それなりに良くなったように思うのであるが。
後年になって知った事であるが、Steve HoweはDon't Cryのギターを弾きたくなかっただとか、このポップ路線への傾倒はメンバーの意向ではなくプロデューサーの意向だったとかいう話を聴いてしまうと、さもありなん、という感じがしてしまう。

このアルバムのリリース直後に来日公演があったのだが、その直前になんとJohn Wettonが脱退(一説によると解雇)。急遽、元EL&PGlegg Lakeを入れて来日コンサートを行うが、直後にレイクは脱退してしまう。まさに急造メンバーだったわけだ。
その後ウェットンが復帰するものの、今度はSteve Howeが抜けてしまい、以後尻すぼみというプログレバンドならではのややこしい人間関係が浮き彫りになる。
その後はGeoffry Downesがリーダーとなり細々と活動を続けていくが、聴くべき内容のものはない。1996年に発売された「ARENA」では、サポートメンバーとして何と日本から布袋寅泰が参加しているが、殆んど話題にはならなかった。

***

今回の来日公演では、このアルバムからの選曲はわずか3曲。しかもそのうち2曲はアレンジを変えての演奏だった。
アコースティック風のアレンジだったが、これが大正解。このアルバムで商業主義志向に徹したのはプロデューサーの意向だったようだが、もう少し自由にやらせていたほうが、もっと良いアルバムになっていたのではないかと思うと残念でならない。
1作目からは全曲演奏しているのだから、オリジナルメンバーにとってのASIAへの入れ込みはまさに1作目に凝縮されていたと言っていいかもしれない。この選曲は、一説によるとSteve Howeに遠慮してとの事だったそうだが、果たして真相はどうなんだろうか。
余談ではあるが、ASIAのスタジオアルバムタイトルは、Aで始まってAで終わる単語を使うという韻を踏んでいる。
ASIA、ALFA、ASTRA、AQUA、ARIA、ARENA、ARCHIVA、AURAと続いたのだが、2004年のアルバムSILENT NATIONでその原則は崩れた。こういうのはずっと続けていかないと意味が無いのである。ABACA、ACACIA、AFRICA、AGENDA、、、ちょっと考えただけでも、まだまだA-Aの単語は沢山あるのに、そういうこだわりが無くなったのはバンドが二流、三流化した証拠と言っても差し支えないだろう。

もし、2006年再結成のオリジナルメンバーでアルバムが出るとしたら、是非A-Aの原則を復活させて欲しいものである。