新春一作目は細倉鉱山の人車

明けましておめでとうございます。
と、書いてみましたが、実はこのブログ、まる1年サボっておりました(苦笑)

昨年は何もかも中途半端で纏まらず、仕掛品を少し仕上げた程度で、Nゲージのレイアウトも殆ど進捗無しという有様でした。

定年リタイヤの影響で、気力が続かなくなったのが一員かもしれません。何をやっても中途半端。少し手を出しては飽きてしまうという悪いパターンが続いておりました。

しかし、その定年鬱も1年過ぎれば何とかなってくるもので、徐々にペースを取り戻しつつあります。そんなわけで、今年は昨年の分も含めてたくさん製作&ブログ更新していくつもりなので、宜しくお願い致します。

で、今年の第一作は昨年から作り始めていた、On18のスクラッチ。細倉鉱山タイプの8人乗り人車です。

https://www.kurihara-kb.net/publics/index/43/

実物は細倉マインパークに2tGLや鉱車などと共に保存されていますので、採寸なども可能と思いますが、「ゆる模型鉄」なので数枚の写真から適当にデッチあげています。従って「細倉タイプ」とさせていただきました。

車体は下回りのフレームに真鍮のチャンネル材(手に入らなくなりましたね)を使い、あとはプラ板とプラ棒から作ってあります。ベンチの木の板は実物どおりに木製です。駅弁の薄い経木を使いました。

車体はかなり凝ったデザインになっており、これの表現には一苦労。実物より少し長さが短く、かつ背が高くなっているように思います。車体横に付く掴み棒は実物同様可動式。細い真鍮パイプの片方を潰して穴をあけ、真鍮線で車体に取り付けてあります。

下回りはインサイドフレームなので、ベースをプラ角材で作り、そこに1t真鍮板から切り出したフレームをねじ止め。Nゲージ用の中空軸を嵌めています。ここで、フレームが左右絶縁できていることに気づいたので、載せる人形にライトをつけてみることにしました。

人形はタミヤのロシア兵を改造したものです。ヘルメットを段付きタイプに改造し、中をくり抜いて小型のLEDを組み込み、頭から胴体にリード線を通して台枠に半田付けして点灯可能としました。3人とも点灯式にしたのですが、工作中に真ん中の人の線が断線したらしく、両側の人しか点灯しません。直すに直せないのでそのままにしてあります。

塗装はグレーで、側板を中心にチッピングしてみました。最終的には屋根も含めてもう少しウェザリングしたいところです。

さて、新年第一作は地味な車両ながら、久々のフルスクラッチになりました。
今年はOn18をベースに、Nゲージ自由形をやっていこうと思います。3年越しになってしまったNゲージレイアウトも、平行して作っていきます。

では、今年も宜しくお願い致します。

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「クモハ」の「ク」はクルマのク。

更新ネタが乏しいので、twitterで仕入れた話題から一席。

***

小さいころ、交通博物館に行った時に買ったガイドブックに、車両記号の説明が書いてありました。

それによれば、

「ク」はクルマのク、「サ」は「さぶらふ(候ふ)」のサだというのです。

さぶらふってのは、仕えるとか傍に控えるとかいう意味です。

電車が誕生し、このような車両記号が生まれたのは明治37年の甲武鉄道の電車の誕生からです。当時の形式は、電車を表す「デ」のみ。

その後、大正3年に最初の本格的電車として、デハ6340系が登場します。この時、電動車ではない付随車両としてクハ6420とクロハ6190が登場しました。電動車ではないクルマなので、クルマのクを称号としたようです。

ところが、クロハ6190は運転台の無い中間車であって、そのため中間車としてのサの称号が大正4年に制定され、サロハ6190に改称されました。

大正4年という時代ですから、その記号の出自として「さぶらふ」という古めかしい言い回しを使っているのは変ではありません。むしろ自然とも言えるでしょう。

称号改正については鉄道院、鉄道省時代の資料が残っているのでその信憑性は高いのですが、残念ながら出自は説明されていません。しかしながら、交通博物館という鉄道省直轄→財団法人日本交通公社運営の組織が出版した書籍に記載されていたのですから、その信憑性は一番高いのではないかと考えています。

