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●続・三丁目の夕日

ALWAYS 続・三丁目の夕日[DVD通常版]
吉岡秀隆, 堤真一, 小雪, 堀北真希, 山崎貴
B0014Z968W


2006年、大ヒットした映画の続編である。
前作の続きなので、前作を見ておかないと話の流れが繋がらない。未見の方は是非、旧作を見てからこちらを見る事をお勧めする。

のっけから「TOHO(東宝)SCOPE」の文字にニヤニヤしていると、聞き覚えのある伊福部昭の音楽が。ゴジラですか!!
CGをふんだんに使った特撮映像は多少重みに欠けるものの、悪くない。特に悪役面のゴジラの表情が良かった。

家を壊され怒り心頭に発する鈴木オートの社長の髪の毛が逆立つのだが、これはちょっとやりすぎだったかな。(同じように髪の毛が逆立つシーンがもう一回あるのだが、明らかに違和感があった)前作でもそうだったが、鈴木オートの社長の怒り方は誇張しすぎで、悪ふざけしているように見えてしまってマイナス要因。

映画には微妙な時代経過が反映されている。2色塗りの都電は黄色に赤帯という塗装に変更中で、映画の中でも時系列を追って段々と黄色い都電が多くなっていくのが心憎い演出である。今回は、まさにこのCG系のバックグラウンドの出来が素晴らしかった。
どうやって撮影したのか全く分からないが、羽田空港も151系こだま号も、全て本物のような出来で驚愕した。
CGの利用には否定的な私だが、今回のように丁寧に作られたCGならば話は別である。このCGを見るだけでも価値がある。

メインストーリーは2つに大別される。
ひとつは、「駄菓子屋の茶川とストリッパーヒロミの物語」
淳之介と茶川の絡み、茶川の芥川賞挑戦などのサブストーリーが絡まり、この話が今回の中心となっている。

淳之介を養育する権利を得るために芥川賞に挑戦する茶川。候補作に選ばれ、ヒロミを迎えに行くが、ヒロミは大阪に旅だっていた。自分のような者が居ると茶川のためにならないと考えて身を引いたのである。
この手の話はハッピーエンドにしなければいけない、と思っている。切ない恋の物語でもいいが、観客は夢を求めるために見ているのだ。特に前作では、将来を夢見た別れであって、決してそれは悲しい別れではなく希望に満ちたものであった。しかし、今回のように「身を引く」ような別れかたは、こういう映画には似合わない。

戻るべきだよなあ、と思っていた。戻らねばならないと思った。
こだま号に乗り、茶川の作品を読むヒロミ。タイトルは「踊り子」だった。読みながら泣くヒロミ。だが、こだま号は西を目指して走っていく。
芥川賞当選が詐欺と判明し、落選にガックリする茶川。約束は約束である。淳之介を連れ出し、父親の元へ行けと説得する茶川。泣きながら嫌だという淳之介。
もう、途中から涙ボロボロですが、最後にヒロミが戻ってきた時には号泣ですよ私。
いやー、映画館で見なくて良かった!!

このメインストーリーにまつわるように、幾つかの伏線が張られる。
ひとつは芥川賞への挑戦である。キッカケは淳之介の実の父が再び淳之介を引き取りに来た事であった。人並みな生活が出来なければ、淳之介を引き取ると約束させられる。
だが、茶川の生活は最低であった。給食費を払えず、給食を食べない淳之介。それを見かねた先生が茶川を訪れることで、淳之介が値上がりした米代を払うために給食費を使ってしまった事が発覚する。
今のままでは人並みな生活を送ることが出来ないと考えた茶川は、心機一転して芥川賞に再チャレンジすることにしたのだ。

芥川賞候補になってから、飲み屋で知り合った男に詐欺を働かれ金を巻き上げられる。
その詐欺の仲間に、六子の同郷の武雄が居た。ふとしたキッカケで、武雄がサクラとなって詐欺を行っている現場を目撃した六子は、武雄に貰ったペンダントを投げつけ、頬を張る。
武雄は改心してもう一度コックの修行に戻ることになった。
まあ、このサイドストーリーはオマケのオマケに過ぎないのだが、六ちゃんは相変わらず良いですわ。堀北真希はそんなに好きな女優というわけでも無いんだが、六ちゃんは可愛いね。今の日本では絶滅してしまった純粋な少女だな。東北弁がさらにそれを助長していて、実に良い感じ。

もうひとつの主題となっているストーリーが、鈴木オートに居候となる少女美加の物語。
彼女は一平の「はとこ」なのだが、父親が事業に失敗し、娘を親戚の鈴木オートに預けて出稼ぎに行くのである。
金持ちのわがままお嬢さんが居候の身となり、次第に生き方を改めていく姿はあまりにもステレオタイプだが、それでいい。特に、周りの子供たちが子守やおつかい、庭掃除、洗濯の手伝いなどをしているのを見て、自分から積極的に仕事を手伝うようになっていく所がいいな。今の子供たちは手伝いなんかしなくなってしまった。逆に言えば、便利になってしまった分、子供の手を借りる必要が無くなったという事だが、実はそうやって子供も一緒になって働くという事こそ、心の豊かな社会を作っていたのだという事に今更ながら気づかされる。

その他のサイドストーリーは直接の関係がなく、切っても良かった話が多い。それは前作にも言える事で、そういったストーリーてんこ盛りなのが、この映画のポイントをブレさせてしまった部分が多くて、そこが残念な点でもある。
だが、どうでもいいちょっとした場面でニヤリとさせられるのも、この映画の面白さだ。
前作で、捨てられた氷の冷蔵庫を悲しそうに見つめる氷屋のオヤジ(ピエール瀧!)は、アイスキャンデー屋に転身して逞しく生きている。(先日放送された地上派テレビ版ではカットされていた。噴飯モノである)
ヒロミの仲間のストリッパーには何と、「ちりとてちん」でブレイクしたばかりの貫地谷かほり。これはタイムリーな出演だったのではないだろうか。
一方、古株の踊り子は手塚理美が演じていたのだが、ラストのテロップが出るまで気が付かなかった。老けたなあ、手塚理美。これには愕然となった。
先生役の吹石一恵もなかなか似合っていた。昔はああいう感じの先生が居たなあ、という雰囲気を良く出していた。彼女は実写版サザエさんとかをやらせても似合うかもしれない。

冒頭でも述べたが、CGの出来が素晴らしい。
日本橋のたもとで昔の恋人とトモエが再会するシーンの背景には帝國製麻ビルが!
空港で出発を待つ飛行機はダグラスDC-6。その後方にはパンナムのボーイング377らしき機影も!!
東京駅でこだまの出発を待つヒロミの窓越しに入線してくる東海道線は80系!!
いやはや、このこだわりかたは旧来の日本映画には無かったものであり、それだけも十分に評価できる映画だった。

こうなるとさらに続編?を期待してもおかしくないのだが、それには少々無理が出てきた。
淳之介役の少年は既に変声期を迎えつつあるようで、声がかすれていた。
堀北真希も六ちゃんを素朴に演じられるのはここまでだろう。
折角茶川は淳之介とヒロミと3人で暮らせるようになったのだ。次があるなら、それはまた別れ話になってしまうに違いない。
だから、この映画はこれが最後でいい。もし万が一次回作が出来たとしても、それがまた茶川と淳之介とヒロミをメインに置くストーリーになるのなら、それは見たくない。