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●2007年7月29日 吉祥寺シルバーエレファント ライブ

どらPresents-どらマテックNight-
Flat122/SHERPA/日比谷カタン/内核の波

これは、自分自身の備忘録を兼ねたインプレッションである。

プログレを中心に精力的なライブステージを見る事が出来る、吉祥寺のシルバーエレファントにて、4つのバンドのコンサートを見に行ってきた。
内核の波(ないかくのわ)は以前から見ているバンドで、これと、前回見た時にいっぺんで好きになってしまった日比谷カタンという2つの優秀なステージが出るのである。
これは見に行かねばならない。

なお、プログレには好き嫌いがあるので、私が酷評しているものが必ずしも音楽的に悪いものではないという事を書き添えておく。

  • FLAT122

    最初のステージはFlat122。平田聡(G)、川崎隆男(KB)、田辺清貴(DS)というトリオ。
    私の前にはキーボードの人が座ったのであるが、この人どうみても萩原健太です。本当にありがとうございました。
    最初のイメージというのは強烈で、以後終わるまで萩原健太がピアノを弾いている違和感が抜けなかった。申し訳ない。

    私がロックバンドをやる上で絶対にしてはいけないと思う事が幾つかある。
    1、ステージ上で曲の打ち合わせをしないこと。
    1、間違えても途中で演奏をやめないこと。
    1、MCも曲のうち。しっかり構成して喋ること。ギャグが滑っても構わない。
    1、ステージ衣装を用意すること。死んでも普段着は着るな。

    この全てを目の前で見てしまった。
    どうも私とは相性が悪そうなバンドである。

    曲の打ち合わせは、練習不足を露呈するものだし、最低限、ステージに上がる前にやっておくべきことで、それは金を払ってみる客に対して失礼である。
    曲が始まる前に、ギターの人がいきなりキーボードの人に対して「ピアノは○○小節目から入ってください」と言い出し、それを受けたキーボードの人が「参ったな・・・」とポツリ。おやおやおや、こんなんで大丈夫かいな?
    二人とも如何にも頑固そうな感じである。これが良い方向に行けば面白いんだろうけどね。

    間違った時に演奏を途中でやめてしまうのは、賛否両論あるだろうが、基本的に私は賛成できない。
    出だしでトチるのならまだしも、途中で間違えても乗り切って欲しいものだ。間違いをアドリブと思わせるようなテクニックが欲しいし、また、そうであって欲しい。
    もっとも、途中でやめちゃって頭を下げたキーボードの人はかなり自分自身にストイックなんだろうな。その姿勢を私は評価しないが、必ずしも嫌いというわけではない。
    後半でギターの人も間違えたらしいが、さすがにこれは乗り切ったようである。だが、私のように始めて聴く客にとっては、誰がどこでどう間違えたかすら分からなかった。そういう意味でも、演奏は間違っても途中で止めるべきではないと思うが、いかがであろうか。

    MCがヘタなのは仕方ないし、この手の糞真面目なバンドにはありがち。だが、もう少しそれらしい話をしても良いのではないか、と思ってしまう。
    本人たちも喋りで聞かすつもりはないのだろう、だからこそと思うが、最初に告知を持ってきたのは悪くない。あと、「曲の途中で切れても拍手は要りません。お辞儀したら終わりです。」という事前アナウンスは悪くなかった。
    この手のバンドの曲って、どこで拍手したらいいのか分からんのですよ。

    ステージ衣装がばらばらなのも気になった。キーボードの人はまさに普段着で、しかも普通のサラリーマンの日曜日の普段着みたいで、それがマイナス評価。ギターの人はいかにもそれなりの格好であった。一番、このバンドの音に合っていた格好だったかもしれない。ドラムの人は何だかこのバンドの音に全然合っていない若者の格好で、最初は凄く違和感があったのだが、演奏が上手かったのでそれは気にならなくなった。

    批判ばかりなのであるが、肝心の演奏は、そこそこ上手かったのではないかと思う。
    キーボードの人はクラシック系で、ギターがジャズ系という感じ。その組み合わせのミスマッチが面白かった。
    ただ、ギターの奏法は好みではない。もうちょっと音に艶が欲しい(伸びがない)。かなり変則的な奏法で、それが持ち味なのだと思うが、手さばきがぎこちないのは演奏不足かと思う。「より高度な部分にチャレンジ(キーボードの人談)」という事なので、それはそういう事だったのだろう。そのチャレンジ精神は悪くない。
    一番上手かったのはドラムの人で、彼のドラムソロは聴き応えがあった。拍手も一番大きかったと思う。

    だが、1時間近い演奏は長すぎた。決して嫌いな音ではなかったが、後半退屈してしまう。選曲も考えたほうが良いと思った。
    ホームページを見ると、ボーカルにもチャレンジしたいとの事で、それは是非実現して欲しいと思う。まあ、歌を入れるのは冒険だけどねえ。

