GM73系全金車を作る

グリーンマックスの古い73系全金車のキットを作ってみました。

「ゲタ電」73系は旧型国電の中でも一番親しんできた電車です。旧型国電全盛時代、神奈川県に住んでいた私には、横浜線、南武線、鶴見線、御殿場線で走っていた73系が最も親しみのある旧国でした。

中でも全金車はノーシル・ノーヘッダーの車体がとても綺麗で、武骨な旧ロクサン型とは対照的な印象がありました。

73系全金車は、NゲージではTOMIXが模型化していますが、常時入手できるというわけでもなく、中古も潤沢に出回っていないので見かけたら買うくらいの事しかできません。来年2月にHG仕様の5両編成が製品化されますが、基本セットがクハ79-920×2+モハ72-920×3、増結セットBがクモハ73+サハ78+クハ79-300という鬼畜仕様。なんでクモハ+サハ+モハ+クハのセットにしないかね?
両方買うと定価で3万5千円。ちょっと手が出ません。

鉄コレの73系は、中央東線に近代化改修のモハ72が入っているだけで、全金車はもとより他のバリエーションすらありません。73系としては、私鉄に行った小田急1800とか山陽電鉄、東武の車両があったくらいです。国鉄のオリジナルはTOMIXで模型化しちゃったので鉄コレでは出しにくいという事でしょうか?

そんな中、昔から存在していたのがグリーンマックスの全金車キットです。板キットではなく一体型成型のキットでした。バリエーションとして小田急1800があり、これも鉄コレが出すまでは、ガレージキットを除いては唯一だったと思います。

しかしこのキットは色々問題がありまして、現在では絶版になっているようです。改造ベースに丁度良いのでリメイクして欲しいものです。全面変更で板キット化してくれるとさらに良いのですけどねえ。板キット化して前面を3パターンくらい用意して貰えれば、ロクサン型のキットと合わせてかなりのバリエーションが作れるのですが。

それはさておき、問題のキットを見てみましょう。クモハ73、モハ72、サハ78、クハ79の4種類が製品化されています。この4両編成を茶色1色で仕上げてみたいと思います。

実物写真を参考にしながら修正箇所を見ていきます。こういう時は、宮下洋一さんの「写真とイラストで綴る 国鉄72・73系電車」がベストです。これ1冊あれば73系製作には困らないです。みんな買いましょう。電子版も出てますし。

・サハ78


まず、サハ78。ノーシルノーヘッダー車は存在しません。「実際にはこのようなサハは存在しませんでしたが、模型の世界では編成を整える為ぜひ必要なもの」だそうです。
この頃のGMには、こういう思想的な模型がありましたね。

もしサハ78にノーシルノーヘッダーの全金車があったらという想定で作ってみることにします。そうやって割り切れば、特に改造点は無し。
新製全金車というより全金改造車ですかね?モハ72の全金改造車から80系のサハ87に動力を譲り電装解除したものが実在します。そのバリエーションという事にして、台車はTR48にしましょうか。形式はサハ78600としてみます。

・モハ72

全金モハ72920番台として見ると、色々違います。
全金車は雨樋が埋め込み型なので、まずここが違う。戸袋窓の位置も間違っています。あと、初期車を除いて窓隅にRが付いていますので、これも違います。「雨樋を内側にかくしたなめらかな側板は独特の美しさがありました」って書いてあるのに雨樋がついてるのは何でだぜ?(笑)

全金改造車として見てみると、これが一番近いようですが、決定的な問題としてパンタが逆側に付いています。ドアの開閉方向と逆になっちゃっています。これはダメですねー。実は、実車にも1両だけ逆側にパンタが付いた(戸袋窓の付き方が逆と言うべき?)モハ72110があるんですが、それを模型化するしかないんでしょうか?。

が、ドアが全部プレスドア!なんで?!クモハとクハは違うのに!!これの改修は大変ですが、何とかするしかないでしょう。プレスドアを埋めます。瞬間接着剤を流してやすりで整形しました。あと、少し目立つ加工として、パンタ側のドア横に手すりを植えています。他の手すりと表現を均一にするため、伸ばしランナーで作った手すりを接着しました。

また、1個だけプレスドアが付いている車両とかは実在しますので、ひとつだけ残してみました。番号はモハ72110です。

・クモハ73

クモハ73には量産型全金車というのは無く、近代化改造車及びモハ72からの先頭車改造車という事になります。ノーシルノーヘッダーで、前面方向幕ありのタイプという事になった場合、キットのように前面に配管が這っておらず埋め込み式になっているものが多いです。唯一、作用管(前面向かって左)だけ残っているのが500番台で、これに改造するのが一番簡単そうです。向かって右の母線だけ削ることにしました。

