「クモハ」の「ク」はクルマのク。

更新ネタが乏しいので、twitterで仕入れた話題から一席。

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小さいころ、交通博物館に行った時に買ったガイドブックに、車両記号の説明が書いてありました。

それによれば、

「ク」はクルマのク、「サ」は「さぶらふ(候ふ)」のサだというのです。

さぶらふってのは、仕えるとか傍に控えるとかいう意味です。

電車が誕生し、このような車両記号が生まれたのは明治37年の甲武鉄道の電車の誕生からです。当時の形式は、電車を表す「デ」のみ。

その後、大正3年に最初の本格的電車として、デハ6340系が登場します。この時、電動車ではない付随車両としてクハ6420とクロハ6190が登場しました。電動車ではないクルマなので、クルマのクを称号としたようです。

ところが、クロハ6190は運転台の無い中間車であって、そのため中間車としてのサの称号が大正4年に制定され、サロハ6190に改称されました。

大正4年という時代ですから、その記号の出自として「さぶらふ」という古めかしい言い回しを使っているのは変ではありません。むしろ自然とも言えるでしょう。

称号改正については鉄道院、鉄道省時代の資料が残っているのでその信憑性は高いのですが、残念ながら出自は説明されていません。しかしながら、交通博物館という鉄道省直轄→財団法人日本交通公社運営の組織が出版した書籍に記載されていたのですから、その信憑性は一番高いのではないかと考えています。

ところが最近、異説が頻出しているんです。
たとえば、あるネットの記事にこう書いてありました。

「ク」は駆動車のク、「サ」は差し込まれるのサ。

駆動ってのはエンジンありきなので、それにクを宛てるのはおかしいでしょう。出自が明らかでないので信憑性は薄いですね。

また、別の記事にはこう書いてありました。

「ク」はくっついて走るのク、「サ」は挟まれるのサ。

問題はこの出自で、「鉄道図書刊行会」が発行している「鉄道用語小辞典」に記載されているといいます。

しかし、鉄道図書刊行会は私企業であって、国鉄の正式な組織ではありません。従ってこの由来の信憑性も非常に怪しいと言わざるを得ないです。

いったい、どこのドイツがこんな適当な言説を広めたのか分りませんが、今となっては完全な出自が分らない以上、「諸説あります」と言わざるを得ないでしょう。

鉄道記号・称号にはこの手の怪しい名称設定が沢山ありますね。

クモハのモはモーターのモ。これは分かりやすい。

1等車がイ、2等車がロ、3等車がハ。等級変更で1等車がロ、2等車がハとなり、さらに等級制廃止があって、グリーン車がロ、普通車がハとなりました。これも分かりやすい。

寝台車はネ。寝るのネ。
荷物車の二、郵便車のユ、食堂車のシ、展望車のテ、この辺も分かりやすいです。

事業用車には不思議な記号があります。

職用車の「ヤ」は役所・役人の「ヤ」 国鉄が鉄道省だった時代の名残りでしょうか。
配給車は「ル」。「部品を配る」の「ル」だそうですが、ほんとかな?
暖房車は「ヌ」。「温もり」の「ヌ」。まあなんとなく。

客車は重量によって称号が分れています。

コホナオスマカという7区分。一番軽いのがコ。小型のコ。
二番目がホ。ボギー車のホ。ナは並。オは大型。というのが定説。

スは?スチールのス。昔の客車は木製で軽かった。だから鋼製客車は重かったんですね。
お次はマ。スチールより重たい、これ以上の重さは無いだろうというのでマキシマムのマを当てました。

ラストのカ。これが面白い。まさかそんなに重たい車両が出来るとは思わなかったので、これはカナワヌの「カ」となったそうです。

これは、「客貨車工学」という本に書いてあります。著者は小坂狷二氏。鉄道院工作局車両課に勤務し、客貨車の設計に従事していたそうなので、この説明の信憑性は高いです。

貨車にも重量標記があります。荷重量によって「ム、ラ、サ、キ」に分れているんですが、これが面白い。出自は前述の「客貨車工学」

小坂氏が新しく15t有蓋車(ワム19870形)を設計した。軍馬を輸送するために設計したもので、形式記号に「馬(ムマ)」積みに適するという意味で「ワム」の名称を当てたそうです。
ところが、その後15t無蓋車が出現したら、世間で「トム」と通称し出したので「ム」を積載重量15tを表示することとし、ラ、サ、キを追加したようです。まさか世間の通称がそのまま記号になってしまうとはね!意外とこういう事例は多いのかもしれません。