  • SHERPA
    舩橋陽(SAX)、堀越功(KB)、河崎純(B)、立岩潤三(DS)という編成。
    しかもベースはコントラバスである。MCなしで曲が始まった途端、このコントラバス氏が物凄い演奏を始めたので「おっ!」と思ったがそこまでだった。
    いわゆるジャズロック系の音で、幾つかの主題をモチーフとしたインプロの応酬という感じなのだが、残念ながら私の好みではない。

    好みではないので、好き嫌いの観点から批判すべきではないと思うが、各パートの音がバラバラで一体感を感じなかった。これでは単なる騒音でしかない。
    友人はリップ・リグ+パニックのようだと評したが、混沌と騒音は別のものである。というか、バンドの方向性としてリップ・リグに似ているのでは誉め言葉になってない。

    SAXの人はリードの調子が悪かったようで、しきりに首をかしげていた。確かに弱く吹いた時の音がまともに出ていないので、それも聴く側としては辛い部分だった。
    コントラバスの人は面白いんだが、おそらくクラシックの素養はないのであろう。ボウの使い方も弦の押さえ方も我流だった。
    あと、非常に気になったのは、ボウの手入れが全然なっていないこと。
    毛が切れて幾筋か垂れ下がったままであった。楽器の手入れを怠るようでは良い音を期待できないし、わざと毛を垂らすのがスタイルだとか思っているのなら大間違いである。
    パンクバンドやオルタナティヴならそれもあるだろうが、このバンドはそういう音を目指してはいないだろう。

    奏法は置いといても、音を出しているだけの変な弾きかたのソロパートには怒りすら覚えた。生卵が手元にあったらぶつけている。
    この手の勘違いはアマチュアバンドには少なくないが、完全に基本をマスターしたプロが外すのならまだしも、ボウの持ち方や弦の弾きかたすら出来ていない人がそのような小細工をしたところで、洒落にもならない。
    コントラバスは真面目に弾いても独奏は難しいのである。こんなところで奇をてらっても仕方ない。ゲイリー・カーのアルバムでも聴いて勉強しなおしたほうが良い。

    ほとんどMCもなく、曲も切れ目なく続いていく。
    複数の主題が何回か繰り返されるので、それが分かってくると曲の構成に面白さも感じられたが、このバンドの演奏も長すぎた。特にコントラバスのソロとそれ以後は不要。
    正直、後半は寝てしまった。ステージ最前列で寝ては失礼かと思ったが、客が媚びてはバンドの成長は望めない。冷房が効きすぎていたので、もうちょっと演奏が長くなっていたら一旦退席していたところである。

    キーボードの人はポッチャリしていて女性かと思ったが男性であった。最後のMCで、知り合いのスタジオの名前が出てきてビックリ。このキーボードの人は舞踏音楽も手がけているようで、私の友人が8月末に開催するパフォーマンスに客演するのだそうである。このパフォーマンスには日程が合えば行きたいと思っているのだが、いやはや世間は狭いものである。

    ドラムの人とキーボードの人の演奏は上手いと思ったが、コントラバスに隠れてしまった。
    逆に言えば、それだけ存在感があるのだから、コントラバスの技術と演奏能力が向上すれば化ける可能性もありそうなバンドである。

  • 日比谷カタン
    本日のお目当てその一。

    日比谷カタンは前回内核を見に行った時に客演していたのであるが、その卓越した演奏技術、歌声、ルックス、世界観全てに圧倒されてしまった凄い人である。

    何が良いって、飄々としたMCがまず良いのだな。これは才能である。MCの上手いバンドは演奏も上手いものだ。笑いのツボも心得ているし、おそらく天然だと思うのだが、全て計算され尽しているとするならば、それはそれでまた凄い。

    2曲連続して演奏する。何と耳なじみがある。一度しか聴いていないのに覚えているというのは凄いな。しかも決して覚えやすいポップな音というわけではないのだ。
    ギターによる弾き語りなのであるが、基本となるのはスパニッシュギターで、これがかなりの速弾きである。その、ラテンなギターの旋律に乗って、猫なで声から良く通る涼やかな声、張りのある美声、ダミ声、つぶやきと、声の七変化によって歌がうねる。
    この狂気のスイング感こそが日比谷カタンの持ち味である。

    今回の目玉は17分に渡るという大作。カンタンとハンミョウの脳内RPGの物語というワケの分からない主題のプログレッシブ・ラテン・シャンソン。何だそりゃ。
    この曲も前回聴いていた。前回は17分にも渡る演奏ではなかったので、ライブをしながら少しずつ作りこんでいったのであろう。ラテンの音に時折挟み込まれるシャンソン風の歌がユニークである。このような融合形態を取るのも日比谷カタンの特徴で、あるときはグループサウンズ風であり、あるときは歌謡曲風でもある。
    それがラテンなギターをベースとした独特のギターサウンドに乗って演奏されるのだ。