前面から配管を削り、ついでに屋根の配管も短く加工。形のおかしい避雷器を切り取ります。また、この車体は何故かパンタグラフ用の穴が開いていません。ベンチレーター穴を埋めてパンタグラフ用の穴を2個開け直しました。

さらに、乗務員ドアが木製タイプなので、ドア下の段付きの部分をプラ板で埋めます。本来ならば側面とツライチなので、別パーツのドアで塞ぐほうが簡単ですが、そうなると今度は手すりも埋め込み式に変えたくなります。そこまでやるのは面倒なので辞めました。車番はクモハ73507とします。

クモハ73は2両入手出来ましたので、もう一両は更に配管を削り方向幕を埋めてみました。こちらは片町線仕様になる予定。

・クハ79

モハ72同様、全金車とすると雨樋と窓隅のRが違います。クハ79のノーシルノーヘッダー車は全金車しかありませんので、雨樋を削り落としました。
窓隅Rの無い全金試作車の、クハ79924としてみました。

まあ、そんな感じでミスだらけなので現在は廃版になってしまったようなのですが、是非とも新設計の板キットとして復活させてほしいです。

***

下回りはキットのものを使うつもりでしたが、台車の動きが渋くて結構脱線してしまいます。台車を付けたり外したりしていたらボルスターの床板側の穴が割れまくりました。仕方なく、手持ちのGMキットの余りの床板を使いました。したがって床下機器も新しいものに変えています。

ここ、いつも思うのですが、プラ製のピンじゃなくてHOのように段付きネジにならないですかね?安定度が全然違います。幾つかの台車はネジに交換しています。

動力装置は鉄コレ用を使いました。両サイドにゴム系接着剤で高さ7mmの1mmプラ板を接着しただけ。窓ガラスの下部に高さを合わせる感じです。そこに両面テープを貼って車体に接着しています。先頭車側はボディマウントのTNカプラーにしますが、窓ガラスと干渉するので、ガラスの下側を欠き取りました。連結面側は台車マウントのTNカプラーです。

付随車は全て台車マウントのTNカプラー。反対側のクハ79の前面はボディマウントのTNカプラーです。

***

グロベンを加工する。

キットのグロベンはカバーの角が落とされている新型です。73系のグロベンは、全金車以外初期型のものが多く、カバーが直立しているタイプですが、残念ながらGMのパーツにはありません。そこで、加工して初期型っぽく見えるようにしました。プラパイプを細く切って、グロベンはドリルレースでパイプ内径まで削って嵌めるだけの簡単な加工ですが、結構それっぽくなります。もう少しプラパイプを肉薄にしたいところですが、武骨なGMキットには少し厚いモールドのほうが似合っているようにも思います。

この加工を行ったのはクモハ73のみです。

アルミサッシを加工する。

全金車なので、サッシはアルミです。でも、なんかアルミサッシっぽく見えないんですよね。中桟が太いというのもあるんですが、窓の縦枠が見えているっていうのも影響しているようです。サッシ窓の場合縦枠は見えないくらいの出っ張りしかないので、これを削ってみました。

やって後悔。超面倒くさい割にスッキリ見えませんでした(苦笑)

ヘッドライトを加工する。

ヘッドライトはくり抜いて透明プラ棒を刺します。点灯式にはしません。テールライトは塗装のみで誤魔化しました。

さあ、これでだいたい完成です。まだまだ凝ろうと思えば幾らでも出来ますが、この車両に過度なディテールアップは似合わないと思いますので、このあたりでお開きとしました。

***

塗装は、まずサーフェサーを吹いて加工部分の確認。特にプレスドアの埋め跡が目立たないようになるまで修正しました。完全に消すのは難しいですね。

その他加工部分の傷などを確認してから本塗装です。ブドウ色2号単色なので楽でした。屋根色を塗ったのち、サッシに銀を入れます。本当は車体側は銀で塗るべきではないんですが、構造的に窓枠だけ綺麗に塗るのは至難の業。仕方なく窓全体を銀で塗っています。

最後にベンチレーターを塗って接着。これで完成です。

下回りは黒一色。軽くウェザリングしておしまい。新型の床下機器セットが待ち遠しいですね。ちょっと高いですけど。

インレタはGMのものを使用しました。所属区標記は適当なものを付けています。

最後にGMのPS13を付けて完成。のべ1週間程度の作業でした。

使用したパーツ

・GM クモハ73・クハ79キット(中古)
・GM モハ72・サハ78キット(中古)
・GM DT13台車×1 TR48×2
・GM PS13黒×2
・GM バルク床板 旧型国電用床下機器
・トミーテック 動力ユニット TM-17
・TOMIX TNカプラー JC0349&0381
・GM 73系用インレタ
・GM ぶどう色2号/淡緑1号
・ジェイズ スエード調塗料

トータルコスト 1万円弱

製作期間 2021年10月~11月

Share this...

