筆者の購入したDVDや本、鑑賞した映画、テレビ番組、コンサート等のインプレッションを書いています。
Top > 2008年04月

2008年04月29日

●太陽


B000MEXANI

画像をクリックすると、AmazonでDVDが買えます。

2005年:ロシア

監督:アレクサンドル・ソクーロフ

出演:イッセー尾形、佐野史郎、桃井かおり

【これはドキュメンタリーではない】

ロシア人監督による、太平洋戦争終結前後の昭和天皇を描いた映画である。
同時期に「ヒトラー ~最期の12日間~」を見たので、奇しくも第二次世界大戦において敗戦国となった二つの国のリーダーの生き様の違いを見る事となった。
だが、「ヒトラー」が出来るだけ史実に忠実なドキュメンタリー映画を目指したのに対して、こちらの映画は論議の余地が無い、単なる虚構に過ぎない。

戦争末期という時代背景にありながら、戦争を想起させる部分は天皇が見る悪夢に出てくる大空襲のシーンのみ。しかも攻撃してくるのは飛行機ではなく魚である。
それ以外のシーンはほとんど、昭和天皇と、その取り巻きの絡みである。「ヒトラー ~最期の12日間~」との最大の違いは、そこに戦争を感じない点であろう。
戦時下という雰囲気は殆んど感じられない。天皇の所作が優雅であるだけに、余計そのような印象を強くするのかもしれない。

続きを読む "太陽"

●ヒトラー ~最期の12日間~


B000HEWIEU

画像をクリックすると、AmazonでDVDが買えます。


2004年:ドイツ・オーストリア・イタリア共同制作
監督:オリバー・ヒルシュビーゲル
脚本:ベルント・アイヒンガー
出演:ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ララ他


【ヒトラーの最期を描いたドキュメンタリータッチの労作】

アドルフ・ヒトラーの秘書を務めたトラウドゥル・ユンゲの著作を元に、ベルリン陥落前後のヒトラーと、その周囲の人々の生き様を表現した作品である。2時間半に及ぶ大作であり、途中で一回休憩が入る。この上映スタイルは私にとっては「七人の侍」以来である(記憶している範囲で)。

ドイツ人によるヒトラー映画というのはこれが初めての事だそうである。だが、悪の独裁者という側面だけでなく人間的な部分も描いてしまったことで、ユダヤ系団体などから猛烈な抗議を受けたらしい。しかし、如何に極悪人と云えども、多少なりとも人間らしさはあるはずである。そのあたりの表現手法を間違えると、幾らでも情報操作できることになり、この種のドキュメンタリータッチの映画の難しさを改めて感じてしまうところだ。
ヒトラー役のブルーノ・ガンツ、ヒムラー役のウルリッヒ・ネーテンなど、非常に良く似た役者を多数配役しているので、この映画は本当のドキュメンタリーのように思えてしまう。
特にブルーノ・ガンツは猫背な小男でありながら、時として非常に大きく見えるヒトラーを見事に演じ切っている。
大筋において史実と異なる表現は無いように思えるし、余計な思想的判断を加えずに、淡々とヒトラーの最期を表現していった姿勢に共感を覚えた。

邦題は「最期の12日間」となっているが、内容的にはヒトラーの死後の周囲の人々の言動も描かれており、この邦題はあまり良いとは言えない。原題は(Der Untergang、ドイツ語で「滅亡、失脚」の意)であるが、この映画は「ヒトラーとその周囲の人々の最期の12日間」とでもしたほうが良かったのではないかとも思う。

続きを読む "ヒトラー ~最期の12日間~"

●UDON

B000LW7L40

画像をクリックすると、AmazonでDVDが買えます。

2006年:東宝
監督:本広克行
出演:ユースケ・サンタマリア 小西真奈美 トータス松本他

【この映画を見てもうどんを食いたいとは思わない】

映画ではあるが、テレビドラマの延長線にしか見えなかった。テレビドラマ化されていないにも関わらず、この映画は映画とは思えなかった。
その理由は軽すぎる演出にあるのかもしれない。ユースケ・サンタマリアの臭い演技にあるのかもしれない。小西真奈美のやる気の無い演技がそう思わせたのかもしれない。
本広克行という監督は「踊る大捜査線」を監督した人だそうだが、あの映画もテレビドラマの延長でしかなかった。結局は監督のせいだろうか。

前半は、ニューヨークでの芸人生活に失敗した松井香助(ユースケ)が故郷の讃岐に帰り、うどんをテーマにしたタウン誌を売ることで讃岐うどんブームを作る成功譚となっている。
軽いギャグの連続で、まさにテレビ的展開の軽いノリで話が進行していく。
駆け出し編集者の宮川恭子(小西)は極度の方向音痴で次々と車(日産マーチ)を破壊し、色違いの車に乗り換えていく。これは日産とのタイアップか。あまりにもベタな設定と進行なので笑うに笑えず。

だが、後半になり話は一転する。
うどんブームは去り、ブームの喧騒の煽りを食らって味が落ちる店、渋滞に近所から苦情が出てしまったために閉店する店などが次々と現れ、ついにはタウン誌も廃刊となる。
ブームの喧騒とは全く関わり無く黙々とうどんを作り続ける父の姿を見た香助は父の跡を継ぐことを決意するが、父は急な病で死んでしまった。
だが、姉(鈴木京香)は、父が居なければ松井のうどんは成立しないと、店を畳む事を決意する。

続きを読む "UDON"

●間宮兄弟


B000J107L2

画像をクリックすると、AmazonでDVDが買えます。

2006年

監督:森田芳光

出演:佐々木蔵之介 塚地武雅 常盤貴子 沢尻エリカ他

【本当の兄弟がこんな暮らし方をしていたら薄気味悪いぞ】

森田芳光監督だとは知らなかった。全編に漂う激しい違和感とうそ臭さが気になった。兄弟の距離感がちょっと変なのだ。
男の兄弟が同じ家に住んでて、同じ部屋には寝ないだろうとか。
あちこちに違和感がありまくりの兄弟だったのだが、映画としてはそういう感覚があっても悪くはない。

原作者が江国香織だと知って納得。オトコに女の気持ちが分からないように、女性には男性心理の底を見極めるのは難しいようである。
と、思ったのだが、原作本を読んでみると、モテない男の兄弟の性格設定という意味での同居であることが分かる。いい年こいて、兄弟で同じ部屋をシェアして住んでいること自体、気持ち悪くてありえないという設定の上での話のようである。

映画の間宮兄弟は、そこまで気持ちの悪いオタク兄弟としては描かれていなかった。
それは森田義光監督の優しさだったのだろうか。

続きを読む "間宮兄弟"