鉄道省キハニ5000の製作

キハニ5000は黎明期の戦前型気動車で、二軸の下回りに鋼製の重厚な上回りが乗った、お世辞にも軽快とは言えない車両です。
試験的な意味合いが強かったようですが、12両製造され全国に配属されました。
小さいくせに荷物合造車で、小型レイアウトなどには最適と思うのですが、何故か製品には恵まれていません。16番ではつぼみ堂、フクヤマモデル。Nゲージではワールド工芸くらい。

鉄道模型を始めた小学生の頃、つぼみ堂のキハニ5000が欲しくて仕方なかったのですが、残念ながら入手敵わず。ペーパーで自作したものの、動力装置に難儀して良く走りませんでした。小学生ですから仕方ないですが、いつか再チャレンジしようと思いつつ、そのままになっていました。

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昨年、KATOのチビ客車動力がリニューアルされ、HOナロー用に幾つか買い込んだのですが、その後すぐにHOナロー廃業を決めたので使わずじまい。そのまま棚の奥にしまい込んでいたものを、先日掃除した時に発見し、現在制作中のレイアウトで試走させてみるとこれが良く走る。スローも利いて以前のものより格段に良い動力になっていました。

じゃあ、これを使って何か小さいのを作ろうってんで、まず思いだしたのが前述のキハニ5000です。ノス鉄で出るんじゃないかと思っていたんですが、ノス鉄第二弾は別の方向に行っちゃったので、自作してみようと思いました。50年来のリメイクという事になります(苦笑)

いつもの通りTMSの「陸蒸機からひかりまで」をひっぱり出し、キハニ5000のイラストにチビ客車動力をあてがうとピッタリです。これに気を良くして上回りの物色。

窓まわりはGMのスハ44から応用できそうです。ドアは同じくGMのクモユニ81を使うと何とかなりそう。両方ともバルク材のパーツが余っていましたので、これを切り継ぎ加工して上回りをでっち上げました。厳密にはドア幅などが一部違いますが気にしない。ガチなスケールモデルを作るわけではないので、雰囲気が似ていればOKです。その意味ではキハニ5000タイプなのです。

この車、非対称な上に、左右で窓配置が全然違うという曲者なんですね。実は今年の5月くらいに一度車体を作っていたのですが、まさか窓配置が違うとは思わなかったので、同じ仕様で作ってしまい、そのあと実物写真を見て気が付いて作り直したという情けない顛末があります。スケールモデルを作る際には、最低四面図か、それに順ずる写真の入手が必要という、当たり前のことを痛感しました。

屋根もスハ44用で、オデコの部分はエポキシパテから造形しています。

印象的なラジエター部はプラ板から。そこから車体前面を這って下まで伸びていくパイプや、背面の支え棒、窓上の水切りは全て伸ばしランナーで表現。
特徴的なタイフォンや解放テコも全て伸ばしランナーです。ランナー再利用&線材省略で安く仕上げようという魂胆。意外と何とかなるもんです。

ヘッドライトはGM旧型国電のキットからパーツをいただき、中をくり抜いて銀で塗り、ガラスはエポキシ接着剤で埋めて表現しています。古い手法ですが、この手の旧型車両には良い感じ。点灯化も考えましたが、新型チビ客車動力は配線に向かない構造になってしまい、分解しないと配線出来ないので断念しました。昔の動力が簡単に点灯化出来る構造だっただけに、ちょっと残念ですね。

下回りはデッキの手すりを切り取り、バッファーを抜いただけ。モーターを隠している下回りの出っ張りに、プラ板から適当に切った枠を貼りつけてエンジンっぽい感じにしてみました。

カプラーはKATOカプラーに交換しています。上回りの嵌めこみ構造が上手く作れなかったので、シンプルに両面テープで車体に貼り付けました。

塗装はブドウ色に赤帯にするか、戦前型の二色塗装にするかで迷いましたが、目立つように二色塗りにしてみました。本来は黄褐色2号と青3号ですが、どちらも実物を見たことが無いので、西武用のベージュと青15号で代用しました。いずれもう一両作る機会があれば、今度はブドウ色にしたいです。

屋根はいつもならスエード調塗料かジャーマングレーなのですが、これは割と明るいイメージがありましたので、手持ちのグレーの中から軍艦色を塗ってみました。

最後にレタリングを適当にちりばめ、窓ガラスを貼って完成。
前面に車両番号だけが付くのですが、この部分はインレタの貼り付けが難しかったので、デカールに転写してから貼り付けています。