ところが最近、異説が頻出しているんです。
たとえば、あるネットの記事にこう書いてありました。

「ク」は駆動車のク、「サ」は差し込まれるのサ。

駆動ってのはエンジンありきなので、それにクを宛てるのはおかしいでしょう。出自が明らかでないので信憑性は薄いですね。

また、別の記事にはこう書いてありました。

「ク」はくっついて走るのク、「サ」は挟まれるのサ。

問題はこの出自で、「鉄道図書刊行会」が発行している「鉄道用語小辞典」に記載されているといいます。

しかし、鉄道図書刊行会は私企業であって、国鉄の正式な組織ではありません。従ってこの由来の信憑性も非常に怪しいと言わざるを得ないです。

いったい、どこのドイツがこんな適当な言説を広めたのか分りませんが、今となっては完全な出自が分らない以上、「諸説あります」と言わざるを得ないでしょう。

鉄道記号・称号にはこの手の怪しい名称設定が沢山ありますね。

クモハのモはモーターのモ。これは分かりやすい。

1等車がイ、2等車がロ、3等車がハ。等級変更で1等車がロ、2等車がハとなり、さらに等級制廃止があって、グリーン車がロ、普通車がハとなりました。これも分かりやすい。

寝台車はネ。寝るのネ。
荷物車の二、郵便車のユ、食堂車のシ、展望車のテ、この辺も分かりやすいです。

事業用車には不思議な記号があります。

職用車の「ヤ」は役所・役人の「ヤ」 国鉄が鉄道省だった時代の名残りでしょうか。
配給車は「ル」。「部品を配る」の「ル」だそうですが、ほんとかな?
暖房車は「ヌ」。「温もり」の「ヌ」。まあなんとなく。

客車は重量によって称号が分れています。

コホナオスマカという7区分。一番軽いのがコ。小型のコ。
二番目がホ。ボギー車のホ。ナは並。オは大型。というのが定説。

スは?スチールのス。昔の客車は木製で軽かった。だから鋼製客車は重かったんですね。
お次はマ。スチールより重たい、これ以上の重さは無いだろうというのでマキシマムのマを当てました。

ラストのカ。これが面白い。まさかそんなに重たい車両が出来るとは思わなかったので、これはカナワヌの「カ」となったそうです。

これは、「客貨車工学」という本に書いてあります。著者は小坂狷二氏。鉄道院工作局車両課に勤務し、客貨車の設計に従事していたそうなので、この説明の信憑性は高いです。

貨車にも重量標記があります。荷重量によって「ム、ラ、サ、キ」に分れているんですが、これが面白い。出自は前述の「客貨車工学」

小坂氏が新しく15t有蓋車(ワム19870形)を設計した。軍馬を輸送するために設計したもので、形式記号に「馬(ムマ)」積みに適するという意味で「ワム」の名称を当てたそうです。
ところが、その後15t無蓋車が出現したら、世間で「トム」と通称し出したので「ム」を積載重量15tを表示することとし、ラ、サ、キを追加したようです。まさか世間の通称がそのまま記号になってしまうとはね!意外とこういう事例は多いのかもしれません。

ちなみに貨車記号も面白いですね。

有蓋車は「ワ」という。ワゴンのワ。(何でBOXCARのボじゃないんですかね?)
無蓋車は「ト」、トラックのト。
コンテナ車の「コ」、車運車の「ク」、タンク車の「タ」、冷蔵車の「レ」、石炭車の「セ」などは分かりやすいんですが、

鉄側有蓋車「ス」は、スチールのス(客車重量と同じ由来)
鉄製有蓋車「テ」は、鉄のテ。スが使われてしまったのでやむなく。
長物車「チ」は、元々は木材運搬車。木材を意味するチンバー(timber)のチ。
陶器を運搬する陶器車は「ポ」。porcelanoのポ。陶磁器を意味するエスペラント語。
雪かき車「キ」は雪のキ。
活魚車「ナ」は、生魚の「ナ」
水運車「ミ」は、水の「ミ」
控車「ヒ」は、控えるの「ヒ」
ブレーキの付いている車両にはブレーキの「フ」が付く。「ワフ」「コキフ」など。

ところが貨車は分類が多すぎて記号が枯渇してしまいました。そこで、意味のない記号を付与された貨車もあるそうです。土運車「リ」、豚積車「ウ」、車掌車「ヨ」など。

豚積車に、豚はウーウー鳴くからという説明を見た事がありますが、豚はウーウー鳴かない!と一人で憤っていたものです。本書でその疑問は解消されました(笑)

