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●2007年6月3日 小松政夫とイッセー尾形のびーめん生活スペシャル

世田谷パブリックシアター

イッセー尾形の一人芝居は大好きなのであるが、なかなかチケットが取れなくて生で見る機会を逸していた。
今回のものは小松政夫を迎えての二人芝居なのであるが、基本コンセプトはイッセー尾形の一人芝居のエッセンスを二人芝居で実演している形となっている。
これは、自分自身の備忘録を兼ねたインプレッションである。

開演まで
会場に入ると、縁日のような雰囲気。駄菓子やちょっとした食べ物が屋台風のカウンターで販売されている。
天井からは紙風船がたくさんぶら下がっていて中々面白い趣向であった。
くじ引きをやっていたので引いてみると四等である。
ところが何と女房が一等を引いてしまった。一等!すごいねー!!とワクワクしつつ、交換所に行くと、一等賞は「駄菓子弁当/大」であった。変に中途半端な期待をしてしまっただけにガックリ。
四等は駄菓子1個。色々選べたのだが、結局ミニサイズのカラムーチョを貰う。

ホールは思ったより狭くてこじんまりとしていた。だが、二人芝居を見るのには丁度良い大きさだったかもしれない。
我々は二階席に着席。面白い椅子だったが、規格外体系の私には少し窮屈だった。幸い通路際だったので大きく足をはみ出させて座ることが出来た。
ステージ上にはアクリルで作られた四角くて透明な箱が2個置いてあるだけ。さらに両袖には衣装がぶら下がっている。ここで着替えるというのだろうか。

開演30分前くらいにはまばらだった客席が、開演5分前にはほぼ満席となった。客層は意外と年配の男性が多い感じである。若い人は如何にも演劇好きというか、自分でもやってそうな感じの人たちが多い。
そうして、小松政夫とイッセー尾形による二人芝居の開演を迎える。
なお、タイトルは私が適当につけたものだが、カッコ内のものはチラシに書かれていたもので正式名かもしれない。

  1. ボクサーとマネージャー
    イッセー尾形のボクサーと、小松政夫のマネージャー。尾形はガウンを着て臨戦状態、小松はアフロヘアーにサングラス、鼻ヒゲという出で立ち。黒いスーツにフリルの付いたシャツを着ていて如何にも一癖ありそうな感じ。 尾形は年老いたボクサー役であり、試合を組まれたものの、段々とやる気が無くなってきてしまう。小松は何とか試合をさせようとあの手この手を使って尾形を盛り上げる。 こういういい加減なマネージャーって居そうだよなあ。このやりとりが面白かった。押しては引き、引いては押す。二人芝居の醍醐味でもある。

    最後には小松がレフェリーをやる事で八百長試合をやらせる事を納得させてリングの上にあがるのだが、簡単に相手にノックアウトされてしまう。カウント9から9.1、9.2と苦し紛れのカウントを小松が叫ぶところで幕。

    芝居が終わると、両袖に分かれて着替えとメイクが始まった。その場でパンツ一丁になって着替えるのにはちょっと驚いたが、確かに引っ込んでしまっては間が持たないのであろう。
    流石に慣れているのか、尾形の着替えは恐ろしく早かった。

  2. 老夫婦のカジノ旅行
    小松が夫、尾形が妻役。尾形の演じるオバサンってどうしてこんなに実感的なんだろう。道で歩いていても全然違和感のないオバサン振りである。
    長い夫婦生活で初めての海外旅行、しかもカジノ。ここぞと奮発して100万円を持ってきた妻に驚きながらも、その金を使ってルーレットを始める夫。
    狙った数字はいつもひとつハズレ。しかもそれは妻が選んだ数字になってしまう。ここから二人の喧嘩が始まるのであるが、その喧嘩の仕方が妙に面白くてツボに嵌った。
    「お前がもうちょっと強く望んだらその数字にしたのに!」と怒り出す夫。妻も負けてはいない「あなたは何時でもそうなんだから!!」
    何度張っても負け続けるのだが、最後に残ったなけなしの1枚が当たる!!
    結果は大負けなのだが、1回当たったことに大喜びの夫婦で幕。
    この芝居は奥が深くて良かったな。

  3. ロシア演劇(さなえとガンちゃん)
    以前テレビでも見たことがある話だった。
    ロシア演劇の座長兼演出家の「がんちゃん」(尾形)と、座付きの主演女優「さなえちゃん」(小松)
    尾形のがんちゃんは本当にハマリ役のようなくらい似合っているのであるが、小松演ずるさなえちゃんがコレマタ妙!青いショートボブの鬘を被っているのだが、これが実に良く似合う。

    このあたりになってから、漸く内容の半分くらいがアドリブだという事に気づく。
    尾形にいきなり振られて「同じ芝居は二度と出来ません~」とぽろっとこぼす小松。場内爆笑。

  4. 観光地の船長と船員
    観光地の観光船?の船長役に小松、船員役が尾形。
    この話はアドリブ満載であった。尾形が小松に適当な話を振ると、それを受けて小松が法螺話を即興で語りだすのである。いきなり振られて一瞬しどろもどろになる小松が見もの。
    それをニコニコ笑いながら見ている尾形は出演者というより一人の観客でもあった。

  5. 老齢のガードマン(朝までガードマン)
    今度は小松がお返しとばかりに、尾形のガードマンに適当な話を振る。それを受けてこなす尾形の芸は大したもの。二人とも楽しみながらやっているのが良く分かった。快作である。

  6. 幼馴染の半生(俺とお前)
    学生服を着た二人が卒業から社会人になり、それぞれの道を歩んでいく。
    エピソードが語られる折りおりに、小松が歌い尾形がギターを弾く。尾形のギターはいつ聴いても上手い。ところが、小松が歌詞カードを見ながら歌おうとしたところ、メガネがないのに気づいて一旦中断。こういったハプニングも余興と言えよう。
    中盤から、二人の友人役として小松が一人二役で女性を演じるのだが、これが妙に古風な感じで、それを尾形に指摘されて大弱り。
    「若いんだから、それは無いでしょう?」言いながらニコニコしている尾形。
    服を着替えているわけではないので、振りだけで女性を表現しなくてはならないので、どうしても変に大仰になりがちなのだが、四苦八苦しながら演じている小松の姿が笑えた。

エンディング
最後に芝居を終えてから二人が舞台上で客席に向かってコメントを。
これも楽しいひとときであった。
全体的に尾形が小松を弄くっている感じがあって、それが小松の芸の奥の深さを引き出していて、二人ともさすがだなあという感じであった。
もちろん、この二人芝居には大満足なのであるが、尾形の一人芝居のほうも、絶対に生で見てみたい!