鉄道省キハニ5000の製作

キハニ5000は黎明期の戦前型気動車で、二軸の下回りに鋼製の重厚な上回りが乗った、お世辞にも軽快とは言えない車両です。
試験的な意味合いが強かったようですが、12両製造され全国に配属されました。
小さいくせに荷物合造車で、小型レイアウトなどには最適と思うのですが、何故か製品には恵まれていません。16番ではつぼみ堂、フクヤマモデル。Nゲージではワールド工芸くらい。

鉄道模型を始めた小学生の頃、つぼみ堂のキハニ5000が欲しくて仕方なかったのですが、残念ながら入手敵わず。ペーパーで自作したものの、動力装置に難儀して良く走りませんでした。小学生ですから仕方ないですが、いつか再チャレンジしようと思いつつ、そのままになっていました。

***

昨年、KATOのチビ客車動力がリニューアルされ、HOナロー用に幾つか買い込んだのですが、その後すぐにHOナロー廃業を決めたので使わずじまい。そのまま棚の奥にしまい込んでいたものを、先日掃除した時に発見し、現在制作中のレイアウトで試走させてみるとこれが良く走る。スローも利いて以前のものより格段に良い動力になっていました。

じゃあ、これを使って何か小さいのを作ろうってんで、まず思いだしたのが前述のキハニ5000です。ノス鉄で出るんじゃないかと思っていたんですが、ノス鉄第二弾は別の方向に行っちゃったので、自作してみようと思いました。50年来のリメイクという事になります(苦笑)

いつもの通りTMSの「陸蒸機からひかりまで」をひっぱり出し、キハニ5000のイラストにチビ客車動力をあてがうとピッタリです。これに気を良くして上回りの物色。

窓まわりはGMのスハ44から応用できそうです。ドアは同じくGMのクモユニ81を使うと何とかなりそう。両方ともバルク材のパーツが余っていましたので、これを切り継ぎ加工して上回りをでっち上げました。厳密にはドア幅などが一部違いますが気にしない。ガチなスケールモデルを作るわけではないので、雰囲気が似ていればOKです。その意味ではキハニ5000タイプなのです。

この車、非対称な上に、左右で窓配置が全然違うという曲者なんですね。実は今年の5月くらいに一度車体を作っていたのですが、まさか窓配置が違うとは思わなかったので、同じ仕様で作ってしまい、そのあと実物写真を見て気が付いて作り直したという情けない顛末があります。スケールモデルを作る際には、最低四面図か、それに順ずる写真の入手が必要という、当たり前のことを痛感しました。

屋根もスハ44用で、オデコの部分はエポキシパテから造形しています。

印象的なラジエター部はプラ板から。そこから車体前面を這って下まで伸びていくパイプや、背面の支え棒、窓上の水切りは全て伸ばしランナーで表現。
特徴的なタイフォンや解放テコも全て伸ばしランナーです。ランナー再利用&線材省略で安く仕上げようという魂胆。意外と何とかなるもんです。

ヘッドライトはGM旧型国電のキットからパーツをいただき、中をくり抜いて銀で塗り、ガラスはエポキシ接着剤で埋めて表現しています。古い手法ですが、この手の旧型車両には良い感じ。点灯化も考えましたが、新型チビ客車動力は配線に向かない構造になってしまい、分解しないと配線出来ないので断念しました。昔の動力が簡単に点灯化出来る構造だっただけに、ちょっと残念ですね。

下回りはデッキの手すりを切り取り、バッファーを抜いただけ。モーターを隠している下回りの出っ張りに、プラ板から適当に切った枠を貼りつけてエンジンっぽい感じにしてみました。

カプラーはKATOカプラーに交換しています。上回りの嵌めこみ構造が上手く作れなかったので、シンプルに両面テープで車体に貼り付けました。

塗装はブドウ色に赤帯にするか、戦前型の二色塗装にするかで迷いましたが、目立つように二色塗りにしてみました。本来は黄褐色2号と青3号ですが、どちらも実物を見たことが無いので、西武用のベージュと青15号で代用しました。いずれもう一両作る機会があれば、今度はブドウ色にしたいです。

屋根はいつもならスエード調塗料かジャーマングレーなのですが、これは割と明るいイメージがありましたので、手持ちのグレーの中から軍艦色を塗ってみました。

最後にレタリングを適当にちりばめ、窓ガラスを貼って完成。
前面に車両番号だけが付くのですが、この部分はインレタの貼り付けが難しかったので、デカールに転写してから貼り付けています。

今回から窓ガラス接着にセメダインのハイグレード接着剤を使っています。これ、透明パーツの貼り付けに持ってこいなのでお勧めです。

気軽に作り始めたのですが、自分でも思いのほか良い出来になったので大満足です。Twitterでも異例のイイネとリツイートをいただきました。わたしの代表作のひとつになるでしょう。

使用したパーツ

・GM クモユニ81 車体バルク材
・GM スハ44 車体バルク材
・KATO チビ客車動力
・KATO ナックルカプラー
・アルモデル 客車用インレタ
・GM ベージュ/青15号
・クレオス 軍艦色2

トータルコスト:3800円程度

製作期間 2021年11月~12月

Share this...