土運車「リ」を砂利の「リ」、車掌車「ヨ」をしゃし「ョ」うの「ヨ」とする説もありましたが、それはどうやらこじつけのようです。

さて、「いろは47文字」しかないものを多岐に渡る形式記号に採用するのは無理がありました。どうしてもダブる意味をもつ記号が現れます。その最たるものが「キ」です。

「キ」は気動車のキ。
「キ」は雪かき車のキ。
「キ」は貨車で、荷重25t以上のもの。

3つを併用した車両は存在しませんでした。

ところが昨年、北海道で新型除雪車両が誕生しました。DE15型機関車の置き換えで、機関車運転免許の要らない、気動車仕様の雪かき車が誕生したのです。

当然、記号は「キキ」になるべきです。「気動車」のキと「雪かき車」のキ。

この誕生には「キキ」として喜んだのですが、実際に登場した車両は「キヤ291型」でした。実に「キキ」捨てならない名称です。JR北海道は名称付与に関する「キキ」感が足りないんじゃないでしょうかね!

おあとが宜しいようで。

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Nゲージレイアウトの製作(4) デッキガーダーを作る。

さて、新年一発目の工作は久々にNゲージレイアウトを弄ります。昨年暮れは車両ばかりやっていたのですが、そろそろレイアウトの方も本腰を入れないと完成しなくなりそうです。

駅側から見て右上のコーナーには、旧レイアウトで作った橋脚があるんですが、ナロー用だったので木造橋脚でした。これでは具合が悪いので、市販のデッキガーダーを買って来ました。

KATOのものはカーブ対応がありますので、それにします。ガーダーの色は悩んだ末にグレーを選択。これを3個繋げて丁度良い感じ。橋脚は丸型が用意されていますが、出来れば楕円形が使いたい。となると、橋脚はTOMIX製を使ってハイブリッド?鉄橋を作るしかありません。

TOMIXの橋脚はパーツを重ねて高さを調整できるようになっていて良いのですが、その分、重ね部分の出っ張りが実感を損ねてしまいます。そこで、出っ張りを削って全体をグレーで塗ってみました。側面はレンガ張りなので、元のカラーのままウェザリングで調整。

ここにKATOの単線用架線柱の橋脚基部を接着し、架線柱を差し込めば出来上がり。

早速レイアウトに設置してみます。まあ、こんなもんか。

接地する部分は周囲を紙粘土で固めておきます。ここら辺のディテールアップは最後にまとめて実施の予定。

架線柱は基部に差し込んであるだけですので、抜けば非電化になります。このあたりはボシさんのレイアウトを参考にして、電化/非電化両方に対応できるようにする予定。

 

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今年もよろしくお願いします。

昨年はNゲージ中心に工作をしてきました。
今年はもう少しナローに寄せていければいいなと思っています。

とか言いながら、年末年始の工作はバックマンのドックサイドのリメイクをやっています。下回りにアルモデルのBタンク動力をあてがって、走行性能を安定させようという目論見。

動輪径が小さくなってしまいますが、何とか纏まりそうです。
お供のトラはベタですが、お年始モードで。(来年は豚積車かよ?w)

では、今年もよろしくお願い致します。

 

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2021年を振り返って

コロナ2年目の2021年もあっという間に終わろうとしています。
残すところ数日になりましたが、今年最後の更新として、2021年を振り返ってみたいと思います。

新年は、前年暮れからやっていたTwitterの新春荷電祭りに参加し、クモユニ74と81の2両を完成させました。祭り自体は主催者のかたが突然Twitterを辞められてしまい、尻切れトンボのようになってしまいました。

参加者の中で車両を完成させたかたも半分くらいしか居なかったかな?なんか中途半端なイベントでしたが、ネットのトラブルには関わりたくないので主催者のかたの何が問題だったのかは知りませんし、興味ありません。

個人的にはクモユニ74で結構自分なりに詰めた工作が出来たので満足しています。これが切っ掛けというわけでもないのですが、今年はNゲージ中心の1年になりました。

5月にはOn18で足尾フォードタイプを作り、平行して3年がかりになってしまったペアハンのドラム缶ロコも完成させました。ブログに完成記事を出すのを忘れていましたが、ナローはこの2両だけです。

その後、重度の模型鬱になってしまい、3ヵ月くらい何も手につかず。買ったのもノス鉄くらい。秋の軽便祭にも新しい出展が出来ず、旧作でお茶を濁しましたが、それなりの反応が頂けたのが嬉しかったです。

