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●シルバー假面



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2006年:ジェネオンエンタテインメント

監督:監督:実相寺昭雄 (第壱話) 、北浦嗣巳 (第弐話) 、服部光則 (第参話)

出演:ニーナ、渡辺大、石橋蓮司、寺田農、嶋田久作、ひし美ゆり子他

【ケレンを主題にしてはいけない】

1971年にTBS系で放映されたシルバー仮面は、非常に秀逸な特撮番組であったにも関わらず、関東地区において「ミラーマン」の裏番組というハンディキャップのため視聴率的には伸び悩んだまま終わった。
この番組をリメイクし、時代を昭和から大正時代に変え、さらに主人公を日独混血の女性という設定にしたものが本作である。

時代設定、キャラクター設定ともに非常に良く出来ており、平成の特撮番組としてはかなり評価できる設定に仕上がっている。元々のシルバー仮面とは似ても似付かぬ内容になっているが、それもひとつのリメイクのありかたと言えるだろう。
そんなわけで、かなり期待して見た作品だったのだが、実際に出来上がった映像は、それほどでもなかった。

森鴎外や平井太郎(後の江戸川乱歩)といった時代の著名人を登場させ、しかも主人公のハーフの女性は森鴎外の子供という設定になっている。帝都物語の嶋田久作が総督役を演じるなど、大正ムード満点なのも悪くない。
悪役のカリガリ博士を演じるのは石橋蓮司。非常に存在感がありながらコミカルな部分を無くさずに演じているあたり、ショッカーの幹部を意識しているようにも見え、なかなかのものであると感じた。

そんな配役の上手さがあるにも関わらず、この作品には常に「イマイチ」感が漂ってしまう。その理由はただひたすらに、総監修が実相寺昭雄であるという事に尽きるのではないだろうか。

実相寺はウルトラマンシリーズで有名になった監督だが、非常に特殊な演出をする事で有名である。ウルトラマンにおいては、「恐怖の宇宙線」「故郷は地球」において、ウルトラマンを悪役として扱うというとんでもない作品を撮ったほか、ウルトラセブンでも「狙われた街」「遊星より愛をこめて(現在欠番)」「第四惑星の悪夢」「円盤が来た」など、非常に個性ある作品を監督している。
実相時の監督作品が活きるのは、長いシリーズの中の何本かでケレン味たっぷりの癖のある作品を作ることだ。だから、本作品のように最初から最後までケレンだらけになってしまうとワケが解らなくなってしまうのだ。

実相寺自らが監督した第壱話で、いみじくもその問題が露呈してしまう。
大正ムード満点の実相寺演出は素晴らしいのであるが、アクションシーンが例によって独特のカット割と特殊効果を使ってしまい、いわゆる特撮の醍醐味のひとつである、プロレス展開的なアクションシーンが全く見られないのである。
第壱話でそれは無いだろう、と思わずツッコミたくなる演出であった。
監督を変えた第弐話、第参話ではそこそこのアクションシーンが見られるだけに、第壱話での破天荒ぶりが痛々しい。
ストーリーを問うような内容ではなく、何となく実相寺ワールドでござい!という、お披露目的要素の高かった第壱話に対して、第弐話、第参話はそこそこ話が纏められており、むしろ第壱話と第参話の監督を入れ替えたほうが、まとまりのある作品になったような気がする。

主人公サビーネ役のニーナ(内田仁菜)は日英のハーフで、布袋寅泰「バンビーナ」のPVに出演している他、CM等にも数本出ているようだが基本的にはファッションモデルのようである。したがって演技云々を問う程のものではない。
脇役に結構な配役をしておきながら、主役級が大根なので物語が締まらないという部分については多少割り引くとしても、せめて助演の本郷陸軍大尉(渡辺大/渡辺謙の息子)くらい、もう少し実績のある若手を使って欲しかったところだ。

キャラクター的に残念だったのは悪役の怪人のデザインで、第壱話の蜘蛛男といい、第弐話の蝙蝠男といい、仮面ライダークウガに出てきた怪人ソックリなのには幻滅した。
キャラクターデザインは池谷仙克が行ったというが、何で現代版仮面ライダー的造型にしてしまったのだろうか。
オリジナルシルバー仮面の宇宙人たちの非常に個性的だったデザインを考えると、このデザインには納得いかないものがある。せめてオリジナルのチグリス星人、キルギス星人、ゴルゴン星人のような造型だったらと思うと、それが残念でならない。

第参話で敷島博士役として、「アンヌ隊員」役で有名なひし美ゆり子を抜擢したが、これは特撮ファンへのサービス的な配役といえるだろう。

決して悪い作品ではないが、残念ながらこれでは旧作へのオマージュにすらなりえてない。
やはり実相寺を総監修に据えた点が間違いではなかっただろうか。

それだけに、企画の煮詰め方が残念でならない。