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●ULTRAMAN(2005)

cover バンダイ・ビジュアル
監督:小中和哉 特技監督:菊地雄一
出演:別所哲也、大澄賢也、遠山景織子、裕木奈江他
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【ウルトラマン第一話の新解釈だが・・・】

空想特撮シリーズ「ウルトラマン」の第一話、「ウルトラ作戦第一号」を下敷きとして新解釈のもと、現代風に作り直したのが本作品、という事である。
平成ウルトラマンの失敗作「ウルトラマン・ネクサス」と世界観を共有しているとの事であるが、ネクサスは未見なので、それとの対比による評価は出来ないことをお断りしておく。

まずは、簡単にストーリを紹介しておく。

F15戦闘機のパイロット真木(別所)は、飛行中に謎の赤い発光体に激突する。
真木は奇跡的に無傷で生還するが、陸自のバイオテロ研究機関に拉致されてしまう。
そこで教えられた事は、真木以前にも青い発光体に衝突した隊員、有働(大澄)がいて、彼も無事に生還したのだが、その後モンスター「ザ・ワン」に変身してしまい、他の隊員を殺して脱走する。
拘束中の真木を殺そうとして再び現れた「ザ・ワン」の目の前で真木は光の巨人に変身し、「ザ・ワン」と戦う。
その様子を見ていたバイオテロ研究機関の隊員水原(遠山)は、巨人が自らを助けてくれた事で考えを改めはじめる。
だが、超能力により息子の危篤を知った真木は、基地を脱走してしまう。
病院で息子に励まされた真木は、「ザ・ワン」との対決を決意。殺戮を繰り返す「ザ・ワン」の前に再び光の巨人となって立ちはだかった。

まあ、このように書いてしまうと本当に身もフタも無いのであるが、そういう話なんだから仕方がない。
確かに元祖ウルトラマンの第一話をモチーフにしてはいるのだが、微妙なアダルト感が印象を中途半端にしてしまった。子供向けにしてはシリアスだが、我々リアルタイム世代には子供だましという印象だ。
この映画を見て感じたのは、「平成ガメラの猿真似」という印象であった。
「全世代に響くウルトラマン」という謳い文句だったそうだが、それが逆に散漫な印象を強くしたのが残念である。また、平成ガメラに強く感じる終末感が微塵も感じられないのは、それがウルトラマンの持つ希望だったとしても、物語性を弱く、軽くしてしまう原因となっており、平成ガメラの猿真似という悪印象を抱かせる原因となっているような気がする。
また、「ザ・ワン」の形態やウルトラマンのデザインも、妙に平成ガメラや平成仮面ライダーのデザインに近く、やたらゴテゴテしているだけでウルトラマン独特の「のっぺり感」に欠けている。
特にウルトラマンのボディ造形は最悪で、ウルトラマンというよりデビルマンを想起させてしまった。その割には太めの体形なので、全く似合っていない。あのデザインを活かすのならもっと細身の体形にしなければならない。

と、まあ文句たらたらなのであるが、少しは誉めておこう。
まず、主人公がそこそこの年齢なのが良かった。平成ウルトラマンはジャニーズ系の、なよなよとした兄ちゃんばかりでかなり食傷気味だったのだ。元祖のハヤタにしても実年齢は意外と若かったらしいが大人の雰囲気があったので、別所哲也という配役は歴代ウルトラマン俳優の中でもトップクラスに据えて良い配役だったと思う。
加えて、「ザ・ワン」役の大澄賢也もなかなか良い味を出していて好感が持てた。
一方の遠山景織子は、新しい役にチャレンジしたのだろうが、少し力不足だったか。可愛らしいので配役としては損な役回りであった。こういうのは江角マキコとかが似合う役である。
別所の妻役にはなんと裕木奈江。「北の国から」のタマコがもう母親役やっちまうんだなあ。まあ、刺身のツマみたいな役どころだったので、可もなく不可もなく。
主人公の真木は自衛隊を退職して星川航空のパイロットになるのだが、ここで万城目(草刈正雄)、一平、ユリちゃんが出てくる。ウルトラQとのコラボレーションというわけだが、このアイデアは悪くないが、無駄に資源を使っているイメージだった。
折角、新聞記者という商売に就いているんだから、もう少しユリちゃんを活かす方法があったように思う。
ただ、科学特捜隊のようなものを廃したという点では、想定年齢対象を少し上げていると考えたほうが良いのかもしれない。

「ザ・ワン」は小動物を体内に取り込んで行く事で、何度となく形態を変えていく。この発想はなかなかユニークで、特に身長5メートル前後の大きさの時に最初のウルトラマンと室内で戦う部分はかなり新鮮であった。
だが、このシーン、平成ガメラのギャオスが甦るシーンと妙にダブってしまったのは何故だろう。
空中戦のシーンはフルCGで、動きがあったが如何せんCGは軽すぎる。折角の着ぐるみなのだから、それを活かしたアクションをふんだんに使って欲しかったものである。

ウルトラマンの武器は腕から出る光のカッターみたいなものが主体だったのだが、最後の最後でスペシウム光線が出た。お約束だとは言うものの、やはりスペシウム光線はウルトラマンの必需品である。
だが、スペシウム光線を受けた怪獣は爆発しなければならない。私が唯一見た平成ウルトラマンは「ティガ」のみだが、ティガはCGだったけどちゃんと爆発したぞ。
あの爆発感があってこその怪獣退治である。JAWSのラストがそうであったように、悪い怪物は最後に爆発して終わるべきなのだ。

音楽をB'zが担当した事でも話題となったが、確かにそこそこの疾走感はあるものの、私はこの手のロック調の音楽を特撮に使うのには大反対なので興味は沸かなかった。
やはり特撮のサントラといえば、一に伊福部(昭)、二に宮内(国郎)、三四がなくて五に菊池(俊輔)であろう。

なお、セル版には特典として、この作品の背景にある世界観などが克明に記載されていて、それを読むと、この映画がその世界観を100%活かしきれていないことが分かり、そこが非常に歯がゆく感じた。
これを見て「ネクサス」を見ようという気にはならないのだが、平成ウルトラマンのひとつの作品としての評価は決して低くはない。
興業的にも失敗だったようで、ネクサスそのものも低調で打ち切りになってしまうのだが、その反省を活かして原点回帰的な作品となる「ウルトラマンマックス」を誕生させることになったのだから、怪我の功名といえるかもしれない。
長いシリーズものには、失敗も必要なのだ。