9月に還暦と定年を迎え、趣味生活の転換期となりました。今後は如何にお金を使わずに楽しめるかにシフトしていきたいと思います。

10月から、HOナローのレイアウトを解体し、台枠再利用でNゲージレイアウトを作り始めています。相変わらず牛歩のあゆみなのですが、のんびりやっています。たまには進捗状況の報告をしなくてはいけませんね。エンドレスが引けちゃうとすぐに遊んじゃって手が進まない悪い癖を何とかしなくては。

11月にはGMの73系全金車4両を作りました。古いキットのリメイクなので、今時のNゲージと比べると大雑把なディテールですが、今の私には丁度良い感じがしています。

さらに12月になって、GMキットを切り刻んでキハニ5000を作りました。これはTwitterでも高い評価を頂きました。自分でも良い出来になったなと思います。Nゲージの小型車路線は当分続けていきたいと思います。今製作中のものも、年明けには発表できるでしょう。

来年は仕掛中のNナローを仕上げないといけません。車両7割、レイアウト3割くらいの感覚で作っていけたらいいなと思っています。

それでは、少し早いですが、本年度最後の更新にしたいと思います。
皆様よいお年を。来年もよろしくお願い致します。

 

 

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GM73系全金車を作る

グリーンマックスの古い73系全金車のキットを作ってみました。

「ゲタ電」73系は旧型国電の中でも一番親しんできた電車です。旧型国電全盛時代、神奈川県に住んでいた私には、横浜線、南武線、鶴見線、御殿場線で走っていた73系が最も親しみのある旧国でした。

中でも全金車はノーシル・ノーヘッダーの車体がとても綺麗で、武骨な旧ロクサン型とは対照的な印象がありました。

73系全金車は、NゲージではTOMIXが模型化していますが、常時入手できるというわけでもなく、中古も潤沢に出回っていないので見かけたら買うくらいの事しかできません。来年2月にHG仕様の5両編成が製品化されますが、基本セットがクハ79-920×2+モハ72-920×3、増結セットBがクモハ73+サハ78+クハ79-300という鬼畜仕様。なんでクモハ+サハ+モハ+クハのセットにしないかね?
両方買うと定価で3万5千円。ちょっと手が出ません。

鉄コレの73系は、中央東線に近代化改修のモハ72が入っているだけで、全金車はもとより他のバリエーションすらありません。73系としては、私鉄に行った小田急1800とか山陽電鉄、東武の車両があったくらいです。国鉄のオリジナルはTOMIXで模型化しちゃったので鉄コレでは出しにくいという事でしょうか?

そんな中、昔から存在していたのがグリーンマックスの全金車キットです。板キットではなく一体型成型のキットでした。バリエーションとして小田急1800があり、これも鉄コレが出すまでは、ガレージキットを除いては唯一だったと思います。

しかしこのキットは色々問題がありまして、現在では絶版になっているようです。改造ベースに丁度良いのでリメイクして欲しいものです。全面変更で板キット化してくれるとさらに良いのですけどねえ。板キット化して前面を3パターンくらい用意して貰えれば、ロクサン型のキットと合わせてかなりのバリエーションが作れるのですが。

それはさておき、問題のキットを見てみましょう。クモハ73、モハ72、サハ78、クハ79の4種類が製品化されています。この4両編成を茶色1色で仕上げてみたいと思います。

実物写真を参考にしながら修正箇所を見ていきます。こういう時は、宮下洋一さんの「写真とイラストで綴る 国鉄72・73系電車」がベストです。これ1冊あれば73系製作には困らないです。みんな買いましょう。電子版も出てますし。

・サハ78


まず、サハ78。ノーシルノーヘッダー車は存在しません。「実際にはこのようなサハは存在しませんでしたが、模型の世界では編成を整える為ぜひ必要なもの」だそうです。
この頃のGMには、こういう思想的な模型がありましたね。

もしサハ78にノーシルノーヘッダーの全金車があったらという想定で作ってみることにします。そうやって割り切れば、特に改造点は無し。
新製全金車というより全金改造車ですかね?モハ72の全金改造車から80系のサハ87に動力を譲り電装解除したものが実在します。そのバリエーションという事にして、台車はTR48にしましょうか。形式はサハ78600としてみます。

・モハ72

全金モハ72920番台として見ると、色々違います。
全金車は雨樋が埋め込み型なので、まずここが違う。戸袋窓の位置も間違っています。あと、初期車を除いて窓隅にRが付いていますので、これも違います。「雨樋を内側にかくしたなめらかな側板は独特の美しさがありました」って書いてあるのに雨樋がついてるのは何でだぜ?(笑)

