筆者の購入したDVDや本、鑑賞した映画、テレビ番組、コンサート等のインプレッションを書いています。
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2008年07月17日

●魍魎の匣


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2008年:ジェネオン エンタテインメント

監督:原田眞人

出演:黒木瞳、堤真一、柄本明、谷村美月、田中麗奈他

【ミステリーの無いミステリー】

映画は原作とは異なる。原作はあくまで原作であって、それを監督がどう料理するか、という点が小説を原作に持つ映画の見所のひとつである。それをまさに感じさせたのがこの映画であった。
京極夏彦原作の妖怪ミステリー。その第一作は2006年に公開された「姑獲鳥の夏」であったが、本作品はそのキャストをほぼそのまま引き継いでの第二作目という事になる。

いきなり太平洋戦争の戦闘シーンで始まるのだが、そこには久保竣公と榎木津の姿が。
榎木津と久保の過去を絡ませ、さらに焼夷弾で目を焼かれて榎木津の「過去が透視できる」能力が生まれるという設定は悪くは無い。だが、そこで榎木津は久保の過去に箱と少女を見てしまうのである。箱はともかく、少女は違うんじゃなかろうかと思った。
だが、この作品が原作とは全く違う話になっているという点で、このシーンは必要なのであった。それを理解するのにはもう少し映画を見続けねばならなかった。

そこから段々と現代(映画の中での現代)に戻り、話が進んでいくのだが、話が進むにつれ、この映画が小説とは多いに異なっているという事が分かってくる。
「魍魎の匣」という小説は、「財産奪取に絡んだ密室からの誘拐事件」というミステリーが、その骨子となっている。ところが、映画版にはそれが無い。
悉く、ミステリーに絡む部分は割愛されているのだ。ミステリーからミステリーである部分を抜いちゃって映画化したのが、この「魍魎の匣」という映画なのである。これは凄いことだ。

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●大日本人


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2007年:アール・アンド・シー

監督:松本人志

出演:松本人志、UA、 板尾創路他

【松ちゃんは恥ずかしがり屋】

第60回カンヌ国際映画祭に招待作品として上映された松本人志監督・主演第一作である。
この映画は、強いて言うならば特撮映画であり、怪獣映画である。或いは怪獣映画に対するパロディ的要素を持った作品とも言える。

私と同じ名前の大佐藤マサルさん(名前は映画の中では出て来ないので、その名前を後で知った時には驚愕した)がテレビの取材を受けるところから、この映画は始まっていく。
「テレビ局による取材」という基本プロットを設定し、そのスタイルを押し通して進行していく作り方は悪くない。
大佐藤はどうやら町の嫌われ者らしい。が、彼がどんな仕事に従事しているのか全く分からない。その秘密と謎が見る者の興味を引き、どんどんと引き込まれていく。
いやはや、この撮り方には非凡なものを感じずにはいられない。さすが松ちゃんである。

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●殯の森(もがりのもり)


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2007年:NHKエンタープライズ

監督:河瀬直美

出演:尾野真千子、ますだかなこ、斎藤陽一郎他


【圧倒的に説明不足】

第60回カンヌ国際映画祭で、17年ぶりにグランプリを受賞した日本映画である。
いかにも外国ウケしそうな題材とカメラワークで見事に審査員特別賞を受賞した作品であるが、ワタシ的には全く評価に値しない映画であった。

それは、映画の中から伝わってくるものが何も感じられないという部分において顕著である。主人公にも感情移入できないし、淡々と進行していく中で徹底的に説明が省かれているので、何が何だかまるっきり分からないからである。
映画というものは、大なり小なり主人公に感情移入してこそ、感動を味わい評価できるわけであって、それは好意だけでなく悪意や嫌悪であったとしても、その映画を見る事で何か感じ取れる部分があるからこそ、映画を見る事の意味や目的があるのだ。

難解であることと、説明不足であるという事は、一見似たようなものに見える。だが、説明不足というのは監督の力量の足りなさを象徴しているに過ぎない。
難解な映画には、圧倒的な情報がある。しかし、それを紐解いていく事が困難であり、人によって解釈が異なるため、それが難解とされるのである。一方で、説明不足の映画は、単に情報量が不足しているので解釈も糞もないのだ。つまり、情報量の足りない映画は、映画としては失敗作としか言えない。
最低限の情報量で、あとは見る者が空想で補っていくという表現方法も無いわけではないだろう。だが、それをやる上では最低限、非常に分かりやすいプロットが明確化されていなければならない。それすら省略してしまったのでは、監督のマスターベーションにしかならないのではないだろうか。

この映画を見ていて、とにかく失望したのはそういった説明不足があまりにも顕著であったからだ。事前に大量の情報を得ていなければ、この映画を理解することは到底不可能である。そんなものを娯楽映画として認めるか、と問われれば、私はNOと言わざるを得ない。

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