今回から窓ガラス接着にセメダインのハイグレード接着剤を使っています。これ、透明パーツの貼り付けに持ってこいなのでお勧めです。

気軽に作り始めたのですが、自分でも思いのほか良い出来になったので大満足です。Twitterでも異例のイイネとリツイートをいただきました。わたしの代表作のひとつになるでしょう。

使用したパーツ

・GM クモユニ81 車体バルク材
・GM スハ44 車体バルク材
・KATO チビ客車動力
・KATO ナックルカプラー
・アルモデル 客車用インレタ
・GM ベージュ/青15号
・クレオス 軍艦色2

トータルコスト:3800円程度

製作期間 2021年11月~12月

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Nゲージで作る旧型国電(1) 大糸線4連

Nナローを始める前に、Nゲージをやろうとしていました。その時に手掛けた車両がようやく完成しました。そんなに精密ではありませんし適度に省略していますが、Nナローをやる傍ら、のんびり作っていければと思います。

【大糸線40、51系4連】

<クハ55435+<クモハ54005+<クハ55433+クモハ60022(M)>

製作期間:2019/11/10~2020/10/11

大糸線の40/51系4連です。

Nゲージ復帰後の旧型国電キットメイク第1作となります。しかし、完成まで1年近く掛かるとは。途中でNナローを始めたにしてものんびりしすぎのようです(苦笑)

元々はTMS1973年10月号(相変わらず古くてすみません)に掲載されていた西尾博保氏の作品にインスパイアされて製作したものです。
12年ほど前、鉄道模型をNゲージで再開した当初にも同じ編成で大糸線風のNゲージを作ってみたことがあり、それが私のNゲージの事実上のデビュー作でした。
この車輌はその後Nゲージからナロー専業にスイッチした時に処分してしまったので、我が家には残っていません。
Nゲージでの旧型国電製作にあたり、第一作に大糸線を選んだのには色々な理由がありますが、私のN車輌第一作を再製作するという意味合いも強く反映されています。

車輌は全てGMキットからの切り継ぎ加工です。
西尾氏の作例は茶色混在時のものでしたが、私のものは全て青22号の時代にしました。さらにクハ55は、トイレ設置後の車番号改定後としています。

【改造の概要】

クハ55435

先頭に立つのはノーシルノーヘッダー、サハ75からの改造車クハ55430番台です。
クハ55430番台には、色々なバリエーションがありますが、前述の西尾氏の作品のクハ55をベースとし、トイレ取り付け、番号改定がありましたので、これに倣いクハ55435としてあります。

サイドはウィンドシル、ヘッダーを削り取った後、トイレ部の窓を狭くしました。
ドアの形状が異なっていますので、それなりに加工してあります。2枚のドアは中枠付きになっています。一般的な改造ならタヴァサのパーツを貼りたいところでしょうが、お金を掛けたくないので、キットのドアを活かしてプラ板から切り出した中枠を接着しました。

キットの床下機器は実物とはかなり配置が違うように思うのですが、このあたりの表現には凝らないつもりなのでキットのままにしてあります。ただし、トイレ付きなので水タンクは装着しました。

前面はサハ改造なので独特のツラガマエです。GMクハ55キットのうち、列車番号表示枠が丸いタイプの前面を用い、窓とドアをくり抜いてから裏面をヤスって0.5mm厚程度まで削ります。続いて、片方だけHゴム化された前面パーツのモールドを、Hゴム以外すべて削り落とします。これを張り合わせて前面を作成しました。貫通ドアの窓には横桟が入っているタイプなのでプラ板で付けてあります。渡り板はキットの幌枠から切り取ったものを接着。先頭車ですので、運転台側はボディマウントのTNカプラー、連結面側は台車マウントのTNカプラーです。

クモハ54005

半流ノーシルノーヘッダー車が欲しかったので、クモハ51のキットを加工して作りました。こういう時は思い切って、側面の全ディテールを削ぎ落したほうが綺麗に作れるのですが、少し横着をしてしまい、案の定汚い仕上がりになってしまいました。こういうのは何度やっても上手くいきません。

さらにこいつは戸袋窓がHゴム化されています。これもエッチングパーツを使えばスッキリ出来ますが、加工するほうが楽しいので、余った41系の妻板からHゴムを切り出し、はめ込み加工してあります。

