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●レッドドラゴン/レクター博士の沈黙



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1986年:20世紀FOX

監督:マイケル・マン

出演:ブライアン・コックス、ウィリアム・L・ピーターセン

【グレアム刑事が主役。意外と良く出来てます。】

「羊たちの沈黙」「ハンニバル」でお馴染みトマス・ハリス原作のサイコホラーである。
公開当時は「刑事グラハム/凍りついた欲望」(原題:Manhunter)という邦題が付いていたが、「羊たちの沈黙」のヒットで、「レッドドラゴン/レクター博士の沈黙」というタイトルに改題された。

「羊たち」以降のシリーズでは、アンソニー・ホプキンスがレクター博士役を演じているが、本作品ではブライアン・コックスが演じている。原作ではレクター博士はチョイ役でしか登場せず、本作品でも主役はあくまでグレアム刑事である。

2002年にアンソニー・ホプキンスを擁してレクター博士シリーズの一環としてリメイクされているが、そちらの方の感想も書いているので、合わせてご覧頂きたい。

私がこの映画を始めてみたのは「羊たち」公開後、既に邦題が「レクター博士の沈黙(どうでもいいけどチープな邦題だね。意味ないし)」というタイトルになってからのものだ。
そのときは、レクター博士の存在感がなく、イマイチという感覚しか持たなかったのだが、2002年にホプキンス・レクターでリメイクされ、それとの比較で見たところ、物凄く良く出来ていることを再認識させられた。

2002年版が、あくまでもレクターを主題として描かれているのに対し、本作品はグレアム刑事の心理描写を主題にしている。したがって、グレアムの心の中にある猟奇性を顕在化させようと企むレクターとの駆け引きが2002年版以上にうまく醸しだされている。
今回、レビューを書くにあたって、2002年版と間を置かずに見たのであるが、2002年版に劣らず、本作品の方もよく出来ているなという印象を強くした。よく見たら監督がマイケル・マンであった。なるほど、これは納得。
2002年版が役者の力量に負う部分が大きいのに大して、本作品のほうは脚本と監督の冴えを感じる映画になっている。そういうのがお好みの人はこちらのほうがお奨めである。

効果的なのはプログレっぽい電子音楽をBGMに使っていることで、これが抑え目に流れているのが非常に良い。2002年版の音楽は少々煩すぎる嫌いがあった。

ただ、脚本的に幾つか難点があり、判りにくい部分が少なくないのが欠点。2002年版を先に見てからこちらを見ると、そのあたりがうまく補完できる。両者ともエンディング以外は脚本に忠実なので、お互いが補完しあう感じで見られるのがまた良い。

問題なのはエンディングである。予算の関係か、時間の関係か分からないが、最後のどんでん返しを省いて正当な終わらせ方をしているのが詰まらない。それが、この映画の欠点だと思う。一度死んだと思った犯人が再度現われてグレアム刑事一家を貶めるというのが、この小説のひとつの白眉であるから、それをその通り映画化しなかったのは残念というほかない。

なお、2002年版ではレイフ・ファインズがカッコ良すぎる犯人役を演じてしまい、それが欠点だったが、本作の犯人役のほうがより異形なイメージを醸しだしていて良かった。
グレアム刑事役は本作も2002年版も意外なほどイメージが似通っていて、違和感を感じさせないのが素晴らしい。レクター博士役はブライアン・コックスが演じた。さすがにアンソニー・ホプキンスと比べると一枚役者が落ちるが、本作品では脇役扱いなので仕方ないところだろう。