ちなみに貨車記号も面白いですね。

有蓋車は「ワ」という。ワゴンのワ。(何でBOXCARのボじゃないんですかね?)
無蓋車は「ト」、トラックのト。
コンテナ車の「コ」、車運車の「ク」、タンク車の「タ」、冷蔵車の「レ」、石炭車の「セ」などは分かりやすいんですが、

鉄側有蓋車「ス」は、スチールのス(客車重量と同じ由来)
鉄製有蓋車「テ」は、鉄のテ。スが使われてしまったのでやむなく。
長物車「チ」は、元々は木材運搬車。木材を意味するチンバー(timber)のチ。
陶器を運搬する陶器車は「ポ」。porcelanoのポ。陶磁器を意味するエスペラント語。
雪かき車「キ」は雪のキ。
活魚車「ナ」は、生魚の「ナ」
水運車「ミ」は、水の「ミ」
控車「ヒ」は、控えるの「ヒ」
ブレーキの付いている車両にはブレーキの「フ」が付く。「ワフ」「コキフ」など。

ところが貨車は分類が多すぎて記号が枯渇してしまいました。そこで、意味のない記号を付与された貨車もあるそうです。土運車「リ」、豚積車「ウ」、車掌車「ヨ」など。

豚積車に、豚はウーウー鳴くからという説明を見た事がありますが、豚はウーウー鳴かない!と一人で憤っていたものです。本書でその疑問は解消されました(笑)

土運車「リ」を砂利の「リ」、車掌車「ヨ」をしゃし「ョ」うの「ヨ」とする説もありましたが、それはどうやらこじつけのようです。

さて、「いろは47文字」しかないものを多岐に渡る形式記号に採用するのは無理がありました。どうしてもダブる意味をもつ記号が現れます。その最たるものが「キ」です。

「キ」は気動車のキ。
「キ」は雪かき車のキ。
「キ」は貨車で、荷重25t以上のもの。

3つを併用した車両は存在しませんでした。

ところが昨年、北海道で新型除雪車両が誕生しました。DE15型機関車の置き換えで、機関車運転免許の要らない、気動車仕様の雪かき車が誕生したのです。

当然、記号は「キキ」になるべきです。「気動車」のキと「雪かき車」のキ。

この誕生には「キキ」として喜んだのですが、実際に登場した車両は「キヤ291型」でした。実に「キキ」捨てならない名称です。JR北海道は名称付与に関する「キキ」感が足りないんじゃないでしょうかね!

おあとが宜しいようで。

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Nゲージレイアウトの製作(4) デッキガーダーを作る。

さて、新年一発目の工作は久々にNゲージレイアウトを弄ります。昨年暮れは車両ばかりやっていたのですが、そろそろレイアウトの方も本腰を入れないと完成しなくなりそうです。

駅側から見て右上のコーナーには、旧レイアウトで作った橋脚があるんですが、ナロー用だったので木造橋脚でした。これでは具合が悪いので、市販のデッキガーダーを買って来ました。

KATOのものはカーブ対応がありますので、それにします。ガーダーの色は悩んだ末にグレーを選択。これを3個繋げて丁度良い感じ。橋脚は丸型が用意されていますが、出来れば楕円形が使いたい。となると、橋脚はTOMIX製を使ってハイブリッド?鉄橋を作るしかありません。

TOMIXの橋脚はパーツを重ねて高さを調整できるようになっていて良いのですが、その分、重ね部分の出っ張りが実感を損ねてしまいます。そこで、出っ張りを削って全体をグレーで塗ってみました。側面はレンガ張りなので、元のカラーのままウェザリングで調整。

ここにKATOの単線用架線柱の橋脚基部を接着し、架線柱を差し込めば出来上がり。

早速レイアウトに設置してみます。まあ、こんなもんか。

接地する部分は周囲を紙粘土で固めておきます。ここら辺のディテールアップは最後にまとめて実施の予定。

架線柱は基部に差し込んであるだけですので、抜けば非電化になります。このあたりはボシさんのレイアウトを参考にして、電化/非電化両方に対応できるようにする予定。

 

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今年もよろしくお願いします。

昨年はNゲージ中心に工作をしてきました。
今年はもう少しナローに寄せていければいいなと思っています。

とか言いながら、年末年始の工作はバックマンのドックサイドのリメイクをやっています。下回りにアルモデルのBタンク動力をあてがって、走行性能を安定させようという目論見。

動輪径が小さくなってしまいますが、何とか纏まりそうです。
お供のトラはベタですが、お年始モードで。(来年は豚積車かよ?w)

では、今年もよろしくお願い致します。

 

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