【Nゲージ旧型国電】クモユニ81003 GMキット改造

こちらも2021春の荷電祭りにエントリーした作品で、GM製クモユニ81のキット改造です。前作とは異なり、比較的あっさりと仕上げました。

昨年作った大糸線4連に繋げて5両編成にしたいと思います。
早くレイアウトが欲しいなあ。

主な改造点

・車体側面の三角窓枠を表現。
・荷物ドア、郵便ドアを1段凹ませて立体感を出す。
・前面運行灯窓をタヴァサのパーツに変更。
・前面ジャンパ栓受け、ベンチレーターの加工。
・車内仕切り板の設置。

使用したパーツ(主なもの)

・GM クモユニ81車体キット
・GM DT16型台車
・GM PS13パンタグラフ
・TOMIX TNカプラー JC0349&0381
・GM 荷物電車用インレタ
・ボナファイデ 荷物電車用インレタ
・GM 青22号/淡緑1号
・ジェイズ スエード調塗料

トータルコスト:3000円程度

製作期間 2021年1月~2月

Share this...

2021春の荷電祭 クモユニ81を作る

荷電祭りでは、もう一両、クモユニ81を作ろうと思います。
クモニ83100を含めて、凄腕モデラーさんたちが凄い作品を作られていますので、わたしはそんなにディテールアップはせず、素材のGMキットを活かしたものに仕上げたいと思います。やりたくても超精密化は無理なので、自分に合ったスタイルで、やれることをやるというのが良いと思います。

で、GMキットを買ってきました。割と最近の作品なので、屋根上のディテールが一通りそろっています。これはこのまま使いましょう。

気になるところだけを加工します。

まずは、荷物ドア。クモユニ74でもそうでしたが奥行きが足りません。そこでドアをギリギリのところでくり抜き、くり抜いたドアにプラ板で枠を接着し、この状態で元の位置に接着すると、ボディの厚み分の奥行きが出て良い感じになります。

この部分は、床板に干渉しますので、床板側も欠き取ってください。床板を欠き取ることで方向が決まり、逆にはめることも無くなります。

前面は何故か運行窓がHゴム支持になっています。クモユニ81でHゴム化されたのは無かったと思いますので、削ってタヴァサのパーツを付けました。出来るだけ市販のディテールアップパーツは使いたくないのですが、ここはやむをえません。

大糸線の003にしますので、塗分けラインの凸モールドを削りました。第2エンド側のジャンパ栓受け形状が変なので、他のキットから削り取って移植したのですが、大きすぎて変な感じになっちゃいました。難しいですね。

同様に第一エンドの向かって左側にもジャンパ栓受けを付けておきます。
そのほか、モールドの甘いベンチレーターをプラ片で貼り直し。タイフォンカバーとテールライト形状も気になりますが、それを弄ると際限が無くなるので今回は辞めておきます。

その代わり、ヘッドライトにこだわることにしました。すり鉢型に凹みを付け、真中に0.3mmの穴を開けておきます。ここのディテールは塗装後に実施します。

GMの70系/80系は三角窓に窓枠表現がありません。ここも気になりますので、加工しました。

側板の三角窓の厚みを薄く削り、そこにプラ板から切った窓枠を貼り付けます。前面パーツの横もプラ板が当たるところを薄く削り、はめ合わせて調整しながらさらに削っていきます。

うまく接合出来たら車体を組み立てます。前面の方向と側板の方向が決まっていますので間違えないようにしながら、平行と直角に注意して接着。箱になったら屋根板を取付け。
下回りは先ほどのドアの凹み分をカットしただけで、あとはそのままです。大糸線では第2エンド側を列車の先頭に向けてつなぎますので、こちら側だけをボディマウントのTNカプラーにして、第1エンド側は台車マウントにしました。

動力は入れませんので、これで完成です。

が、クモユニ74を作った時に内装を表現したんですが、クモユニ81もスカスカの車内が気になってしまいました。そこで、プラ板から仕切板のみ切り出して接着しています。シルエットで見た時に意外と目立ちますので、車内の仕切り表現は今後も続けようと思います。

屋根上のパーツは塗装後に接着です。なので、これでだいたい完成となりました。2ヵ月(実質は1ヵ月ですが)掛かった74に比べて1週間で完成。早く作りゃいいってもんでもないんですが、少し慣れてきて歩留まり率が上がってきた感じはあります。

やっぱり模型は作り続けていないとダメですね。

あとは下地仕上げをして、塗装という段取りになります。

Share this...

