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●フランケンシュタインの花嫁(1935)

cover ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

監督:ジェームズ・ホエール
出演:ボリス・カーロフ、エルザ・ランチェスター他

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【前作を凌駕したフランケンシュタイン映画の決定版】

名作「フランケンシュタイン」の続編であるが、大抵続編などというものは全く面白くないものである。
ところが、この作品は非常に面白い作品に仕上がっていて、前作に引けを取らないどころか、前作を凌駕したクオリティになっているところが素晴らしい。

ストーリーは、詩人バイロンと、シェリー夫妻の会話から始まる。
「フランケンシュタインのモンスターは死んだのではなく、この話には続きがあるんですよ。」と語るシェリー婦人は「花嫁」と一人二役を演じるエルザ・ランチェスター。ぱっちりと大きな目で非常に可愛らしい。
特撮好きにとっては、ちょっと「謎の円盤UFO」のエリス中尉を連想させる、愛嬌のある顔立ちだ。
余談ではあるが、彼女は「星は輝く」「情婦」で二度アカデミー助演女優賞にノミネートされている名優である。
晩年、「名探偵登場」に陽気なオバサン探偵(アガサ・クリスティのミス・マープルのパロディ)役で出てきた時にはずっこけたものだ。
このシェリー婦人が後半「花嫁」として登場するというのは演出の妙であるが、指摘されなければ多分気が付かないと思う。

第一作で死んだと思われていたモンスターであるが、実は死んでいなかった。
盲目の老人の奏でるバイオリンの音に、人であることに目覚め、知能を得て、人語を理解し、喋ることが出来るようになる。
一方、フランケンシュタイン博士とは別に独自の人間蘇生法を編み出したプレトリアス博士は、モンスターを助け出し、フランケンシュタイン博士を巻き込んでモンスターの花嫁にするために、死美人の蘇生に努力する。
鳥のようなぎこちない動きで蘇生する花嫁。そしてモンスターの異形を見て恐怖の叫びを上げる。
このシーンは強烈だ。特に、絞るような声で叫ぶ花嫁の姿が痛ましい。
花嫁に拒絶され、絶望の縁に立たされたモンスターは、、、
ラストシーンは見てのお楽しみとしておこう。

このストーリーは、シェリー婦人の手による原作により近いものに仕上がっていて、それが前作を凌駕する出来になっている。
「フランケンシュタイン」が、動きの鈍いフゴフゴ唸るだけのモンスターであるというイメージは第一作と、日本のマンガ「怪物くん」などがもたらした印象が強いので、この作品における饒舌なモンスターというのは、実は原作に一番近いのだけれど、非常に違和感を感じてしまう。
モンスターを演じるのは本作が最後という予定であったカーロフだったが、前作以上の評価を得てしまったために以後「フランケンシュタインの復活(1939)」でもモンスター役をやらざるを得なくなってしまったそうである。

花嫁のスタイルも印象的である。大きくて長い髪に稲妻型に入るメッシュのデザインは全く古めかしくない。
そして、あの鳥のようなぎこちない動き。これを演出したのはジェームス・ホエールだったのだろうか。素晴らしい怪物演技指導であった。ちなみに、「妖怪大戦争(2005)」で栗山千明が演じた「鳥刺し妖女・アギ」の衣装はそのまんま「フランケンシュタインの花嫁」で、これは当然意識してのものであると思われる。

第一作が、あくまでも怪奇映画であったのに対し、本作品は単なる怪奇映画とは言いがたい叙情性を持っている部分が素晴らしく、本来なら忌み嫌うべきモンスターの悲哀に最後は観客が同情心すら抱いてしまう。
怪奇映画の初期の段階で、このような傑作が生まれた事は驚嘆に値しよう。

だが、本作以降、ユニバーサルのモンスター映画の質は、残念ながらどんどん落ちていってしまうのであった。

第一作はともかくとして、この作品は意外とDVD化されるのが遅く、ここにきて漸く入手しやすい値段で販売されるようになったのは喜ばしい事だ。
なお、廉価版として限定版ながら500円というロープライスのバージョンも書店などで販売されているようである。
この作品はホラー映画というより、悲劇として見るべき映画だと思うので、この手のホラー映画が嫌いなかたでも、是非一度ご覧頂きたい。
騙されたと思って500円投じるのも一興だと思いますよ。