    当日撮影した画像を貼ってあるので、興味のあるかたはこちらも参照願いたい。
    http://nejiyama.exblog.jp/6591293/
    どうです、なかなかの「やさ男」。
    やっぱりこういう音をやるんならルックスも重要だわな。痩せてないとねえ。豚には出来ない音楽だな。
    浅草の仲見世あたりで売っている外国人向けのキモノのようなキワモノ臭い衣装も雰囲気ピッタリなのであるが、彼はそのままの格好で生活してるかもしれないなあ。
    普段着で演奏しちゃうのはダメだが、ステージ衣装のまま生活しちゃうのはロックである。

    この手の人はCDを買うだけでは、その良さは半分も分からないだろう。
    私は基本的にCDから入る人なので、ライブでこのような人に出会えるのは非常に嬉しいことである。おそらく、彼のCDを買っても凄いとは思うが、ライブに行こうとまで思うかどうかは疑問だから。

    時間が押しているにも関わらず、洒脱なMCが延々と続くのも嬉しかった。
    この人のMCは聴いていて飽きない。それもまた魅せる技のひとつである。

  • 内核の波
    本日のお目当てその二。

    ドラムが吉田真梧に変わってから初の東京公演。
    どんなドラムなのか、始まるまで不安な部分も多かった。
    たまたま後の席に、その吉田君が以前参加していたバンドのメンバーが来ており、色々と話も聴けたのだが、そういえばギターをやっているという人は日比谷カタンを聴いてぶっ飛んでいたっけ。
    あれを聴いちゃうと自信無くすよな。

    ステージは相変わらず凝っている。背景に映像を流し、控えめなライティングで演奏する彼等のスタイルはどこでも同じパフォーマンスを行っており、そのクオリティは高い。
    突然背景の映像に伊藤園のお茶のCMが。
    何故か伊藤園のお茶を勝手に応援しているんだそうな。逆に伊藤園がスポンサーしてくれてんのかと思ったよ。

    彼等を気に入った理由は幾つかあるが、そのひとつが、白衣というユニフォームを持っている事である。
    Flat122のところでも書いたが、ステージ衣装というのは重要な要素なのだ。だが、必要以上に着飾る必要はない。白衣を着る事で、個々のメンバーは「内核の波」というバンドになり一体化していくのだ。だから、客演の高木大地(KB)も、白衣を着る事で内核メンバーになりきる事が出来るのである。このようなコンセプトを持っているバンドは強い。

    ところで、その高木君は交通事故を起こしたとかで、右手に包帯を捲いてサポーターで固定しており、痛々しい限りであった。パフォーマンスも大人しめで、いつもの「食」がなく残念。
    その分、パワフルだったのは小林智(B)。コードレス設定にした6弦ベースで縦横無尽に駆け回る。今回は小林君の前に陣取ったので、彼の激しい動きを充分に堪能した。
    今回はエフェクトにも趣向を凝らしており、益々進化しているという感じ。

    さて、肝心の音なのであるが、遠藤徳光から吉田真梧へのドラム変更は、とりあえず大正解だったといっておこう。(ちなみに遠藤君の脱退は本人の海外留学なので、ケンカ別れとかいうわけではない)
    リズミカルで迫力があり、パワーアップした感じがある。
    幾つかの曲では多少噛み合わない部分もあったようで、そこが惜しかったが、全体的な内容は申し分ない出来であった。
    しかし日本のロックシーンにも上手いドラマーが増えたものだ。今日出演した4バンド中、日比谷カタンを除く3バンドのドラマー全てが、それぞれ個性は違うものの、中々の手練れ揃いであった。
    どうしても、この手のバンドを組むとリズム隊が弱くなってしまうのが欠点なのだが、いずれも叩ける人ばかりなので驚いた。ほんの10数年前まで、こんなに凄いドラマーばかりのライブなんか見られなかったよ。

    紅一点、鈴木和美(FL)のフルートも、以前見た時よりパワフルになっている印象があった。小林君と一緒になってSHERPAの物真似まで出る始末!しかもサックスじゃなくて伊藤園のお茶のペットボトルを吹くんだから、余裕しゃくしゃくだね。

    唯一、村岡満男(G,TP)の立ち位置が正反対側で遠く、彼の素晴らしいギタープレイを充分に見られなかったのが残念といえば残念。ステージが狭くて動きにくいという点もあったのだろうか。

    内核の波は、これからも折にふれ見ていきたいバンドのひとつである。
    公演の様子は下記コンテンツにて公開していく事にしているので、画像が見たいかたは是非どうぞ。

    http://nejiyama.exblog.jp/i12/

前半、かなり苦しかった公演であったが、後半は一気にヒートアップ。
前半2組には手厳しいインプレとなってしまったが、箸にも棒にも掛からないわけではない。あと一歩、突き抜ける何かが欲しいのだ。
それが分かったとき、ブレイクする可能性があるかもしれない。