５円引き怪獣カードを収集していく過程で、ある不思議なトランプを発見した。
「ALASKA」という、恐らくトランプメーカーなのであろうか、そこが販売していた怪獣トランプなるものに、実に魅力的なパチモン怪獣たちが描かれていたのである。
しかも、一部の怪獣たちの絵は、明らかに「ヨコプロ」の新怪獣世界一周プロマイドの絵柄を使用しているのであった。

ヤフオクで発見し、これは買わねばなるまい！と思い立って入札したものである。 ケースには、このように「怪獣トランプ」と明記されているもののほか、ゲスラもどきの絵が描かれているものや、普通のトランプ用化粧箱のようなものに入っているものもあった。 このトランプは、元来、企業販促用として利用されたらしく、分かっている範囲ではノンスメルや富士フイルムがオリジナルパッケージで景品として配布していたようである。 ノンスメルのものは、パチモン怪獣ではなく、正統派のウルトラ怪獣（もちろん版権取得済）であったようだ。 カードのデザインが、ウルトラ怪獣版とパチモン怪獣版で全く同一であり、また、エダホザウルスやステゴザウルスなど版権不要の恐竜たちのカードが全く同一であることから、恐らくノンスメルが円谷プロから版権を取得しトランプ化したものを、全ての絵柄をパチモンに入れ替えてアラスカが販売したと考えるのが妥当であろう。

とりあえず２種類の怪獣トランプを入手し、比較してみて驚いた。
微妙にカードの内容が異なっているのである。
全てのカードにパチ怪獣の画像があるものと、ヒーローのパチモン画像に入れ替えられているバージョンが存在するのだ。
このヒーロー版であるが、これにも何種類かバリエーションがあるようで、私の入手したものには、画像のように「バロム１もどき（顔に水疱瘡のような斑点がある）」や「ウルトラマンエースもどき（黒目があって、ボディが黄色い）」のほか、「仮面ライダーもどき」や「変身忍者嵐もどき」などが描かれていた。
そのほか、ヤフオクで散見したトランプの中には、「科学忍者隊ガッチャマンもどき」や「マジンガーＺもどき」の絵柄のものも存在している。
どこまでバリエーションが存在するのか確認するのは困難であるが、追求する楽しみが増えたと思って、今後も新種発見に努めていきたいと思っている。

などと考えていた矢先、もう一つ全く別の種類のパチモン怪獣トランプを発見してしまったのであった。

こちらがそのパチモン怪獣トランプである。 やはり販促用で、メーカーはなんとキューピーである。 マヨネーズを買うと景品としてくれたようだ。 箱が汚いのであるが、中身は52枚＋ジョーカー2枚、きちんと揃っていた。 中身は、基本的にアラスカ／ノンスメルのものと同タイプで、デザインは全く同じなのだが、何故か怪獣の絵柄は１匹もダブっていない。これは凄いことだ。 世間一般的には一流企業のキューピーマヨネーズたるものが、版権無用のパチモン怪獣トランプなんぞを景品にしてもいいのか！と言いたくなるところであるが、我が輩としては、逆にこんな愉快なものを作った当時の宣伝企画部門の担当者の栄誉を評したい気分である。

前述のとおり、これらアラスカ／ノンスメル版（以後アラスカ版と略す）と、キューピー版は、カードデザインが全く同一である。
従って、このキューピー版も同じメーカーで作成されたと考えるのが妥当であろう。
意地でもノンスメルと同じ怪獣を使いたくなかったのか、あるいはキューピーが先で、ノンスメルが円谷から版権を取得して同じメーカーにウルトラ版を発注したのか、そのあたりの経緯は全く不明であるが、実に面白いではないか。
当時の事情をご存知の方が居られたら、是非ご一報頂きたい。

では、実際にキューピー版とアラスカ版の画像をご覧頂こう。
左の３枚がキューピー版、右の３枚がアラスカ版である。
まるっきり同じデザインであることと、クラブのＡがキューピー版はキュラドロスになっているのに対し、アラスカ版ではモグドンだ。スペードの８はアラスカ版がコラル人とシーメイド、キューピー版のほうはペシュラとなっていて、全く違う怪獣になっている事がお分かり頂けるであろうか。
しかも、これらの怪獣たちに共通しているのは、名前がダサいという事である。
パチモンブロマイドの怪獣たちもろくな名前ではないが、それに輪をかけて酷いのだ。
「ミルメデス」「モグドン」「キュラドロス」そして究極の「水素獣エッチ」などなど・・・

我がパチモン怪獣カードコレクションでは、これらのアラスカ版トランプをASシリーズ、キューピー版をQPシリーズとして１匹ずつ連載化していく予定である。２種類で１０４匹にものぼる、ちんけな怪獣たちの画像をご堪能頂きたい。