前面は運転台側がHゴム化されているものを使用し、窓の下の特徴的な大鉄型ベンチレーターは引き延ばしランナーから簡単に作ってあります。奇数車なのでジャンパー栓受けを他の前面パーツから切り取って接着しています。幌から渡り板を切り取って接着し、上の穴は埋めてあります。

中間なので連結器は台車マウントのTNカプラーを付け、運転台側にはカプラー根元の両側にキット付属のジャンパー栓を切り取ってボンドで貼り付けてあります。

クハ55433

これもサハ改造のクハです。435とは異なって貫通ドアの幅が広いタイプ。まさに中間車を先頭車化しましたと言わんばかりの顔で、こういうやっつけ仕事的な車両は大好きです(笑)

作り方は435とほとんど一緒ですが、シルヘッダーが付いているだけ楽でした。

特徴的な前面はGMのクモハ11のキットからクモハ12に改造するための前面を利用しました。オデコの部分だけクモハ41用のものを移植しています。サボ受けはプラ板から自作。中間車の運転台側カプラーの根元にジャンパ栓を付けるのは標準仕様となりそうです。

クモハ60022

ここまで作って、3両とも奇数車なのに気づきました。これでは編成が組めません。そこで、半流クモハ60の偶数車を作って動力車としました。

半流のクモハ60はGMのキットにはありませんので、切り継ぎ加工することになります。使うのはクモハ41キットとクモハ51用半流前面です。
まず、クモハ41の側板の加工ですが、運転席後部に縦樋が付く部分で切断し、長さを2mmほど短くします。続いて前妻と接続するRの付いている部分をカットし、51系の半流前面と接合できるように裏を削ります。このあたりの改造は、現物合わせの加工となります。こちらもノーシルノーヘッダー車ですので、クハ55435同様にシル・ヘッダーを削り落としました。

前面はクモハ51用のものを使い、シルヘッダーや幌枠を削り取って穴埋めし、プラ板から作ったサボ受けを接着。
側板が出来たら、前面と連結面妻板を貼り合わせて箱にします。クモハ41用の屋根板を載せ、半流部分に適合するようにカットして載せます。ここは上手く削れないので大雑把に処理し、エポキシパテで穴埋めして仕上げています。GMのキットの屋根板は反りが目立つので、加工後の接着は困難を極めました。

運転席直後のつなぎ目を隠すように縦樋を貼って、あとは平均的な仕様でディテールアップ。下回りもGMパーツを使いました。動力はGMのコアレス動力ですが、これは板キットには簡単に付きません。

キット裏側のモールドを削り取り、プラ板を重ね合わせたて作ったコアレス動力をはめ込むパーツを作成して接着します。

屋根上は殆んどキットのまま。20年前に作った時のモデルとは屋根板が変わったようで、パンタグラフの配線がモールドされています。これはそのまま活かしました。避雷器もキットのものを小加工しただけ。

【全車共通仕様】

手すり類は特に付けていません。私程度のスキルだと、このくらいの細密感で丁度良いようにおもいます。パンタグラフはGMのPS13、連結器はTNカプラーの密連。
台車もすべてGMのTR23。

最後までどうするか悩んだのはベンチレーター。パーツにヒケが目立ったのですが、1個1個手作業で修正しました。そんなことをするから完成まで1年も掛かるんです。後半はKATOのパーツが手に入ったので、2両はそれを使いました。

【塗装とレタリング】

第一作に大糸線を選んだのには、単色塗装なのでマスキング工程と塗装工程を省略できるという事も大切なポイントでした。
スカ色などの塗り分けの場合には、マスキングの手間がかかります。
第1作のコンセプトとしては車輌の改造を楽しむ事に主眼点を置きましたので、塗装では楽をしたいというのが本音でした。
そういう意味では、ぶどう色2号でも良かったのですが、少しは派手なカラーにしたかったという事もあります。

屋根上パーツを除く全ての車体ディテールを装着後、充分乾燥させてから青22号、屋根色の順で塗ります。屋根にはスエード調塗料を塗りました。ベンチレーターはニュートラルグレーを使っています。

レタリングはGMのインレタを使用。所属区表記は以前作った時使った、くろま屋のものが残っていたのでそれを使いました。

最後にテールランプの赤、ヘッドライトの銀、パンタ碍子に白を入れて完成です。

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