全金改造車として見てみると、これが一番近いようですが、決定的な問題としてパンタが逆側に付いています。ドアの開閉方向と逆になっちゃっています。これはダメですねー。実は、実車にも1両だけ逆側にパンタが付いた(戸袋窓の付き方が逆と言うべき?)モハ72110があるんですが、それを模型化するしかないんでしょうか?。

が、ドアが全部プレスドア!なんで?!クモハとクハは違うのに!!これの改修は大変ですが、何とかするしかないでしょう。プレスドアを埋めます。瞬間接着剤を流してやすりで整形しました。あと、少し目立つ加工として、パンタ側のドア横に手すりを植えています。他の手すりと表現を均一にするため、伸ばしランナーで作った手すりを接着しました。

また、1個だけプレスドアが付いている車両とかは実在しますので、ひとつだけ残してみました。番号はモハ72110です。

・クモハ73

クモハ73には量産型全金車というのは無く、近代化改造車及びモハ72からの先頭車改造車という事になります。ノーシルノーヘッダーで、前面方向幕ありのタイプという事になった場合、キットのように前面に配管が這っておらず埋め込み式になっているものが多いです。唯一、作用管(前面向かって左)だけ残っているのが500番台で、これに改造するのが一番簡単そうです。向かって右の母線だけ削ることにしました。

前面から配管を削り、ついでに屋根の配管も短く加工。形のおかしい避雷器を切り取ります。また、この車体は何故かパンタグラフ用の穴が開いていません。ベンチレーター穴を埋めてパンタグラフ用の穴を2個開け直しました。

さらに、乗務員ドアが木製タイプなので、ドア下の段付きの部分をプラ板で埋めます。本来ならば側面とツライチなので、別パーツのドアで塞ぐほうが簡単ですが、そうなると今度は手すりも埋め込み式に変えたくなります。そこまでやるのは面倒なので辞めました。車番はクモハ73507とします。

クモハ73は2両入手出来ましたので、もう一両は更に配管を削り方向幕を埋めてみました。こちらは片町線仕様になる予定。

・クハ79

モハ72同様、全金車とすると雨樋と窓隅のRが違います。クハ79のノーシルノーヘッダー車は全金車しかありませんので、雨樋を削り落としました。
窓隅Rの無い全金試作車の、クハ79924としてみました。

まあ、そんな感じでミスだらけなので現在は廃版になってしまったようなのですが、是非とも新設計の板キットとして復活させてほしいです。

***

下回りはキットのものを使うつもりでしたが、台車の動きが渋くて結構脱線してしまいます。台車を付けたり外したりしていたらボルスターの床板側の穴が割れまくりました。仕方なく、手持ちのGMキットの余りの床板を使いました。したがって床下機器も新しいものに変えています。

ここ、いつも思うのですが、プラ製のピンじゃなくてHOのように段付きネジにならないですかね?安定度が全然違います。幾つかの台車はネジに交換しています。

動力装置は鉄コレ用を使いました。両サイドにゴム系接着剤で高さ7mmの1mmプラ板を接着しただけ。窓ガラスの下部に高さを合わせる感じです。そこに両面テープを貼って車体に接着しています。先頭車側はボディマウントのTNカプラーにしますが、窓ガラスと干渉するので、ガラスの下側を欠き取りました。連結面側は台車マウントのTNカプラーです。

付随車は全て台車マウントのTNカプラー。反対側のクハ79の前面はボディマウントのTNカプラーです。

***

グロベンを加工する。

キットのグロベンはカバーの角が落とされている新型です。73系のグロベンは、全金車以外初期型のものが多く、カバーが直立しているタイプですが、残念ながらGMのパーツにはありません。そこで、加工して初期型っぽく見えるようにしました。プラパイプを細く切って、グロベンはドリルレースでパイプ内径まで削って嵌めるだけの簡単な加工ですが、結構それっぽくなります。もう少しプラパイプを肉薄にしたいところですが、武骨なGMキットには少し厚いモールドのほうが似合っているようにも思います。

この加工を行ったのはクモハ73のみです。

アルミサッシを加工する。

全金車なので、サッシはアルミです。でも、なんかアルミサッシっぽく見えないんですよね。中桟が太いというのもあるんですが、窓の縦枠が見えているっていうのも影響しているようです。サッシ窓の場合縦枠は見えないくらいの出っ張りしかないので、これを削ってみました。