2021春の荷電祭 クモユニ74を作る(4)

さて、そろそろいい加減に完成させないとドツボに嵌っていきますので、適当な所で切り上げたいと思います。

カプラーはボディマウントのTNカプラーを奢りました。これ高いですね。2個セットかと思ったら1個でこの値段ですか!参ったな。

中間車は台車マウントのTNカプラーにしているんですが、今後は先頭車も台車マウントにするかなあ?

さて、クモユニ74の0番台は他の旧型国電とは違って111/113系としか併結出来ません。新性能電車と連結して総括制御できるようにするため、電気系・空気系とも新性能国電と同じ仕様になっています。そのためか、床下の配管が目立つんですね。

特に空気系の配管が目立ちます。これは何とかしたい。

そこで0.3mmの真鍮線をハンダ付けしてそれらしく仕上げました。ただ、こういう細かい加工は目が追い付きませんので、あくまでも雰囲気重視としています。

エンドの空気管以上に目立つのが側面の配管で、こちらも0.3mmの真鍮線に支柱をハンダ付けして下回りに植え込みました。

しかし、Nゲージは真横や斜め下から見る機会が少なく、このように写真で撮ると目立ちますが、実際には全然目立ちません。

もう絶対やらない(苦笑)

最後に乗務員ドアの下のステップを取り付けます。これもエッチングパーツとかは使わず、0.3mm線から自作しました。角が甘いですけど、これで良いのです。これが私の模型です。

まあ、こんなもんだ。

最後にプラ板から内装の仕切りを作りました。これは簡単に仕上げていますが、何のディテールも付いていないものでも仕切りがあると結構違います。

さて、そんなわけで2ヶ月悪戦苦闘したクモユニ74も、ようやく加工が完了しました。下地処理と塗装はまとめて実施しますので、もう一両公約しているクモユニ81に移りたいと思います。

今度はそんなに凝らないつもりですが、さてどうなることやら?

Share this...

2021春の荷電祭 クモユニ74を作る(3)

いつの間にか2021年になってしまっていました。
本年もよろしくお願い致します。

さて、昨年末から仕掛中だったクモユニ74の製作を進めましょう。

鬼門の屋根配線。どうも苦手です。
HO時代はそうでも無かったのですが、Nになると細かすぎて。しかも0.3mm線では太かったりします。それ以上細い線はトラウマがあって使いたくないのです(0.2mmのドリルをあっという間に折った悲劇から立ち直れない)

仕方ないので0.3mm線を使うのですが、GMの板キットは武骨なディテールなので、むしろ0.3mmくらい太いほうが似合いそうです。

ところで先日、ヤフオクで買ったジャンクの中に、クモニ83用の屋根配線エッチング板というのがありました。これ、接着するだけでOKなので大変便利なのですが、板厚が薄すぎて立体感に欠けます。そこで、これを下地にしてその上から0.3mm線を貼って立体感を出そうと考えました。

空気作用管はそのまま使います。これは便利。あっという間に出来上がり。

一方、パンタ後方に延びる母線はちょっと特殊な形状をしていて、これがクモユニのチャームポイント?のひとつになっています。

最初は普通に0.5mm線を貼りつけて、0.3mm線を押さえにしていたのですが、横から見た詳細な写真を見ると、母線は台座の上に乗っていて、屋根から浮き上がっていました。これはちゃんと作りたいので、一旦作った母線を剥がし、プラの細板から切り出した台座を接着。その上に改めて0.5mm線を貼りつけて表現しました。

避雷器の台などもプラ板加工です。ランボードはそのまま付けると屋根カーブに合わせて斜めになってしまうので、外側に0.3mmプラ板を貼って嵩上げし、水平が出るようにしました。

***

ドアを開閉式にしたので、室内もそれなりに作る必要があります。
床板はフラットにしなければならないので、モーター用に段になっている床板の出っ張りと、ウエイト押さえを切り取り、フラットにします。
その上からエバーグリーンの一番細かい筋板を切り出し、床板に見立てて接着しました。

ウエイト不足になりますので、床下のモールドを削ってウェイトを貼りつけます。そのままの長さだと台車に干渉してしまうので、1cmほど短く切るのですが、ウェイトは固い金属(鉄?)を使っているようで、通常の軽金属用の糸鋸歯ではなかなか切れません。
こういう時のために鉄工用の鋸を買おうと思っているのですが、いつも忘れます。仕方ないので軽金属用の鋸で削るように切っていきました。

カプラーはボディマウントのTNカプラーにするので、台車側のカプラー受けをカットするのですが、何となく物足りない。モーター車なのにモーターが無いのでスカスカです。
ダミーモーター付けるのはやり過ぎ?と思いましたが、勢いがついてしまっています。
プラ板を加工してデッチ上げてみましたが、意外とイケるのでダミーモーターを作る事になってしまいました。

そうなると排障器なんかも要りますね。ここは簡単に真鍮線を組み合わせて表現するにとどめました。スーパーディテールではなく、あるものがそれらしく付いているという感じです。精密なスケールモデルを作っているわけではないので、これで充分と思います。

ここまでやってしまうと、もう少し凝らないとつり合いが取れません。それはまた次回。

Share this...