やって後悔。超面倒くさい割にスッキリ見えませんでした(苦笑)

ヘッドライトを加工する。

ヘッドライトはくり抜いて透明プラ棒を刺します。点灯式にはしません。テールライトは塗装のみで誤魔化しました。

さあ、これでだいたい完成です。まだまだ凝ろうと思えば幾らでも出来ますが、この車両に過度なディテールアップは似合わないと思いますので、このあたりでお開きとしました。

***

塗装は、まずサーフェサーを吹いて加工部分の確認。特にプレスドアの埋め跡が目立たないようになるまで修正しました。完全に消すのは難しいですね。

その他加工部分の傷などを確認してから本塗装です。ブドウ色2号単色なので楽でした。屋根色を塗ったのち、サッシに銀を入れます。本当は車体側は銀で塗るべきではないんですが、構造的に窓枠だけ綺麗に塗るのは至難の業。仕方なく窓全体を銀で塗っています。

最後にベンチレーターを塗って接着。これで完成です。

下回りは黒一色。軽くウェザリングしておしまい。新型の床下機器セットが待ち遠しいですね。ちょっと高いですけど。

インレタはGMのものを使用しました。所属区標記は適当なものを付けています。

最後にGMのPS13を付けて完成。のべ1週間程度の作業でした。

使用したパーツ

・GM クモハ73・クハ79キット(中古)
・GM モハ72・サハ78キット(中古)
・GM DT13台車×1 TR48×2
・GM PS13黒×2
・GM バルク床板 旧型国電用床下機器
・トミーテック 動力ユニット TM-17
・TOMIX TNカプラー JC0349&0381
・GM 73系用インレタ
・GM ぶどう色2号/淡緑1号
・ジェイズ スエード調塗料

トータルコスト 1万円弱

製作期間 2021年10月~11月

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鉄道省キハニ5000の製作

キハニ5000は黎明期の戦前型気動車で、二軸の下回りに鋼製の重厚な上回りが乗った、お世辞にも軽快とは言えない車両です。
試験的な意味合いが強かったようですが、12両製造され全国に配属されました。
小さいくせに荷物合造車で、小型レイアウトなどには最適と思うのですが、何故か製品には恵まれていません。16番ではつぼみ堂、フクヤマモデル。Nゲージではワールド工芸くらい。

鉄道模型を始めた小学生の頃、つぼみ堂のキハニ5000が欲しくて仕方なかったのですが、残念ながら入手敵わず。ペーパーで自作したものの、動力装置に難儀して良く走りませんでした。小学生ですから仕方ないですが、いつか再チャレンジしようと思いつつ、そのままになっていました。

***

昨年、KATOのチビ客車動力がリニューアルされ、HOナロー用に幾つか買い込んだのですが、その後すぐにHOナロー廃業を決めたので使わずじまい。そのまま棚の奥にしまい込んでいたものを、先日掃除した時に発見し、現在制作中のレイアウトで試走させてみるとこれが良く走る。スローも利いて以前のものより格段に良い動力になっていました。

じゃあ、これを使って何か小さいのを作ろうってんで、まず思いだしたのが前述のキハニ5000です。ノス鉄で出るんじゃないかと思っていたんですが、ノス鉄第二弾は別の方向に行っちゃったので、自作してみようと思いました。50年来のリメイクという事になります(苦笑)

いつもの通りTMSの「陸蒸機からひかりまで」をひっぱり出し、キハニ5000のイラストにチビ客車動力をあてがうとピッタリです。これに気を良くして上回りの物色。

窓まわりはGMのスハ44から応用できそうです。ドアは同じくGMのクモユニ81を使うと何とかなりそう。両方ともバルク材のパーツが余っていましたので、これを切り継ぎ加工して上回りをでっち上げました。厳密にはドア幅などが一部違いますが気にしない。ガチなスケールモデルを作るわけではないので、雰囲気が似ていればOKです。その意味ではキハニ5000タイプなのです。

この車、非対称な上に、左右で窓配置が全然違うという曲者なんですね。実は今年の5月くらいに一度車体を作っていたのですが、まさか窓配置が違うとは思わなかったので、同じ仕様で作ってしまい、そのあと実物写真を見て気が付いて作り直したという情けない顛末があります。スケールモデルを作る際には、最低四面図か、それに順ずる写真の入手が必要という、当たり前のことを痛感しました。

屋根もスハ44用で、オデコの部分はエポキシパテから造形しています。

印象的なラジエター部はプラ板から。そこから車体前面を這って下まで伸びていくパイプや、背面の支え棒、窓上の水切りは全て伸ばしランナーで表現。
特徴的なタイフォンや解放テコも全て伸ばしランナーです。ランナー再利用&線材省略で安く仕上げようという魂胆。意外と何とかなるもんです。

ヘッドライトはGM旧型国電のキットからパーツをいただき、中をくり抜いて銀で塗り、ガラスはエポキシ接着剤で埋めて表現しています。古い手法ですが、この手の旧型車両には良い感じ。点灯化も考えましたが、新型チビ客車動力は配線に向かない構造になってしまい、分解しないと配線出来ないので断念しました。昔の動力が簡単に点灯化出来る構造だっただけに、ちょっと残念ですね。

下回りはデッキの手すりを切り取り、バッファーを抜いただけ。モーターを隠している下回りの出っ張りに、プラ板から適当に切った枠を貼りつけてエンジンっぽい感じにしてみました。

カプラーはKATOカプラーに交換しています。上回りの嵌めこみ構造が上手く作れなかったので、シンプルに両面テープで車体に貼り付けました。

塗装はブドウ色に赤帯にするか、戦前型の二色塗装にするかで迷いましたが、目立つように二色塗りにしてみました。本来は黄褐色2号と青3号ですが、どちらも実物を見たことが無いので、西武用のベージュと青15号で代用しました。いずれもう一両作る機会があれば、今度はブドウ色にしたいです。

屋根はいつもならスエード調塗料かジャーマングレーなのですが、これは割と明るいイメージがありましたので、手持ちのグレーの中から軍艦色を塗ってみました。

最後にレタリングを適当にちりばめ、窓ガラスを貼って完成。
前面に車両番号だけが付くのですが、この部分はインレタの貼り付けが難しかったので、デカールに転写してから貼り付けています。

今回から窓ガラス接着にセメダインのハイグレード接着剤を使っています。これ、透明パーツの貼り付けに持ってこいなのでお勧めです。

気軽に作り始めたのですが、自分でも思いのほか良い出来になったので大満足です。Twitterでも異例のイイネとリツイートをいただきました。わたしの代表作のひとつになるでしょう。

使用したパーツ

・GM クモユニ81 車体バルク材
・GM スハ44 車体バルク材
・KATO チビ客車動力
・KATO ナックルカプラー
・アルモデル 客車用インレタ
・GM ベージュ/青15号
・クレオス 軍艦色2

トータルコスト:3800円程度

製作期間 2021年11月~12月

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Nゲージレイアウトの製作(3)Nナローの併設

さて、このレイアウトにはもう一つの線路が敷いてあります。Nナロー6.5mmゲージの線路です。

「ねずきゅう」用の線路で、この駅は根津急猪川線「ねずきゅう・いがわせん」の猪川駅という事になります。実はNゲージのエンドレスはオマケで、こちらのNナローが本題だったりするのでした。

内側のホームは国鉄線と根津急との共用島式ホームとなっています。根津急はここから出発し、エンドレスの内側を周回していきます。

国鉄線が水平に周回していくのに対し、根津急は徐々に勾配を下っていきます。

裏ストレートで緩い勾配を登っていく国鉄線に対し、根津急はさらに降下し、トンネルに入っていきます。

そうして駅の下を抜けて、台枠の穴からこんにちは。

この先は簡単なヤードを敷くなどして、列車の入れ替えを可能としたり、単純に直線だけを敷いて自動往復運転をさせたりするのも面白いかもしれません。丁度ロクハンから自動往復運転装置が発売されましたので、試しに買ってみてもいいかなと思っています。

そこまでしなくても手動往復運転で充分かな?