2021春の荷電祭 クモユニ74を作る(2)

GMキットのクモユニ74を加工しています。

今回のコンセプトとして、エッチングパーツでゴテゴテにはしたくないというのがありました。

元が古いキットですから、お化粧するにも限度があります。繊細なエッチングパーツは似合いません。一番悩んだのは窓で、ここはエッチングパーツを使ってスッキリさせたいと思う反面、ここだけスッキリしてしまうとアンバランスになってしまうのが気になりました。

細密化することだけが模型ではありません。そこのバランスをどう取るか、いつも悩みます。

今日は前面の加工を行いました。

キットの前面は、ヘッドライトが全てモールドされています。流石にここは別パーツにしたいところ。そこで、ライトのセンターに2ミリの穴を開けてから、ヤスリで少し広げてみました。

元々、このヘッドライトはオーバースケールなんですが、「出目金」と呼ばれていたイメージをよく表現しているように思います。

そこで、余った100番台の前面にタヴァサのパーツを嵌めてみて、印象の違いをチェックしてみました。

スケール的にはタヴァサのパーツが正しいのでしょうが、見た感じはGMオリジナルのほうがクモユニっぽいです。そこで、タヴァサは使わずオリジナルのヘッドライトに穴を開けてクリアの棒を差し込むことにしました。

あとは行先表示窓です。狭いですね。実物はもうちょっと広い。ここは何とかしたいところなんですが、手を入れるとなると結構大変そうです。

KATOのASSYを使うと良いというお話を頂きましたが、折角GMの改造をしているのに、ここでKATOのパーツを使うのは本末転倒のような気がしました。それなら最初っからKATOを改造したほうがより良いものが出来るはずです。

スーパーディテールの細密モデルを作っているのではありません。あくまでもGMキットを使って自己流にアレンジしているのです。だから、ここで精密感に負けてKATOのパーツやタヴァサのパーツを使うのは負けだと思っています(笑)

それと、お金をかければ幾らでも細密化は出来るわけですが、それも本意ではありません。出来るだけお金をかけずに楽しみたいと思っていますので、そういう意味でも安易にパーツ利用をする事は控えたいと考えています。

色々めんどうくさいですね。性分なので仕方ありません(笑)

Share this...

2021春の荷電祭 クモユニ74を作る(1)

そんなわけで、荷電を作ることになりました。
ナローは当分お休みですねえ(苦笑)

今回のお題はクモユニ74の0番台。

東海道線で113系の先頭に立ち、堂々の16両編成を組んでいた時代を幼少期に見ていますので、荷電の中では一番好きな車両と思います。

小学校のころ、辻堂駅前の耳鼻科に通院していて、それが終わると病院の裏手のホーム脇の路地に行き、丁度やってきたクモユニ先頭の普通列車や、EF65PF牽引の14系ブルトレ「さくら」「みずほ」、153系やEF58牽引の荷物列車などを飽きずに見ていました。

東海道線には当時、新聞輸送電車というのがあって、クモユニが2連か3連で午後の東海道線を下っていくのです。各駅に停車して新聞を降ろしていくわけですが、これを再現してみたくなりました。

さて、そんなクモユニ74を作るわけですが、キットはGMのものがあります。

これを買ってきて、あっさり作ろうと思ったのですが、、、

ものが古いので色々と気に入りません(苦笑)

仕方なく、カッターナイフ片手に切り刻み始めてしまいました。これ、完成するのかな?
***

側板の加工

まずは側板です。このキットに限らずNゲージの車両全般に言えることですが、荷物ドアの奥行が足りません。
荷物ドアってのはかなり奥まっているんですよ。その表現が甘いんです。ボディ一体構造だと金型の関係でこうするしかないのでしょう。そこが気に入りませんでした。

すっきり仕上げたいところですが、印象把握というのはとても大事です。特にクモユニ74はシル・ヘッダーが無く、のっぺりとした車体なので、余計にドアのへこみが目立つのです。これを表現してみたいと思いました。

ドアをカッターで切り抜き、切り抜いたドアにプラ板で周囲を囲み、切り抜いたドアに奥行きを持たせて接着します。

勢い余って、片側の荷物ドアは開閉可能にしてしまいました(苦笑)