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Nゲージレイアウトの製作(2)ハイブリッドなレール敷き

なるべく余計なお金をかけないでレイアウトを作るというコンセプトでNゲージレイアウトを作っています。

わが家にはTOMIXのレールが沢山転がっていたので、これを利用しようと思いました。

TOMIXはポイントに難があり、固定式レイアウトでTOMIXを使うと様々なトラブルに見舞われるようです。しかし、小型レイアウト必須のカーブポイントはKATOにはありません。KATOがカーブポイントを出してくれれば良いのですがね。PECOは前回のトラウマがあるので使いたくありません。

Nゲージで鉄道模型を再開した時、よくわからずにTOMIXのポイントばかり買っていました。当時はナロー主体だったので、スーパーミニカーブレールのあるTOMIXのほうが何かと便利だと思っていましたから必然的にTOMIXを買っていました。買っちゃったものは仕方ないので、手持ちのポイントの中からカーブポイント1つとR541のポイント、R280のポイント1つずつを使用しました。

あとはレイアウトに合わせて線路を適当に繋いでいきます。問題は、橋桁のある部分で、ここはデッキガーダーを付けたいのですが、TOMIXには曲線ガーダーがありません。全くもう、帯に短し何とやら。ここはKATOの出番となりました。

KATOには曲線デッキガーダーがありますので、これを使います。R448という半径なので、これとTOMIXレールを合わせると結構齟齬が出ます。合わない部分はTOMIX側のレールをカットして調整しました。

橋脚はKATOのものが少し大げさなのでTOMIXのものを使っています。ここもハイブリッド工法になってしまいました。

最後に左側のポイントが2基連続する部分ですが、そのまま繋ぐと冗長的になってしまうので、R541ポイントの定位側の直線を切って繋げました。ところがこのポイントの構造上、定位側の直線部の根元に電気接点があり、そこまで切ってしまうとジョイナーが入らないことが分かりました。時すでに遅し。

仕方ないのでジョイナー無しで繋げています。後でハンダを盛って成形するとかしたほうが良いかもしれません。

ポイントが少ないのとプランがシンプルなので、フィーダーは1カ所でいいかな?と思います。とりあえず裏ストレート側にフィーダーを接続。駅構内はギャップを切って別配線にすべきでしょうね。このあたりの工作はしばらくテスト走行させてから考えたいと思います。

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Nゲージレイアウトの製作(1)プラン

長いトンネルを抜けるといきなりやる気があふれ出て来ました(笑)

というわけで、長らく放置状態だったNゲージレイアウトの製作に着手をしています。

元々、HOナロー用に作っていたレイアウトがあったのですが、製作途中で断念。主たる理由はストラクチャー製作が思うように進まなかったのと、PECOのポイントマシンとの相性が最悪で、動作不安定になってしまい嫌気が差したというのが原因です。PECOのマシンはベーシックなコイル方式なのですが、ここのスイッチに中華コンデンサを使ったのがまずかったらしく、経年劣化でちゃんと動かなくなってしまいました。コンデンサの抜けが早すぎる感じです。まあ、仕方ないです。

その後、HOナロー廃業に合わせてレイアウトは解体するつもりでしたが、この台枠を利用してNゲージレイアウトを作ることにしました。

元々のサイズは、押入に入るように設計したもので900×770という半端サイズでした。Nゲージの20m級車両4両編成を走らせようと思うと、長手方向900では少し足りないので、台枠を延長して1050×770にしました。押入に入るギリギリの大きさです。

まずはプランニングですが、参考にしたのはこの本。

SHIN企画の「小型レイアウト4題」です。この本は穴が開くほど読みました。なので、あちこちでこれらの作品にインスパイアされています。

これがプラン図になります。大きさとコンセプトから、星ノ森鉄道比美津線に似通ったプランになってしまいますので、出来るだけそっち側に寄せないように苦心しました。

とは言え、エンドレスに交換可能な分岐を持つ対向式ホームの駅というのは一緒なので、そこにもう一つオマケを付けました。内側のホームの端から根津急の線路を出して、内側を周回し、駅の下をくぐってレイアウト外に出るという線路です。天山鉄道有賀峠線のアイデアを頂いています。

それともう一つ。私のレイアウトでは必ず設定する「延長想定線路」を敷きました。駅直前の外側で分岐し、引込線に入るという線路です。駅構内から分岐するのではなく渡り線のようなイメージで分岐するのがミソです。

延長部には色々なセクションを作ることが可能です。例えば、一般的に小型レイアウトでは収納不可能な大型扇形庫のモジュールなどを作って繋げることが出来ます。

ナロー線のほうには、昨年作った根津急のレイアウトを接続することが出来たりします。
こうやって複数のレイアウトを繋げて楽しむのがワタシ流のレイアウトの楽しみ方なのです。

プランが出来ましたので線路を敷いていきます。ほとんどがTOMIXのレールそのものですので楽でした。

線路の話は、また次回。

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