ドアが奥まって、荷電らしさが強調されたと思います。

続いて乗務員ドアです。これ、なんでこんな形なんでしょうね?全然似てない(笑)
クモユニの乗務員ドアは側板とツライチなんです。一段凹んでいない。さらに、窓も隅にRは付いていません。手すりも埋め込み型です。全部違う。

最初はそのままでもいいかなと思っていたのですが、一度気になるともうダメ(笑)
全然気に入らないです。

そこで、他のキットの乗務員ドアを移植することにしました。

一番ピッタリなのは101系用の乗務員ドアです。これがバッチリなのですが、ジャンク箱からは1両分しか発見できませんでした。101系に両運転台は無いので、2両分の先頭車側板が必要なのです。

仕方なくGMストアにバルク材を買いに行ったのですが、残念ながら101系先頭車のバルク材はありませんでした。色々物色して、クモハ123用の側板が何とか使えそうなので、これを調達してきました。

このバルクは可部線用と身延線用のパーツが1枚ずつ入っています。どうせバルクで売るんなら可部線用と身延線用1両ずつのセットにしてほしいものですが。

しかし!身延線用の側板は、側面の折り畳みステップの上の方に小さなルーバーが付いています。これでは使えません。ルーバーとその横のステップを削り取って、エッチングパーツのステップを付ければ良いのですが、それも面倒なのでもう一枚バルク板を買いました。

これを適当な位置で切り出し、クモユニの側板もカットして切り継ぎしました。

余ったクモユニの乗務員ドアはNナロー用に取っておきます。これ、けっこうありがたいのです。

<つづく>

Share this...

Nゲージで作る旧型国電(1) 大糸線4連

Nナローを始める前に、Nゲージをやろうとしていました。その時に手掛けた車両がようやく完成しました。そんなに精密ではありませんし適度に省略していますが、Nナローをやる傍ら、のんびり作っていければと思います。

【大糸線40、51系4連】

<クハ55435+<クモハ54005+<クハ55433+クモハ60022(M)>

製作期間:2019/11/10~2020/10/11

大糸線の40/51系4連です。

Nゲージ復帰後の旧型国電キットメイク第1作となります。しかし、完成まで1年近く掛かるとは。途中でNナローを始めたにしてものんびりしすぎのようです(苦笑)

元々はTMS1973年10月号(相変わらず古くてすみません)に掲載されていた西尾博保氏の作品にインスパイアされて製作したものです。
12年ほど前、鉄道模型をNゲージで再開した当初にも同じ編成で大糸線風のNゲージを作ってみたことがあり、それが私のNゲージの事実上のデビュー作でした。
この車輌はその後Nゲージからナロー専業にスイッチした時に処分してしまったので、我が家には残っていません。
Nゲージでの旧型国電製作にあたり、第一作に大糸線を選んだのには色々な理由がありますが、私のN車輌第一作を再製作するという意味合いも強く反映されています。

車輌は全てGMキットからの切り継ぎ加工です。
西尾氏の作例は茶色混在時のものでしたが、私のものは全て青22号の時代にしました。さらにクハ55は、トイレ設置後の車番号改定後としています。

【改造の概要】

クハ55435

先頭に立つのはノーシルノーヘッダー、サハ75からの改造車クハ55430番台です。
クハ55430番台には、色々なバリエーションがありますが、前述の西尾氏の作品のクハ55をベースとし、トイレ取り付け、番号改定がありましたので、これに倣いクハ55435としてあります。

サイドはウィンドシル、ヘッダーを削り取った後、トイレ部の窓を狭くしました。
ドアの形状が異なっていますので、それなりに加工してあります。2枚のドアは中枠付きになっています。一般的な改造ならタヴァサのパーツを貼りたいところでしょうが、お金を掛けたくないので、キットのドアを活かしてプラ板から切り出した中枠を接着しました。

キットの床下機器は実物とはかなり配置が違うように思うのですが、このあたりの表現には凝らないつもりなのでキットのままにしてあります。ただし、トイレ付きなので水タンクは装着しました。

前面はサハ改造なので独特のツラガマエです。GMクハ55キットのうち、列車番号表示枠が丸いタイプの前面を用い、窓とドアをくり抜いてから裏面をヤスって0.5mm厚程度まで削ります。続いて、片方だけHゴム化された前面パーツのモールドを、Hゴム以外すべて削り落とします。これを張り合わせて前面を作成しました。貫通ドアの窓には横桟が入っているタイプなのでプラ板で付けてあります。渡り板はキットの幌枠から切り取ったものを接着。先頭車ですので、運転台側はボディマウントのTNカプラー、連結面側は台車マウントのTNカプラーです。

クモハ54005

半流ノーシルノーヘッダー車が欲しかったので、クモハ51のキットを加工して作りました。こういう時は思い切って、側面の全ディテールを削ぎ落したほうが綺麗に作れるのですが、少し横着をしてしまい、案の定汚い仕上がりになってしまいました。こういうのは何度やっても上手くいきません。

さらにこいつは戸袋窓がHゴム化されています。これもエッチングパーツを使えばスッキリ出来ますが、加工するほうが楽しいので、余った41系の妻板からHゴムを切り出し、はめ込み加工してあります。

前面は運転台側がHゴム化されているものを使用し、窓の下の特徴的な大鉄型ベンチレーターは引き延ばしランナーから簡単に作ってあります。奇数車なのでジャンパー栓受けを他の前面パーツから切り取って接着しています。幌から渡り板を切り取って接着し、上の穴は埋めてあります。

中間なので連結器は台車マウントのTNカプラーを付け、運転台側にはカプラー根元の両側にキット付属のジャンパー栓を切り取ってボンドで貼り付けてあります。

クハ55433

これもサハ改造のクハです。435とは異なって貫通ドアの幅が広いタイプ。まさに中間車を先頭車化しましたと言わんばかりの顔で、こういうやっつけ仕事的な車両は大好きです(笑)

作り方は435とほとんど一緒ですが、シルヘッダーが付いているだけ楽でした。

特徴的な前面はGMのクモハ11のキットからクモハ12に改造するための前面を利用しました。オデコの部分だけクモハ41用のものを移植しています。サボ受けはプラ板から自作。中間車の運転台側カプラーの根元にジャンパ栓を付けるのは標準仕様となりそうです。

クモハ60022

ここまで作って、3両とも奇数車なのに気づきました。これでは編成が組めません。そこで、半流クモハ60の偶数車を作って動力車としました。

半流のクモハ60はGMのキットにはありませんので、切り継ぎ加工することになります。使うのはクモハ41キットとクモハ51用半流前面です。
まず、クモハ41の側板の加工ですが、運転席後部に縦樋が付く部分で切断し、長さを2mmほど短くします。続いて前妻と接続するRの付いている部分をカットし、51系の半流前面と接合できるように裏を削ります。このあたりの改造は、現物合わせの加工となります。こちらもノーシルノーヘッダー車ですので、クハ55435同様にシル・ヘッダーを削り落としました。

前面はクモハ51用のものを使い、シルヘッダーや幌枠を削り取って穴埋めし、プラ板から作ったサボ受けを接着。
側板が出来たら、前面と連結面妻板を貼り合わせて箱にします。クモハ41用の屋根板を載せ、半流部分に適合するようにカットして載せます。ここは上手く削れないので大雑把に処理し、エポキシパテで穴埋めして仕上げています。GMのキットの屋根板は反りが目立つので、加工後の接着は困難を極めました。

運転席直後のつなぎ目を隠すように縦樋を貼って、あとは平均的な仕様でディテールアップ。下回りもGMパーツを使いました。動力はGMのコアレス動力ですが、これは板キットには簡単に付きません。

キット裏側のモールドを削り取り、プラ板を重ね合わせたて作ったコアレス動力をはめ込むパーツを作成して接着します。

屋根上は殆んどキットのまま。20年前に作った時のモデルとは屋根板が変わったようで、パンタグラフの配線がモールドされています。これはそのまま活かしました。避雷器もキットのものを小加工しただけ。

【全車共通仕様】

手すり類は特に付けていません。私程度のスキルだと、このくらいの細密感で丁度良いようにおもいます。パンタグラフはGMのPS13、連結器はTNカプラーの密連。
台車もすべてGMのTR23。

最後までどうするか悩んだのはベンチレーター。パーツにヒケが目立ったのですが、1個1個手作業で修正しました。そんなことをするから完成まで1年も掛かるんです。後半はKATOのパーツが手に入ったので、2両はそれを使いました。

【塗装とレタリング】

第一作に大糸線を選んだのには、単色塗装なのでマスキング工程と塗装工程を省略できるという事も大切なポイントでした。
スカ色などの塗り分けの場合には、マスキングの手間がかかります。
第1作のコンセプトとしては車輌の改造を楽しむ事に主眼点を置きましたので、塗装では楽をしたいというのが本音でした。
そういう意味では、ぶどう色2号でも良かったのですが、少しは派手なカラーにしたかったという事もあります。

屋根上パーツを除く全ての車体ディテールを装着後、充分乾燥させてから青22号、屋根色の順で塗ります。屋根にはスエード調塗料を塗りました。ベンチレーターはニュートラルグレーを使っています。

レタリングはGMのインレタを使用。所属区表記は以前作った時使った、くろま屋のものが残っていたのでそれを使いました。

最後にテールランプの赤、ヘッドライトの銀、パンタ碍子に白を入れて完成です。

Share this...